Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

カルロス5世の秘法をめぐる騎士冒険物語

「Nostradamus et le dragon de Raphaël」

nostradamus
 著者       : Jean d' Aillon 
出版社 : Le Masque
ISBN-10 : 2702497756
ISBN-13 : 978-2702497753
表装 : ペーパーバック(11x18)460頁


  本の内容 ☆☆☆ 16/20
  フランス語難易度 ## 普通
  読みごごち ♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



1536年フランスのプロヴァンス地方で、この小説は始まる。
カルロス5世(Charles Quint)は、フランス征服を企み、軍隊をフランスへ進める。フランソワ1世は、Claude de Guiseに北フランスを、そして、Montmorency元師に南フランスの防御を任せた。

軍隊の規模を考えて、勝ち目がないとみた、Montmorency元師は、敵を兵糧攻めにすることにし、守りの固い、Avignon、Arles、Marseilleに軍隊を集結させ、そのほかの町や村から住民達を撤退させ、畑や家畜、貯蔵してあった食品を全て焼きはらい、川や井戸には毒を投げ込んだ。

エクソン・プロヴァンスを占領したのはいいが、守りが固いアルルを陥落することがならないまま、水と食料不足のため兵士の間では、疫病がはやり、義勇兵による攻撃により、軍隊の力は著しく減退し、カルロス5世は、退却を余儀なくされた。

カルロス5世 は、プロヴァンスのプロバンス地方から退却する事を決意した際に、それまでの間、略奪した金を、退却の途中、敵から盗まれる事を恐れ、お抱えの占星術師Ephraïmに、相談を持ちかける。

Ephraïmは、カルロス5世に、金をエクソンプロヴァンスに隠し、万が一、自らフランスに戻ることが出来ない場合を考え、隠し場所を暗示する手がかりを皇帝の子孫へ残すよう提案する。
Ephraïmは、財宝のありかを示す2編の四行詩をしたため、そのうちの一つを、カルロス5世が、旅のお守りとして持ち歩いているラファエルのイコンの裏に書き込んだ。

それから約30年後、ついに、フランスへ戻ることがかなわなかったカルロス5世は、息子の凡庸さに失望し、財宝のありかを明かすことをためらっているうちに、病に倒れる。彼は、死ぬ前に、財宝を隠したことを、彼の秘書をつとめる修道士に漏らす。
そして、フランスのどこかにカルロス5世の財宝が隠されていることを耳にはさんだ、スペインの残忍な異端裁判官 Valdés と、カトリーヌ・ド・メディチとその取り巻きらが、財宝を手にするため、ラファエルのイコンを探しはじめる。

その頃のフランスは、政治中枢を巻き込んだ宗教戦争が始まっていた。
プロヴァンス地方でも、カトリックとプロテスタントの間で血みどろな虐殺が相次いで起こる。

カトリーヌ・ド・メディチは、今はプロヴァンス地方に隠居している、彼女が絶対的に信頼している、占星術師ノストラダムスへ、財宝探しへの援助を求める。ノストラダムスは、カトリーヌ・ド・メディチの合意を得た上、自分子供の様に可愛がっている Yohanへ、問題のイコンを探すよう、依頼する。
Yohanは、カトリーヌ・ド・メディチ付きの侍女で、優れた武芸にすぐれたReynière de Sade と共に、イコンを探し始める。


宗教戦争真っ只中のフランスプロヴァンス地方を舞台にした、「Cape et épéé」と呼ばれている、騎士冒険小説です。

かなり長めの歴史小説なのですが、エンターテイメントとして、大変読みやすく書かれている上、謎、陰謀、そしてアクションに満ち溢れて、話の展開が早いので、読んでいるうちに時間を忘れてしまいまいました。

カルロス5世の隠された財宝をめぐって、実在した人物の中に、架空名人物を織り交ぜた、血の踊る、活劇。
プロヴァンス地方での、カトリックとプロテスタントの間の血みどろの争いを背景に、正義感にあふれる主人公、Yohanが大活躍します。

得体の知れない占星術師というイメージの強いノストラダムスがこの作品では、宮廷の虚偽にあふれる生活に嫌気がさして、プロヴァンス地方に隠居した、倫理観が強い賢人として描かれています。

プロヴァンス地方で当時実際に起こった血で血を洗うような目を覆いたくなるような残酷な虐殺の様子が、作品中出て来ますが、歴史的事実として、さらりと書かれているので、残酷ものが、とても苦手な私でも、何とか読みきる事が出来ましたが、それでも、当時の人々のあまりの残酷さに、驚愕しました。

著者は、カトリック、プロテスタントのどちらの側にもつかず、あくまで客観的に、両者の紛争を書いているのには、とても好感が持てました。

陰謀の渦に巻き込まれても、正義感を失わない、主人公を中止に据え、
美貌と手管でカトリーヌ・ド・メディチの目障りな敵を自由に扱ってしまう美女の侍女集団、Escadron volantの一員である剣の達人の美女Reynière de Sadeや、
カトリーヌ・ドゥ・メディチの絶対的な信頼を得ている、知性と正義に満ちた小人の貴族、
カトリーヌ・ド・メディチの腹黒い取り巻き達が、彩る波乱万丈な冒険物語です。

アクションがタップリな騎士の冒険物語が好きな方には、自信を持ってお勧めできる作品なのではないかと思います。

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