Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

9月11日の同時多発テロには、ブッシュが一枚かんでいた?!」という説が出てくるフランス製サスペンス小説


arcanes
  「Les arcanes du chaos」 
 著者 : Maxime Chattam
出版社 : Albin Michel
ISBN-10 : 2226173226
ISBN-13 : 978-2226173225
表装 : ソフトカバー(15x3x24)458頁
 

全体評価  :
フランス語難易度 :
読みごこち :


* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら



Yeal Mallan は、パリにある剥製所に勤務する、27歳の女の子。
奥手の彼女は、人並み以上の容姿を持ちながら、中々自分から好みの男性にアプローチする事が出来ず、恋人がいない。

週末の金曜日、一緒に遊ぶつもりだった女友達から、逢えないという連絡が入る。
Yeal は、彼女のアドヴァイスに従い、出会いを求め、夜の街に繰り出し、あるバーで一目ぼれした男性に、思い切って声をかける。
Thomasという名のカナダ人ジャーナリストの彼とYealは、打ちとけ、別れ間際に彼はYealに、携帯電話の番号を残す。

その夜、自宅に戻ったYeal は、浴室の鏡に何者かの影が映っているのに気づく。
しかし、部屋の中には何者もいない。奇妙に思ったYeal が、再び鏡を見ると、影は消えていた。

そして、彼女の部屋のパソコンが勝手に動き出し、ワープロソフトがひとりでに立ち上がり、画面に

『Nous ... sommes .... ici..... Avec ... vous(我々は・・・ここに・・・あなた・・・と主にいる)』

というメッセージが現れる。

翌日、勤務先で、又、不可解な出来事に直面し、Yealは、普段降りたことのない地下にある、剥製作業場へと降りて行く。 そして、そこで、壁にかかった鏡に映る自分の顔の上に少しづつ、影が現れ、文字の形をなし、メッセージを映し出されるのを目撃する。

メッセージの最後の『A cette nuit(今晩に)』という、言葉に慄いたYealは、その晩一人で、いるのが怖くなり、Thomasを呼び出し、自宅につれて帰る。Yealの言葉に半信半疑だったThomas。しかし、インターネットに接続されていないパソコンに、再び現れたメッセージを見たThomasは、彼女に、メッセージの意味を一緒に探る事を提案する。

そして、翌日図書館で、調べ物をしている折に、Thomasは、不審な男が二人の様子を探っているのに気づき、男の後をつける。
そして、その出来事をきっかけとして、Yealは、命を狙われる羽目になる。


以前に紹介した、同著者による、ちょっとグロテスクな場面だ出てきた殺人事件がテーマの「L'âme du mal 」「In tenebris」とは、まったく違ったタイプのスリラー小説。

『世界は、一握りの人々の思惑により、コントロールされている。 アメリカ大統領も、彼らの思惑により、動かされているし、パールハーバーも、タイタニック号の沈没も、ベトナム戦争も、9月11日の同時多発テロも、全て彼らが仕組んだこと』

という、実際に、一部の人々の間で、まことしやかに囁かれている、世界陰謀説が、このフィクションのテーマ。

この手の説を本気で信じ込み、その調査に一生を捧げている人たちがいる事は、前々から知っていたのですが、この作品では、この手のタイプの人が登場し、数々の資料を元に『陰謀説』を証明しています。

「ダヴィンチ・コード」も、ひどかったけど、
「まあ、こじつけで、よくもここまで・・・」
と、ため息がもれました。

キリストに子孫がいたなんて、仮説と違って、この手の仮説は、現実問題に直接係わってくるので、現代史に対する正しい知識がない人達がこれを読んで、まともに受けたら、ちょっとまずいんじゃないのぉ・・・と、少々心配になりました。

とても魅力的な仮説なので、それを信じるあまり、『パラノイア』と言われるまで、その調査にのめり込んでしまった人たちがいるそうですが、この小説でも、一見すると筋が通っているように説明されているので、この小説のせいで、その『パラノイア』の仲間入りをしてしまう人が出てくるかもしれないなぁ・・・と、思いました。

作品の内容に関しては、トップから、猛スピードでスタートした、「L'âme du mal 」 や、
「In tenebris」に比べると、初めのうちは、アクションが少なくて、少々、エンジンがかかるのが遅いような気がしましたが、Yael とThomasが、調査を始めるあたりから、どんどん加速して、パリの地下道での追跡に、パリ市内のカーチェイス、そして、レマン湖近くの湖に沈んだ村への潜水等など、読者サービスたっぷり。

やっぱりマキシム シャタムの作品は、読み始めたら止められない、

と、再度実感しました。

又、万引き防止のために開発され、フランスでも徐々に浸透してきている、RFIDチップが、個人情報の漏洩に繋がる事、又、インターネット、クレジットカードにより、個人情報が筒抜けになっており、個人を簡単に監視することが出来るようになった事実など、が、作中、出てきますが、この下りは、とても興味深く読みました。

気軽に読めるエンタメ小説。
一つ目の罠は、最初から分かったけれど、2つ目のには、しっかりひっかかってしまいました。

最後まで読んで、
「ありゃ?」
本をざっと、読み返して、
「いやぁ、こりゃぁ、一本取られてしもうた」
と、言いたくなりました。


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