繊細なグラフック、骨のあるストーリーの傑作漫画「Muchacho」最終巻
2007-01-09
Coup de coeur
「Muchacho、tome 2」
著者 : Lepage
出版社 : DUPUIS
ISBN-10 : 2800138661
ISBN-13 : 978-2800138664
表装 : ハードカバー(24x1x31) 90頁
全体評価 :(5/5)
ストーリー :(5/5)
絵 :(5/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら
Tachito大統領の独裁下にある中央アメリカのニカラグアが舞台。
Ruben神父に招かれ、教会の壁画を描くために、Nicaraguaの奥地の村を訪れた神学生Gabriel は、Tachito大統領の独裁政治に苦しむ村人達の実情を目にすると共に、Ruben神父と村人達が密かに、反政府ゲリアを支援している事を知る。
政府要職につく父がいるにも係わらず、村人達の生活と困難を知るにつれ、Gabrielは、ゲリアにシンパシーを抱くようになる。しかし、村人がゲリアを支援している事が政府軍に知れる。
軍人に捕らえられ、尋問を受けたGabrielは、真実を洩らしてしまい、そのため、村人達は、逮捕され、村は焼かれる。
(以上は上巻の最後の部分)
その後、何の咎めを受けることなく、父親の元に返されたGabrielだったが、自分が犯した罪に耐えかね、たった一人、何も持たずにジャングルに逃げ込む。
食べ物もなく、一人ジャングルを彷徨い歩き、傷つき、精も果て、
くたくたになったGabrielは、政府軍から逃げるため、道路を避け、
ジャングルを通りぬけ、国境へ向かうゲリアのグループと出会う。
2005年に初めてこの作品の1巻を読んでから、長い間待ちに待った、「Muchacho」の完結編の第2巻目です。
大衝撃を受けた上巻に、劣らない衝撃を私に与えてくれた稀に見る力を持った作品です。
第1巻のグラフィックにも、ページをめくるたびに、感嘆の念が洩れましたが、この第2巻のグラフィックは、それ以上の迫力を持った作品です。
一こま一こまは、切り取って額に入れて飾りたくなってしまう水彩画の様に、どんな小さなコマですら、構図、表情、細部の色使い等、手を抜くことなく、丁寧に描き込まれています。
又、ジャングルの描き方もスゴイ。
生い茂る植物、巨大な根を持つ巨樹、うねる枝、夕日に紫色に染まった空、黄色に染まった木々、夜のジャングル・・・
表現するのがとても難しいジャングルの風景を、繊細な表現力を持って表現しています。
又、ホモセクシュアルという、とても描きにくいテーマが出てくるのですが、これも、芸術的に、とても美しく表現されているので、読んでいても、ショックを受けるどころが、これにも感嘆の念が洩れました。
そして、ストーリーの方も、骨があり、読み応えバッチリ!
一人のブルジョア生まれの少年が、政府の横暴に苦しむ村人たちの生活を知り、ジャングルの中でゲリアと行動を共にしながら、成長してゆく姿を描いた作品なのですが、独裁政治に反対する民衆蜂起と、少年の自分探しを通して、本当の芸術は一部の特権階級のものではなく、民衆の心を掴む力を持っていなければならないという、著者の強い主張が感じられました。
あるフランス人が
「manga(日本の漫画)は、娯楽。だけどBDは芸術」
と豪言していたのを聞いて、
「manga だって、芸術とまでは行かなくても、かなりいい線いってるのもあるし、BDだって、かなり下らないものあるので、これはとんでもない偏見」
と、憤慨した事があるのですが、
このような作品を目にすると、彼の言葉にも一理ある事を認めなければならないと思いました。
グラフィック、ストーリーともに、読み応えのあり、読みやすいと、3拍子そろった、超超お勧めのフランス漫画です。
読み終わった後、「金返せ」と叫びたくなるBDが多い中、これで、14ユーローは、ホントお買い得だと思います。
下記のBDのイラスト販売サイトでは、「Muchacho、tome 2」の中の一部のページを見ることが出来ますので、目の保養をなさりたい方はどうぞ。
http://www.danielmaghen.com/Default.
asp?Action=Series&Album=&Auteur=Lepage&AuthorId=69&serie=
Muchacho&ShowActu=1&mStep=1
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