Fred Vargas著「Pars vite et reviens trard」
2006-08-22
「Pars vite et reviens tard」
著者 : Fred Vargas
出版社 : J'ai Lu
ISBN-10 : 2290349313
ISBN-13 : 978-2290349311
表装 : ペーパーバック(11x2x18)346頁
| 本の内容 | ☆☆ | 12/20 |
| フランス語難易度 | ## | 普通 |
| 読みごごち | ♪ | しんどかったです |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
現在は、ほとんど廃れてしまった「Crieur」という変わった職業についている Joss がこの作品の中心人物。
Crieur というのは、毎日、同じ時間に、市場や、広場等の人通りの多い場所で、メッセージを大声で読み上げる事で、収入を得る職業。メッセージを読んでもらいたい人は、規定の料金って、Crieurに、メッセージを読んでもらう。
この本を読んだ時には、メディアが発達していなかった頃はともかく、こんな職業が現在残っているとは信じられなかったのですが、ニュースを見ていたら、ブルターニュ地方で、現在、営業している「Crieur」の事を報道していたので、ビックリ。
この人は、この職業で生計を立てるというより、まあ、半分趣味みたいな感じでやっているみたいな雰囲気でした。
まあ、ニュースになるくらいだから、きっととても珍しい事なのでしょうね。
ところで、どんなメッセージが読まれるのかというと、ニュースで、耳にしたのは、「中古車売ります・・・とか、政府への批判、環境保護に対する呼びかけ・・・」というものでした。
さて、お話をあらすじに戻します。
パリで、「Crieur」をやっているJoss の元に、訳のわからないメッセージが、過分の謝礼と共に届くようになった。
一方、Adamsberg 警視 の元には、Maryse という女性が、自分が住んでいるマンションの全ての扉に謎のような印が黒ペンキで書かれているので、不安で仕方がないと、相談に来る。
数日後、別のマンションで、同様な印が黒ペンキで描かれ、唯一、印が描かれていなかったアパートで、死体が見つかった。死体に、煤がまぶされていた事から、警察はこの、不可解な印について捜査に、乗り出して行く。
「Sous les vents de Neptune」で(書評は、こちらをご参照下さい) 、エンジンがかかるのが遅い作品、と、書きましたが、この推理小説は、それを遥かに上回って、エンジンがかかるのが遅かった作品。
本のラストに差し掛かるくらいの所で、やっと、面白くなってくる作品でした。
それまでは、ちんたら、ちんたらと、坂道を自転車で登ってゆくような感じ。
何度も読むのを止めようかと思ったけど、「Sous les vents de Neptune」の事があったので、我慢して最後まで読みました。
ラストは、さすが、Vargas、かなり良かったので、それまでの苦労がまあ、報われた様な気持ちがしました。
目茶可笑しくて、楽しいキャラクターを描くのがお得意の Vargasですが、他の作品の作中人物達に比べると、今回登場する人達は、「Debout les morts」や「L'homme a l'envers」に出てくるキャラクターと比べると、まともで普通っぽくて、あまり面白くなかったので、少々がっかりきてしまいました。
だから、テンポが良くて、読み心地の良い作品をお探しの方や、この作品を通して、Vargasの他の作品に出てくる様な楽しい人物に出会いたいとお思いのの方には、あまりお勧め出来ない作品です。
「Debout les morts」のマルクが脇役で登場しますが、今回は、あまり強い印象を残してくれませんでした。
日本に比べると全体的な推理、サスペンス小説のレベルが少々低いフランスではかなり人気のある作品のようですが、私は、Vargasの作品の中では、今ひとつの出来、という印象を受けました。
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