フランス現代女流作家による現実を空想の間を行き来する短編集
2007-01-13
「Zoo」
著者 : Marie Darrieussecq
出版社 : P.O.L
ISBN-10 : 2846821348
ISBN-13 : 978-2846821346
表装 : ソフトカバー(14x2x21) 256頁
全体評価 :(4/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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著者が、1988 年から 2005.年に、あちこちの雑誌等に、書いた短編を集めた、短編集。
現実の世界と空想の世界の境界がぼやけ、知らぬうちに、未知の世界に足を踏み入れてしまった。
そんな感じのする下記の15の短編が収められています。
「Quand je me sens très fatiguée le soir 」
心身共疲れきっていて、どうしようもない時に、行きたくなる所がある。
だけど、規則により、その場所には、1ヶ月に1度しか行けない事になっている。
その場所とは・・・
「Le Voisin」
叔母さんから、ニューヨークのダコタハウスにあるアパートメントを相続したラッキーな主人公は、最高に幸せな毎日を過ごしていたのだが、ある日、彼のアパートメントの上の階に、長髪で丸めがねの男と小柄な東洋人のカップルが引っ越してきてから、彼の生活は、大きな変化を遂げる。
「Connaissance des singes」
海外旅行に行く母の頼みで、彼女のペットのチンパンジーの面倒を見る事になった主人公の話。
「Célibataire」
主人公の避妊ピルに関するモノローグ。
「Nathanaël」
電気関係にメチャ強い、いたずら坊主の話。
「Juergen, gendre idéale」
飼い猫が行方不明になって意気消沈している母親のために、ロンドンからミュンヘンまで、主人公は駆けつけたのだが・・・
「On ne se borde pas tous les jours les jambes」
成人すると脱皮するのが普通という世界に住んでいる女の子が主人公。彼女は、姉の結婚式のために、足に刺繍することを決心したのだが・・・
「Simulatrix」
パーディーで、出会い、意気投合した女性は、主人公が小説家だと知ると、自分の処女喪失と、セックスに関しての話を始める。
「My mother told me ...」
ある日、自分の部屋に、正体不明の生き物が姿を現して・・・
「La randonneuse」
冬の吹雪の夜、人里はなれた山の中腹にあるロッジで、小説を書こうとしている主人公だったが、何者かが彼女の扉をノックした。
「Plages」
海と海岸についての思い出を語った作品。
「Isabel」
Don Juan-Baptista Arrantxaga de Guadalupe の娘、Isabelが、家に帰ってきた。
病院の眼科医は、目には異常がないと断言するが、Isabel 目が見えない。
「Noël parmis nous」
私が意気消沈しているのを感じた母は、私に、Cérangeにある家で、休養する事を進める。
「Mon mari le clone」
心臓発作で、早死にした夫を冷凍した妻の話。
「Encore là」
帝王切開で、二人目の子供を出産した女性の話。
バラエティーに富んだタイプの作品が入った短編集。
私の好みに合わない作品もいくつかあったけど、
「へえ、これは、面白い」
と、言いたくなり、誰かに読ませたくなるような作品もいくつかありました。
Marie Darrieussecq さんの作品を読むのは、これが初めてなのですが、中々達者な書き手だという印象を持ちました。
彼女の他の作品も読んでみたくなりました。
私のお気に入りは、人間の不可解な心理をうまく表現した
「Quand je me sens très fatiguée le soir」
「Le Voisin」
「Juergen, gendre idéale」
とてもよく出来た怪談
「La randonneuse」
ラストが圧巻な、
「Isabel」
「Noël parmis nous」
の、6編です。
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