モーリス・ラヴェルの晩年を書いた伝記的小説
2007-01-27
「Ravel」
著者 : Jean Echenoz
出版社 : Les Editions de minuit
ISBN-10 : 2707319309
ISBN-13 : 978-2707319302
表装 : ソフトカバー(13X1x18)124頁
全体評価 :(3/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(3/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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52歳になるモーリス・ラヴェルが、Monfort-l'Amaury の邸宅を後にし、ルアーブルからアメリカ行きの汽船に乗り込むところから、この作品は始まります。そして、それから、ラヴェルが、息を引き取るまでのモーリス・ラヴェルの10年間の様子を語った作品です。
ラヴェルのアメリカ旅行の様子、フランスへ帰国してからの生活ぶりが、数々のアーティストとの交流などのエピソードと合わせて描写されます。
小柄で、細身のラヴェルは、その体躯のため、兵役免除になるはずだったのですが、本人の熱心な請願により、軍隊に入隊が認められたものの、彼が配属されたのは、希望した飛行機パイロットとは、ほど遠い、大型トラック運転任務だったとか、
彼の傑作だといわれている「ボレロ」に対して、ラヴェル自信は、「音楽のない、リズムとアレンジのみで構成された曲」、だと思っていた事実、
シベリアの収容所で右腕を失い、左手のみで演奏するピアニスト、パウル・ウィトゲンシュタイン(Paul Wittgenstrin)に請われて、作曲した、「左手のためのピアノ協奏曲(concerto pour la main gauche) 」
の初演に立ち会った際、あまりに創意に溢れるウィトゲンシュタインの演奏を聴いたラヴェルが憤慨した様子、
作曲家としては、優れた才能を持ちながら、演奏家としては、振るわなかった事実、
又、ラヴェルは晩年、アルツハイマー症の様な、病にかかり、少しづつ、知覚が失われてゆく様子などが、堅実な表現で、生き生きと描写されています。
普通の伝記と違って、決してラヴェルを神聖化せず、彼のそのままの姿を語った作品。
ラヴェルの晩年の様子を知りたいとお思いの方にお奨めしたい作品です。





