謎めいたフランスの純文学系の小説
2006-09-22
「Qui est Memory ?」
著者 : Sylvie Doizelet
出版社 : Gallimard
ISBN-10 : 2070779807
ISBN-13 : 978-2070779802
表装 : ソフトカバー(14x2x21)176頁
本の全体評価 :(3/5)
フランス語難易度 :(2/5)
読みごごち :(4/5)
この表の見方はこちら
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
「Mary Dazill、Laura Crane、Cornelia Lord 、の、3つのペンネームを使い、推理小説を書いた作家の本当の正体を突き止めてもらいたい」、
という弟、Davidの願いを受け、この小説の主人公Mary は、 Windertonという、人口300人のイギリスの田舎にある村に移り住む。
Joannaという、村に住む女性が毎週木曜日に催す『Cours d'Adaptation à la Réalité(現実適応講座)』という名前のおしゃべりの集まりに参加したMary は、謎の推理小説家の推定年齢に相当する二人の女性、Glynn 、Brionyと知り合いになる。
Mary が借りた家の向かいにある館は、どういうわけか、毎晩、深夜12時になると、館中の明かりが点灯される。この館には、Bishop、という名の初老の男が住んでいる。村人誰も、Mary に、この奇妙な行いの理由を明かそうとはしない。
Mary は、Glynn とBrionyと親しくなり、彼女達のどちらが謎の作家であるのか、密かに探ろうとする。
暗く、鬱屈な感じがするイギリスの田舎の村が舞台の謎に満ちているミステリアスな小説。
とても読みやすい文章で書かれている短い作品なので、あっという間に読み終えてしまいました。
霧や雪に包まれた、しめやかで、ミステリアスなイギリスの小さな村、そして、そこで、ひそやかに暮らしている人々の雰囲気が良く伝わり、この本を読んでいる間、自分が Maryになり代わって、Windertonにいるような感覚を受けました。
本書の一番の魅力は、ストーリーでも、プロットでも、作中人物でもなく作品全体が醸し出すこの、独特の雰囲気ではないかと、私は感じました。
謎の作家が誰であるかを、Maryが密かに調べてゆく様子が、Glynn やBrionyの告白にからめて語られてゆくストーリーは、悪くないのですが、これといった強いインパクトは感じられませんでした。
でも、Bishopに関する謎が明かされる場面で、全てが一転します。
今まで、何気なく読んでいた場面が、別の意味を持っていたことが明らかになります。
この衝撃的な事実が明かされる場面で、私は、言葉を失いました。
そして、「これは、うまい!」と、思わず感嘆がもれました。
ただ、この場面がこの小説のピークで、その後は、ゆっくりと下降気味に話は続いてゆきます。
ラストがあいまいなのは、まあ、許せるにしても、いささか尻つぼみ気味な終わり方をしてしまったのが、私には、不満でしたが、それ以外は、かなり楽しめた作品でした。
この作品は、謎をテーマにしていますが、謎解きものでも、ミステリー作品でもありません。
ですがら、ミステリーを読もうとしてこの作品を手に取るとがっかりすると思いますが、純文学系の作品が好きな人には、お気に入りいただけるのではないかと思います。copyright © Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド all rights reserved.
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もし、あなたの評価と違ったらごめんなさい。m(_ _)m
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