マルセイユ周辺のプロヴァンスの村を舞台とした短編集。
2006-09-03
「Maudit le jour」
著者 : René Frégni
出版社 : Denoël
ISBN-10 : 2207258599
ISBN-13 : 978-2207258590
表装 : ソフトカバー144頁
本の全体評価 :(4/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごごち :(4/5)
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(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
学校嫌いで、兵役の際に脱走して、独房に閉じ込められるまで、本とは無縁な生活を送っていた著者が、いかにして、文学を発見したかを語った前書きというより、1篇の短編としても読める、「Avant-propos(はじめに)」の他、次の8編の短編が収録されている作品集です。
「Vierge noire」
いつもの様に、カフェのテラスで、ビールを片手にぼんやりしている主人公の前に、神秘的な美しい女性が現れ、大粒の赤い宝石を買ってくれと、頼みます。
どうせ贋物だろうけれど・・・、女性の美しさに魅せられた主人公が、この宝石を二束三文で買う事を承諾すると、女性は、
「じゃあ、又明日」
と、言い残し、立ち去っていきます。
彼女が立ち去った後、宝石店で、鑑定してもらうと、この宝石は、まがいもない世界で一番大きいルビーである事がわかり・・・
「Je vous ouvrirai les yeux bandés」
主人公の家にかかってきた間違い電話。
電話の相手は、魅力的な声の女性。彼女は、彼が著名な作家だと思い込んでいる。
興味にかられた主人公は、作家になりすまし、彼女の部屋を訪ねるのだか・・・
「Dans trois heures je verrai le diable」
スリラー小説のプロットを練る為、編集者の勧めで、プロヴァンスの小さな村に滞在した主人公だったが、殺人や事件とは、全く縁のない、だれもが愛想良く、平和で、のんびりした村の様子に、失望を感じつつも、ほのぼのとした幸せに身を任せつつある主人公だったが・・・
「Les 23 marches」
著者の敬愛する作家、Jean Gionoに対する想いを語った作品
「Virage sud」
マルセイユ界隈に住む者達とサッカーの関係を語った作品
「Un homme dans la ville」
処女作を出版し、トゥーロンのブック・フェスティヴァルに招待された主人公。
自分の著書が積まれたスタンドで、サインをしているうちに、彼の本を熱心に立ち読みし続ける奇妙な訪問者に気づき・・・
「Les plus beaux chants d'amour montent des prison」
刑務所で、実際に刑務所で、文章講座を担当している著者の経験を元に書かれたと思われる作品。
感動的な内容でした。
「L'homme qui passe」
クリスマスの夜の、ある浮浪者と赤ん坊の話。
これも、心にしみる話でした。
プロヴァンス出身による著者による、プロヴァンスとマルセイユの香りが漂う短編集。
謎めいたマリア像をめぐる短編から、ノワールなスリラー、エッセイ的な短編、人生のレールを踏み外してしまった男達の話、等、色とりどりの作品が収録されています。
どの作品を読んでいても、著者の「いくつもの試練を超えてきた者のみが持ちうる、やさしさ」を感じ、ページをめくってゆくにつれ、著者の綴る言葉が、ゆっくりと人間の心の奥に隠されているひだに、沁みこんでゆくような感覚を受けました。
Vierge noire 以外は、10ページ程度の短い作品ばかりです。又、どの作品も、とても読みやすいフランス語で書かれています。
この短編集の小説は、それぞれの味があって、なかなか、お気に入りを選びにくいのですが、ごく普通の人生を送る事のできなかった人達への、決して同情にならない、著者のやさしい視線が感じられる、
「Un homme dans la ville」
「Les plus beaux chants d'amour montent des prison」
「L'homme qui passe」
の、3作が特に心に残りました。
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