心理ホラー小説の傑作
2006-08-07
「Noces de paille」
著者 : Yves Hughes
出版社 : Calmann Lévy
ISBN-10 : 2702135706
ISBN-13 : 978-2702135709
表装 : ソフトカバー(14x20x1)188頁
| 本の内容 | ☆☆☆ | 16/20 |
| フランス語難易度 | ## | 普通 |
| 読みごごち | ♪♪ | すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
動物の剥製作りにかけてでは凄腕と、関係者の間で名の知れた、パリの剥製アトリエを構えるLukasは仕事の依頼を受けて、Honfleurへ向かう。
彼を待ち受けていた、老夫婦は、二人のうち、先に死んだ方の死体を剥製にして欲しいと、Lukasに依頼する。
剥製の技術を究めることを常に求めているLukasは、こ自分の剥製技術を試す最高のチャンスとばかりに、この奇妙な依頼を引き受けることにする。
生きている時と同じ様に見える完璧な剥製をつくるためには、 出きるだけ多くの情報を得る事が必要と考えた、完璧主義の Lukasは、隠れて、老夫婦の事を観察し始める。
そして、訪れる人のいない老夫婦は、時々彼らの家に足を運ぶLukasの事をかけがえのない友人と思うようになる。
そして、Lukasが、Honfleurのホテルに泊まっていることを知った、Léonceは、Lukasへ、彼らの家へ住むことを提案するのだが・・・
『Angoissant』という言葉がぴったり来るような作品。
血みどろな残酷な場面はないのですが、読みながら、心臓がドキドキ、神経キリキリと音を立てて軋んでゆく様な気がしました。
どことなく得体のしれないLukasが、老夫婦が気がつかないうちに、少しずつ、彼らの生活に入り込み、主導権を握ってゆく様子が、読者に不安が混じった恐怖をたっぷりと味合わせる様に描写されています。
作品のプロット自体は、決して斬新なものではないのですが、ディテールの描写、作中人物達の気持ち等の表現の仕方がとてもうまいので、読者の不安を増大させ、ぐんぐんと作品へ引き込んで行きます。
ラストもなかなか見事。
いままで、かなりの本を読んでいますが、こんな風に、読むものの気持ちを自由自在に操る作家に巡り合う事は稀。
そんな、稀な才能を持った作家だと思いました。
残酷な場面が出て来ない、ちょっとホラーがかった心理サスペンス小説を読んでみたいとお思いの方にお勧めしたい作品です。
とても読みやすいフランス語で書かれている作品でした。


