地球の温暖化と、アフリカの旱魃がテーマの問題SF小説
2007-01-28
「Demain, une oasis」
著者 : Ayerdhal
出版社 : Au diable vauvert
ISBN-10 : 2846261172
ISBN-13 : 978-2846261173
表装 : ソフトカバー(20x2x13) 245頁
全体評価 :(3/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この評価の見方はこちら
人類が宇宙開発に本格的に乗り出している近未来が舞台。
OMESという国際機関で、宇宙開発の衛生管理を担当している医師であった主人公は、ジュネーヴで、勤めに向かう際、何者かに誘拐される。
4日間、水道とマットレスのある地下室に閉じ込められた後、彼は、別の地下室に移され、そこで2日間過ごす。そして、何者かに点滴をされ、意識を失う。
そして、目を覚ました彼は、自分がアフリカの砂漠の真ん中の難民キャンプにある病院でにいる事に気づく。
そして、わけの分からぬまま、主人公は、彼を誘拐したグループのメンバーを思われる者達の指示に従い、病人達の治療を始める。
地球の温暖化が進むにつれ、アフリカの旱魃は、年々ひどくなり、アフリカでは、栄養不足による死者が年々増えるばかり、主人公を誘拐したのは、そんなアフリカの人々を治療するDziiyaとう女性が指揮する医師団だった。
先進国がばら撒いた公害のため、発生した地球の温暖化に苦しむ、アフリカの人々を見殺しにしておいて、宇宙開発に莫大な資金をつぎ込む先進国の態度に憤慨した彼らは、医師の誘拐という様な過激な手段に訴えながら、アフリカで医療活動を続けていたのだった。
彼らの言い分の中に一筋の正当さを見出しながらも、彼らのテロ的な方法に反発を感じ、かれらの活動に同調する事の出来ない主人公は、隙をついて、彼らの元を逃げ出す。
そして、やっとの思いで、Nassarの貯水湖にたどり着き、警察に保護された主人公は、自分を誘拐した医師団について口をつぐみ、真実を誰にも告げなかった。
ヨーロッパに戻り、ニームに転勤し、OMESでの仕事を再開し、誘拐された事実を忘れかけていた主人公は、ある日、仕事関係で出席した会議で、かつて彼を誘拐した医師団のメンバーと再会する。
一息に読んでしまった作品。
未来が舞台なので、SFに分類されるべく作品なのですが、現在の先進国の政策を強烈に非難している、強い社会的メッセージが含まれている小説です。
自分達が快適な生活を送る事が出来るようになるまで、今まで散々地球を汚しておいた先進国の態度に義憤を感じ、そのとばっちりを受け、旱魃に苦しむ第3世界の国々の人々を救うためなら手段を選ばない医師団のメンバーの行動を中心に、彼らの行動にシンパシーを感じつつ、テロ的な手段を徹底的に否定し、又、快適な生活から離れる事が出来ない主人公との内面の葛藤などがスピードのある文章で語られます。
一気に執筆したと、思われるほど、疾走感に溢れる作品。 そのため、勢いは感じられるのですが、少々荒すぎる感じは否めません。
しかし、現在、先進国で生活する者たちに、多くの疑問を投げかける力強い作品です。
1992年に書かれた作品だとは信じがたい程、時事的な問題を核に据えた作品。
地球の温暖化と、アフリカの旱魃にまつわる飢饉がテーマとなっています。
15年前にすでに問題視的されていたにもかかわらず、この問題に対しては、15年間、ほったらかしで、足踏み状態の国際社会の態度は、問題視される必要があるように思われます。
1992年に初版された本作の再版に踏み切った出版社に、賛辞を送りたいと思います。
この作品は、1993年にGrand Prix de l’Imaginaire を受賞しています。





