自閉症の少女をめぐるホラーミステリー
2006-08-30
「Le Silence de Clara 」
著者 : Patrick Cauvin
出版社 : L.G.F.
ISBN-10 : 2253117315
ISBN-13 : 978-2253117315
表装 : ペーパーバック(11x18)254頁
本の全体評価 :(3/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごごち :(4/5)
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(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
この小説の主人公は、映画のプロディユーサーFerdinand Bond。
Ferdinandの妻、Lornaは、恋人を見つけ、彼の元から去って行ったため、彼は自閉症の娘Claraと二人で暮している。
ある夜、Ferdinandは、Claraのノートをめくっているうちに、奇妙な文が書かれているのに気づく。
Nous avons atteint Ambler en fin de journée. La glace n'est pas suffisamment prise pour supporter le poids des traîneaux. quatre jours nous sommes partis. La ville est détruite comme prévu. 17 Septembre 2102.
我々は、夕刻、アンブレーにたどり着いた。 氷は,そりの重みに耐えられるほど厚くなかった。
我々が出発してから、4日が過ぎていた。 町は予定されていた通り、2102年の9月17日に、破壊された。
生まれてから1度も言葉を発した事がなく、微笑みすら浮かべたことのないClaraが、この様な文を書くことは不可能なはずだった。
不審に思ったFerdinandは、Claraが毎日通っている病院の自閉症児科の担当医Morlonに、心当たりがないか尋ねる。
Morlon は、病院の誰かが、Clara のノートに書き込みをすることは不可能だと断言する。
そして、ある夜、Ferdinand は、Clara 自身がノートに文章を書き込んでいる現場に直面する。
Morlonは、Clara が、眠っているときに、まるで寝言を言うように、唇を動かしているのに気づき、聴覚障害児担当の読唇術のエキスパートの助けを借りて、Claraが何を言おうとしているのか知ろうとする。
そして、Claraの唇が発した「Je suis à Névrasque. Venez.」という言葉を手がかりに、Ferdinand と Lornaは、Lornaの祖父の過去を探るため、Ardèche地方へ、向かう。
「Jardin fatal」(書評はこちら)で、お目にかかれた、スピーディーで、フランス的なクールなユーモアが作品中にちらばまれている独特のスタイルで書かれた作品。
ちょっとホラーがかっている、心理スリラーとでも形容したらいいのかしら?というような作品です。
かなりシリアスなテーマを扱っているのですが、ただスピーディーに筋を追ってゆくのだけではなく、ユーモアにあふれた映画制作に絡まるエピソード、主人公とその妻との思い出、男女の心理に関する適切な表現、情緒たっぷりな風景の描写などなどが、作品中に撒き散らされているので、とても快い読みごこちの作品でした。
この作品も「Jardin fatal」と同じ、現実には起こり得ない現象が作品のテーマとなっています。
今回は、生まれ変わりと前世がテーマ。
小説としては、おもしろいのだけれど、私は、自閉症の子供が身近にいる人がこの作品を読んだら、気を害するのではないかしら?という懸念が胸にしこりのように残りました。
今ひとつリアリティーに欠け、そんなわだかまりを胸に残しましたが、全体的には、かなり楽しめた本でした。
Patrick CAUVINの他の著作に関する記事
- 「Haute-Pierre」
- 「Huit jours en été」
- 「Jardin fatal」
- 「E = MC2, mon amour」
- 「Rue des Bons Enfants」
- 「Le sang des roses」
- 「Venge-moi」





