アフリカに関するエッセーの傑作
2005-11-05
Coup de coeur
「L'Africain」
著者 : Jean-Marie-Gustave Le Clézio
出版社 : Folio (Gallimard)
ISBNコード : 2070318478
表装 : ペーパーバック(11x1x18)124頁
| 本の内容 | ☆☆☆ | 17/20 |
| フランス語難易度 | ## | 普通 |
| 読みごごち | ♪♪♪ | .すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
モーリス諸島出身の両親を持ち、幼年をアフリカで過ごした事のある、JMG Le Clézioが、アフリカへの想いを語った作品。
著者の父は、1928より、英国軍の軍医として、アフリカに勤務していました。
戦争が終わった1948年に、著者は、母親に連れられて、初めてアフリカの地を踏みます。
彼の父が勤務していたのは、ナイジェリアのOgoja、当時、この地に住むヨーロッパ人は、彼の家族だけでした。
大きな力を持つアフリカ、太陽、豪雨、植物、昆虫、すべてが桁違いにスケールの大きいアフリカ。
そして、自由にあふれている人間の体。
8歳の著者が初めて出会った、そういった未知の世界が、偏見のない子供の目を通して語られます。
決して、美しい思い出のみ取り上げているのではないし、美化しているわけではないのだけれど、彼の筆を通すと、彼の心の中に残っているアフリカの思い出は、心の琴線を揺らされる美しいメロディーに変わってしまいます。
厳格で、子供の頃、理解する事が出来なかった父の思い出。
普通のやさしい、お父さんになることのできなかったほど、厳しい人生を送ってきた父親。
20年以上、熱帯アフリカの奥地で、暮らし、広大な土地の唯一の医者として、多くの人々を治療し、
普通の人が生涯目にすることのない、悲惨な場面に数え切れないほど立ち会ってきた父。
著者は、父親が歩いてきた道を辿りながら、彼を理解しようと試みます。
そして、内戦に明け暮れる、アフリカ。Biafraの虐殺。
アフリカへ武器を輸出しているヨーロッパ諸国への批判。
この本を通して、著者は、アフリカと彼の父への想いを語っていますが、心を打たれたのは、その文章に漂う、SERENITE。
長い年月により、表面的なもの、余分なものがすべて、きれいに洗い流された、思い出。
その中に残った本質的な物のみが、灼熱の中をすっと吹き抜けて行く風のような、文章で綴られています。
この本には、挿入されている、彼の父が撮影した15枚のセピア色の写真からも、彼の父と著者のアフリカへの深い愛を感じる事出来ます。
『とても美しい言葉で綴られた、アフリカに関するエッセーの傑作』と、言っても決して過言ではないと、私は思いました。
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事へのトラックバックURL
http://lireenfete.blog27.fc2.com/tb.php/21-40a1370b


