ヤスミナ カドラの自伝的小説
2006-11-23
「L'Ecrivain」
著者 : Yasmina Khadra
出版社 : Pocket
ISBN-10 : 2266118811
ISBN-13 : 978-2266118811
表装 : ペーパーバック(11x1x18)286頁
全体評価 :(3/5)
フランス語難易度 :(4/5)
読みごこち :(3/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら
1997年に、本名を隠して、Yasmina Khadraのペンネームで、「Morituri」を出版して以来、覆面作家として、アルジェリアで執筆活動を続けていたYasmina Khadraが、初めて、自分が何者であるかを世間に明らかにした、記念的作品。
Khadra氏の士官学校付属の小学校、中学校そして高校時代を語った自伝的作品です。
著者は9歳の時、無理やり、アルジェリア軍隊の中尉であった父親により、母や兄弟にかこまれた暖かい家庭から引き離されて、高い塀に囲まれた、軍隊の規律が支配する全寮制の小学校に入れられます。
そこで、彼が経験した、苦い思い出、そして友達との思い出、サディックな教官による、理不尽な教育方法、父親から捨てられた母親と彼を含むその子供達が経験した辛酸、そして、文学との出会い、自分が書くために生まれてきたと、自覚するに至る経過などが、同時のアルジェリアの、士官学校付属の小中学校、そして高校での子供達の日常にからめて、生き生きと描かれます。
Khadra氏は、文章がずば抜けてうまいので、頁をめくるにつれ、彼の当時の経験を、まるで、自分が実際に体験しているような気持ちになり、アルジェリアの士官学校の付属学校の子供達が経験した、非人間的教育法、そしてKhadra氏の父親の無責任で自分勝手な態度に、怒りを覚えるようになります。
Khadra氏が、作家になりたい、という願いを捨て、両親の望む様、軍隊に士官する事を決意するところで、この小説は終わりますが、私は、高校卒業後の話が知りたかったので、続きが読みたいという読後感が残りました。
職業軍人というのは、Khadra氏の意思を無視した、自分方位で、子供を理解しようとしない父親により、強制された進路ですが、この軍隊生活経験が、Khadra氏の作品に大きな影響を与え、他の作家と一線を画する 作品が生まれる糧となった事は、否定する事の出来ない事実だと思います。
もちろん、Khadra氏の作家としての成功は、どんな状況にあっても、作家となる事をあきらめず、文章修練を続けた著者の意思があっての事なのですが、逆境を自分に有利なポイントに変えてしまったKhadra氏の意思の力と、皮肉な運命の力を強く感じさせられた作品でした。
一つの章の長さがかなり長いのと、語彙が豊富なので、フランス語難易度の評価は、



(ちょっと難しめ)になっていますが、全体的に読みやすい文章で書かれていました。Yasmina Khadraを知る上では、欠かすことの出来ない作品だと思います。
Yasmina Khadraの他の著作に関する記事
- 「La Part du mort 」
- 「L'attentat」

- 「L'Imposture des mots」
- 「Les hirondelles de Kaboul 」
- 「Les Sirènes de Bagdad」
copyright © Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド all rights reserved.




