シシリアの貧しい村を逃げ出し、アメリカ暗黒街のボス、そして上院議員になった男の半生を語る「Le siècle des chimères」シリーズ第3巻
2006-12-19
Coup de coeur
「Le siècle des chimères,Tome 3 :Les anges de Palerme」
著者 : Philippe Cavalier
出版社 : Anne Carriere
ISBN-10 : 2843374014
ISBN-13 : 978-2843374012
表装 : ソフトカバー(16x24)460頁
全体評価 :(5/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら
全4巻からなる「Le siècle des chimères」シリーズの第3巻目
隠れている元ナチスの密殺を生きがいとしているRuben Hezner の後を追い、Thörun Gärensen は、アルゼンチンへ赴く。
Thörun Gärensen は、彼の妻の死を図った、かつて友人であったDandevilleからの手紙を受けとり、彼が死んでいなかった事を知る。
彼は、偶然にアルゼンチンで再会した、ベルリン時代の友人Sacha Hornung が、元ナチスの逃亡への便宜を図っている事を知り、彼に、Dandevilleについての情報を求める。
ところが、Thörun は、Sachaとの待ち合わせに現れた、男に拉致されてしまう。
このThörun Gärensen の物語と並行して、第2巻でちょっと顔を出した、アメリカ上院議員、Luigi Monti,
の物語が語られる。
シシリア島の小さく貧しい村で生まれた Luigi は、母親と祖母と3人で、村はずれの丘にあるあばら家に住んでいた。
医者に見せても治らない病にかかって村人達は、不思議な治癒能力を持っているLuigi の母親の元に、こっそりと足を運び、病気を治してもらっていた。
この村のVittorio司祭は、キリスト教の教えのみに囚われない、広い知識と考えを持っている人物だった。
ある日、Luigiの利発さを見込んだ村の司祭Vittorioが、母親に、Luigiの面倒をみたいと申し出る。
Luigiの母親は、司祭の申し出を喜んで受け入れ、Luigiは、司祭の家に住み、司祭の手伝いをしながら、読み書きを習得していった。
そんなある日、司祭は、過疎に悩む村を救うため、Luigiの母親に相談を持ちかける。
もし、この村に奇跡が起これば、イタリア中から人が詰めかけ、村が発展するのではないかと、思った司祭は、彼女の治癒能力の源となる像をマリア像の中に隠す事を思いつき、Luigiの母親の考えを仰ぐ。
Vittorio司祭を信頼し、村の事を思う Luigi の母親と祖母は、司祭の提案に承諾し、治癒能力を持つ像を造り、マリア像の中に隠す。
マリア像を教会の地下に設置した司祭は、教会の工事の際に偶然この像が見つかったように演出する。
屋根から落ちて、頭がおかしくなった男が、マリア像に祈ったため、正気を取り戻す。
それから、この奇跡をもたらすマリア像のうわさは、シシリア島を駆け巡り、人々がこの小さな村に詰め掛けるようになり、村は繁栄をきわめるようになる。
だが、Vittorio司祭の死により、事態が急転し、Luigiの運命を変える出来事が起こる。
今まで読んだ「Le siècle des chimères 」シリーズの中で、一番おもしろかった作品。
第1巻の「Les Ogres du Gange」と、第2巻の「Les loups de Berlin」も、かなり面白かったけど、それを遥かに上回る出来。
スピーディーかつドラマチックにストーリーが展開するので、かなり長い本なのですが、読み終わるまで、本を手放せませんでした。
特に、Luigi Monti の波乱万丈に満ちた人生には、手に汗握って読みました。
シシリアの貧しい村の中で一番貧しい家庭に生まれた主人公、Luigi Monti は、村を追い出され、シシリア島を放浪した挙句、アメリカへ移民し、マフィアの下走りを経て、殺し屋に。
殺しの依頼を受けた弁護士Preston Wareを殺害する際に、不可解な出来事に遭遇し、当惑しているうちに、警察につかまり、刑務所へ。
電気椅子送りの判決を受けますが、彼の死刑執行の際に、電気椅子が故障し、Luigi は、すんでのところで死を免れます。
それからも、ストーリーは、世界大戦をはさんだアメリカの暗黒街を舞台に、アクションたっぷり、波乱万丈に展開。
いやぁ、面白かった。
一部、マフィアの残酷なリンチ場面がちょっこり出てきますが、私は飛ばして読みました。
この巻では、弁護士、Preston Wareにまつわる謎が未解決なまま、終わってしまうのですが、多分、次巻で明らかになるのではないかと思います。
これで、Galjero夫妻の後を追う、狩人は3人。
次の巻、第4巻でこのシリーズは完結なので、次は、Galjero と、この3人の対決になるのではないかと思います。
今からワクワク。
この本の裏表紙によると、第4巻の刊行予定は、2006年10月だとの事。
まだ、図書館に入っていないようですが、入館したら、絶対、読みます。
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