ルノドー受賞作家フィリップ クローデルによる傑作中篇小説
2006-12-20
Coup de coeur
「La petite fille de Monsieur Linh」
著者 : Philippe Claudel
出版社 : Stock
ISBN-10コード: 2234057744
ISBN-13コード: 978-2234057746
表装 : ソフトカバー(14x1x22)159頁
全体評価 :
フランス語難易度 :
読みごこち :
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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この小説の主人公、Lihn さんは、初老の男性。 家族を戦争で失くした、Lihn さんは、戦争から逃れるため、生まれ育った国を離れ、着古したわずかな衣類に、故郷のひと握りの土と、日に焼けた写真をスーツケースに入れ、汽船に乗り、匂いのない国へやってきた。
Lihn さんの亡くなった息子夫婦には、Lihn さんの国の言葉で「やさしい朝」という意味の名前のSang Diû という名の孫娘がいた。Lihn さんの腕には、Lihn さんに唯一残されたSang Diû が常にしっかりと抱かれていた。
Lihn さんは、港の近くの、寒くて灰色の町にある難民収容センターで暮らし、政府が彼の書類を審査するのを、待っている。 建物に閉じこもりきりのLihn さんに対して、外の空気を吸わないと体に悪いと、センターの世話役は外に散歩に出るよう促す。
彼女のアドヴァイスに従い、Lihn さんは、風邪をひかぬよう、洋服をたくさん着込んで、Sang Diûを抱いて、散歩に出る。
そして、そこでLinh さんは、Barkという、初老のフランス人を知りありになる。 フランス語を全く理解しないLinh さんに、Barkは、亡くなった妻の思い出を語りはじめる。 そして、Linh さんと、Bark さんの間に、奇妙な友情が芽生え始める。
この本の日本語訳を、かなり前に、猛読家のかつきさんが、猛読酔書で、紹介されていました。それで、ずうっと読んでみたいと思いつつ、図書館では、いつも貸し出し中。
予約せねばと思いながら、続けて読まないと前巻のストーリーを忘れてしまうのシリーズ物の本の予約を優先してしまうので(私の町の図書館では、一度に1冊しか予約できないのです(T.T) )、後回しになってしまっていたのですが、先週、図書館に行った時、ちょうど、この本が返却されたところでした。
ラッキー。
読み終わって、
「こんなに素晴らしい本なら、自分で買って、もっと早く読めばよかった!」
と、臍を噛みました。
センシビリティーに溢れた表現、人間に対するやさしい目線、人の心のひだに、ジンジンと沁み込んでゆき、湖に広がる波紋のように、感動が広がってゆく、そんな作品です。
ラオス、カンボジア又は、ヴェトナムだと思われる国から来た、Linh さんに、Bark さんが、若い頃、兵役でインドシナに行った折の苦い思い出を語るあたりなど、とても心を動かされたのですが、そんな感動すら微々たる物に思えてしまう程、強烈なラストには、言葉に言い表せないほど、動揺させられました。
最後まで読み終えたら、本を閉じる前に、もう一度、初めから読み返せずにはいられない、そんな本です。
これから、この作品を読んでみようとお思いの方の妨げになるので、あまり詳しく書く事は出来ませんが、一言で、この作品を形容するなら
フランスで絶賛され、かなり売れた作品なのです。
とても平坦なフランス語で書かれている上、一つの章の長さが短いく、全部で150ページちょっとの作品。 とても読み易く、すらっと読めてしまった作品です。
ですから、フランス語の文法をある程度マスターしたので、何かフランス語で読んでみたいとお思いの方にも、お勧め出来る本だと思います。
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