フランス、ルアーブル港の沖仲士一家を描いた力作
2006-12-09
「Quai des Amériques」
著者 : Martine-Marie Muller
出版社 : Robert Laffont
ISBN-10 : 2221106121
ISBN-13 : 978-2221106129
表装 : ソフトカバー(14x3x22)394頁
全体評価 :(3/5)
フランス語難易度 :(4/5)
読みごこち :(2/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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1956年のクリスマスの夜、Jean-Marieは、ル・アーヴルの港を彷徨っている折に、数人の男達により、袋叩きに合っている男を助ける。
彼が助けたのは、沖仲士の間では、顔が広い、Hauchecorne家の家長の、 Gusこと、Gustave だった。彼の妻、Gigiは、沖仲士は、他の人々から、『泥棒、荒くれ』だという悪評を受けているため、彼らは、一般人とは離れ、このEureと呼ばれている一角で他の沖仲士達と共に暮らしていると、説明する。
Jean-Marieの生い立ちや、彼がル・アーヴルの港に行き着いたいきさつを聞く事もなく、Hauchecorne家は、Jean-Marieを自分の家族のように、受け入れる。
そして、Jean-Marieは、港で、力仕事をしながらGusの4人の子供と妻と一緒に暮らし始める。
力仕事をした事のない、Jean-Marieであったが、Gusらに助けられながら、沖仲士の一員として、働き始め、沖仲士からも仲間として認められるようになる。
そして、アルジェリア戦争が勃発する。 Hauchecorne家の息子Mayeulへも徴兵通知が来る。
アルジェリアに送られるのではないかと、誰もが危惧していたが、意外にもMayeulは、ドイツへ送られる。
やがて、Mayeulは、兵役を終え、ドイツから帰って来る。
そして、Mayeulは、ドイツで、兵役についていた折、上官が何気なく口にした言葉により、今までJean-Marieが誰にも打ち明ける事のなかった彼の生い立ちを知った事をJean-Marieへ告げる。
ある日、Hauchecorne家の末っ子で、唯一の女の子の、こと、Liloが病院で扁桃腺の手術の際に受けた血液検査で、自分が両親の子供でないことを知り、ショックで口をきくことを止めてしまう。
Liloから秘密を打ち明けられたJean-Marieは、内緒で、Liloの出生の秘密をさぐり、彼女に真実を告げる。
Liloは、沖仲士の娘は、中学を出たら、2,3年勤めて、沖仲士と結婚するものだと、Jean-Marieにぐちをこぼす。自分の未来に絶望的なLiloに、Jean-Marieは高校進学を勧める。
そして、Jean-Marieに、勉強をみてもらいながら、懸命に勉強をし、Liloは、高校へ入学し、バカロレアに合格する。彼女のバカロレア合格を祝うの夜に、Jean-Marieの部屋を訪れたLiloは、長い間彼女が彼のことを慕っていた事を告白するのだが・・・
1957年から1970年にかけての、ル・アーヴルの港で力仕事をする荒くれ男達と、その家族の生き様を描いた長編小説。
彼らの生活を通して、変化しつつあるフランス社会の様子が力強く描かれます。
ただ、淡々と、Hauchecorne家の家族の生活を描写するのではなく、ストーリーの中に、いくつもの秘密が繰り込まれているので、とても変化に富んだ作品となっています。
だだ、港での積載作業や、沖仲士に関する、日常使われない単語が続出するので、初めのうちは、読むにかなり苦労しました。 又、全てが文章により、説明されていなくて、行間を読まねばならないところが、かなりありました。
飛ばし読みするのではなく、じっくりと腰を据えて読むタイプの本だと思います。
歴史に埋もれており、現在すたれつつある、沖仲士という職業に従事した人々の生活を掘り起こし、小説という形で、後まで残しておこうとした、著者の意図は、素晴らしいものだと思いました。
フランスのテレビドラマの原作になりそうなタイプの本だと思いました。
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