Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

クローンとナルシスの伝説を題材にしたBD「パンドラボックス第1巻」

「Pandora Box, Tome 1 : L'orgueil」

pandora 1
  ストーリー: Didier ALCANTE
作画   : Didier PAGOT
着色   : Christophe ARALDI
出版社 : Dupuis
ISBN-10 : 2800136278
ISBN-13 : 978-2800136271
表装 : ハードカバー(24x1x30)48頁
 


全体評価 : (5/5)
ストーリー : (5/5)
絵        : (3/5)
フランス語難易度 : (3/5)
読みごこち : (4/5)

* この表の見方はこちら


アメリカの大統領選挙の5日前、民主党代表の現役大統領のNarcisse Shimmerが有力だと、アンケート調査は示していた。 

Shimmerのライバルの候補者Costnerは、私立探偵のRon Grubbに、Shimmerの人気を落とすスキャンダルを見つけるよう、依頼する。

Grubbは、Shimmerが、スタジアムで行われたミーティング中に、携帯電話で会話した事に目をつけ、Shimmerが、産婦人科医と会話をした事をかぎつける。


パンドラの箱から飛び出した人間の災いの元となった言葉のうち、人間の七つの大罪と呼ばれる、「Orgueil (傲慢)」「Paresse (怠惰)」 「La gourmandise (暴食)」 「La luxure (色欲)」 「L'avarice (強欲)」 「L'envie (嫉妬)」 「La colère (憤怒)」の7つの言葉と、人間に、残された「L'espoir (希望)」が、それぞれの巻のタイトルになった、パンドラボックスシリーズ。

全部で8巻ありますが、それぞれの巻で、お話が完結する、読みきりタイプのシリーズです。

このシリーズ、とても凝ったつくりになっています。

各巻で、現在私達の生活に入り込んでいるハイテク技術を一つ取り上げ、
その技術が人間にもたらす災いを、タイトルとなった言葉に絡めて語るという仕組みになっているのですが、それだけでなく、各巻のストーリーは、ギリシャ神話の中のお話に発想を得て作られています。

つまり、それぞれの巻のストーリーは、

・タイトルの人間の七つの罪源の一つ
・現在話題になっているハイテク技術
・ギリシャ神話の挿話、

の、3つの支柱を元に構成されていることになります。

このパンドラボックスシリーズの第1巻のタイトルは「Orgueil(傲慢 )」で、泉に映る自分に見とれてしまった「ナルシス」の神話が下敷きとなっており、取り上げられているハイテク技術は、『クローン』です。

アメリカの大統領選挙を巡り、選挙を取るか、プライベートを選ぶか、板ばさみになる大統領候補を中心に据え、そして、それに、現在問題になっている不治の病の治療のための人間の細胞のクローニングの許可の問題をからめ、スピーディーにストーリーが展開します。

なかなか読ませるストーリーでした。

絵の方は、BDのクラシックなタイプの絵です。
人物の描き方に、ちょっと癖があるような感じがしましたが、背景など丁寧に描かれており、スムーズに読む事が出来るよう、考えられて描かれている漫画です。

チョット見たところ、幾分テキスト部分が多いような印象を受けますが、漫画化の仕方がうまく、スピーディーに話しが展開するので、読み心地は、悪くありませんでした。

どうして、このお話が、『傲慢(自己愛)』で、『ナルシス』のお話と関係があるのかは、ラストにならないとわかりませんが、なかなか気の利いたタイトルの付け方だと感心しました。

第2巻のタイトルは、『怠惰』。どんなストーリーになるのか楽しみです。

Pandora box の公式サイト(仏語)
http://pandorabox.dupuis.com/fr/intro.html
(アニメーション画面の右下の Passer l'intro をクリックするとサイトに入れます)
  
http://pandorabox.dupuis.com/fr/home2.html
(デモ・アニメーションを見ないで直接サイトに入れます)

又、下記のBDサイトでは、ストーリー担当のDidier ALCANTE氏のインタビューを読む事が出来ます。
http://www.sceneario.com/sceneario_interview_ALCA3.html 

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