元モデルのフランス女流作家によるパズルのような小説
2006-12-10
「Cet effrayant besoin de famille」
著者 : Stéphanie Janicot
出版社 : Albin Michel
ISBN-10 : 2226172270
ISBN-13 : 978-2226172273
表装 : ソフトカバー(14x2x20)244頁
全体評価 :(4/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら
スペイン生まれで、現在パリで、シルバーエイジの演劇サークルを指導しながら、バーでウェトレスをして生計を立てている、主人公のSanta Maria Albaranは、40歳に手が届く元女優兼モデル。
社会的に地位のある男にプロポーズされた経験があるが、彼女は結婚に踏み切れず、いまだにパリ、レアールのアパートで一人暮らし。
彼女の父Pabloは、彼女の母Michèle Robinと結婚する前に、結婚したMonique Girodとの間に、Vincent、 Béatriceという男女そして、ローマ滞在時に同棲していたGrazekka Noza との間に、 Gianlucaという男の子を儲けていた。
一人っ子で、常に兄弟にあこがれていたSanta だが、父の葬儀の際に会った、高級官僚のVincentと、美容整形医と結婚したBéatriceの態度に、戸惑いを感じる。
イタリアに住む、Gianlucaと、その息子Marcantonioとは、心を通わせる事が出来たが、相続に絡まるごたごたに巻き込まれたSantaは、Vincentと
Béatriceに押され、それから長い間良心の呵責に悩まされる決断を下してしまう。
血縁関係が今回の Stéphanie Janicot の作品のテーマ。
ストーリーは、2004年の『現在』と、10年前の1994年の間を何度も行き来します。
1章の長さは短くて読みやすいのですが、章が変わるたびに主人公と時代が変わるので、初めのうちは少々戸惑い気味。
作中人物の関係もちょっと込みいっているので、何度も本の冒頭についている系列表を見ながら、読み進めました。
この小説は、ジグゾーパズルの様に構成されているみたい。
はじめのうちは、ばらばらなパーツのどれとどれとがかみ合うのか、良く分からないけれど、読んでいるうちの、それぞれが繋がりを見せ、少しずつ著者の意図するところが明らかになって行きます。
私が以前に読んだ、同じ著者により書かれた作品
「La constante de Hubble」や、「Tu n'est pas seul(e) à être seul(e)」に比べると、初めのうちは、少々とっつきにくい感じがする作品ですが、すべてのお膳立てが揃ったところから、物語が急に進展し、気分爽快のラストまで一気に読者を導いて行きます。
普通の家庭に生まれて、兄弟に恵まれた私には、「家族(血族)」にこれほど熱い憧れを抱いているヒロインの思いには、理解しがたいものがありますが、そんな私にも、彼女の気持ちが痛いほどわかり心がきりきり音を立てて痛みました。
Stéphanie Janicot の作品はこれで3作目ですが、この人は、本当に心理表現に長けている作家だと、改めて感嘆しました。
著者は、心理表現に長けているだけでなく、ストーリーテラーの才能もあるので、とても読み応えのある作品に仕上がっています。
そうそう、「La constante de Hubble」に登場した女性弁護しのAlmaがちょい役で、顔を出しています。
Stéphanie Janicot さんの作品は、これで3作目ですが、彼女は、お気に入りの作家の一人になりました。
ああ、それから、これは、蛇足になりますが、
著者は、モデルから小説家に転職したそうです。
天は、ある人にはニ物も三物も与えるって、本当のようですね。
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