Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

フランスで家をリフォームしようとした男の災難を語った小説


tanneur
  「Vous plaisantez, Monsieur Tanner」
 著者 : Jean-Paul Dubois
出版社   : Editions de l'Olivier
ISBN-10  : 2879294681
 ISBN-13  : 978-2879294681
表装 : ソフトカバー(14x21)198頁
 

全体評価  : (4/5)
フランス語難易度 : (3/5)
読みごこち : (4/5)


* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら



動物のルポ映画の監督のPaul Tanner さんは、叔父さんから、古い館を相続する。でも、この館は、あちこちが痛んでおり、まともに人が住めるようにするためには、屋根の修復から、電気配線、等など、大がかりな工事が必要だった。

Tannerさんは、現在自分が住んでいるを売り、この館の改装費に宛てる事にする。
以前住んでいたを、自分で、あちこちリフォームした経験のあるTanner氏だったが、専門的な知識や技術が必要な工事、規模の大きい工事には、プロに仕事を依頼する事が必要。

屋根がかなり傷んでいたので、まず初めに、Tannerさんは屋根職人に、連絡を取る。
Tannerさんのにやってきたのは、Pierre とPedroという、ラジオを大音響で鳴らしながら仕事をする二人組。
この二人の仕事ぶりは、信じられない程いい加減。彼らの仕事振りを遠くから見ていた隣人には、
「あいつら、仕事の仕方を全く心得ていない。叔父さんだったら、絶対あんな奴らを雇わなかったよ」
と言われる有様。
おまけに、Tannerさんは彼らが仕事場に連れてきた6匹の犬に噛まれてしまうが、彼らは、全然悪びれた様子さえ、見せない。
それにも我慢していたTannerさんだが、ついに、彼は、自分が彼らを信頼したのが大間違いだったと気づく出来事が起こる。

1章が2ページから5ページと、とても短い上に、本自体もそれ程長くないし、とても読みやすい文章で書かれているので、すらっと読めてしまった作品。

「Une vie française 」で、2004年に、『フェミナ賞(Prix Femina)』と、フランスの大手チェーン書店フナック主催の『フナック・小説賞(Prix du Roman Fnac)』をダブル受賞したJean-Paul Dubois 氏が、、自分のを改装した際の体験を元にして書いた小説。
なんでも、風の噂によると、ぼらりにぼられ、改装費に莫大な費用がかかり、かなり難儀したとか・・・

「Une vie française 」は、私は、あまり好きになれませんでしたが、全く違ったトーンで書かれたこの作品は、かなり楽しみながら読む事が出来ました。

この小説は、主人公が、の改装の際に仕事を頼んだ色々な職人さんたちの仕事ぶりと人柄を語りながら、主人公がどんな災難に遭遇したかを語ったものです。

実際、「フランス人の仕事振りは、日本人と比べにならないほどルーズ」

と、叫びたくなる場合がが往々にしてありますが、この作品の初めに出てくる、屋根職人は本当にヒドイ。

でも、これは、話を面白くするための作り話?

なんて、思ったあなたは考えが甘いですよ。

フランスで暮らした事のない人には、信じがたい事かもしれませんが、この作品に出てくる信じられない程いい加減で、ずうずうしい職人は、不幸なことに、実際にフランスに存在します。
そして、その被害者も後を絶たないようで、消費者センターは、仕事を頼む前には、必ず、職人組合に身元照会した方が安全なんて、注意をしています。

こんな職人に当たってしまったらホント、大変。ああ、かわいそうなTannerさん。

でも、別に笑いを取ろうとして書かれた様子はないし、主人公の不幸と怒りは良く分かるのですが、テレビのコントを見ているみたいで、ほのかなユーモアが感じられます。

そう、他人ごとなので、「ああ、可哀想、なんてヒドイ!」などと思いつつも、なんとなく、可笑しい雰囲気が漂うクールな文体で、書かれているので、楽しみながら読む事が出来ました。

だけど、話がどんどん進んでゆくたびに、主人公も、職人さん選びに慣れてきたせいか、登場する職人さんたちも、少しまともになって来ます。

それでも、自分達の事を3人称で語り、女性のヌードポスターを壁に貼って仕事をする、おかしな二人組みや、狂信的なキリスト教徒のロシア人の配線工、ラスベガスに憧れ、オレンジの作業着を着たホモの二人組みなどの、

「どうして、こんな面白い人ばかり、雇ってしまったの?」

と、言いたくなる様な奇妙な職人さん達がオンパレード。

でも中には、

「ええ、フランスに、こんな人いたの?」

と、ビックリするような、Tannerさんに『サムライ』や、『花火の北野武』を思わせるてしまった、真っ正直な、配管工も出てきます。
(まあ、日本だったら、この手の職人さんに会うのは、それ程珍しくないと思いますが、確かにフランスでは、このタイプの職人さんは、あまり見かけませんね)

そんな面白い人達の仕事振りや、人なりをクールにそして、適量のユーモアを込めて語られます。

フランスのリフォームをお考えの方は、計画を実行に移す前に、向学のために、この本をご一読する事をお勧めします。

私は、この本を読んでから、どうしてフランス人が日曜大工に精を出すのか、実感をもって納得出来ました。
 

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