Stéphane Héraume の2作目の小説
2006-05-28
「Orkhidos」
著者 : Stéphane Héaume
出版社 : Zulma
ISBNコード : 2843042984
表装 : ソフトカバー(14x21) 288頁
| 本の内容 | ☆☆ | 11/20 |
| フランス語難易度 | ## | 普通 |
| 読みごごち | ♪♪♪ | すらすら |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
戦争から逃げるため、客船で、Old York へたどり着いた Véra Lovskyは、入国に必要な書類を所持していないため、どうやって税関を通り抜けようかと考えていた。 彼女の意図を察した、Maude Trucheという女性の助けにより、Véraは、税関を難なく通りぬけることに成功し、 その後、彼女はMaudeが支配人として働く、高級クラブOstrich Clubで、働くことになる。
その日は、夜もふけ、泊まる所を見つけるのが困難なため、Maudeは、VéraをOstrich Clubの階上にある 自分の住まいへ、連れて行く。
彼女の部屋の階下のクラブでは、華やかに着飾った客が、アルコールを片手に会話とダンスを楽しんでいた。
今から下に降りていってクラブを下見したらとの Maudeの 誘いに、打ち勝つことが出来ず、Véra は、一人でクラブへ降りていく。
そして、彼女はそこで、出会った一人の男性に人目で恋に落ちてしまう。
なんとかして、その男性と、再会していと願うVéra。
Véraは、彼からもらった名刺から彼が、Orkhidosという、誰もが一度は訪れてみたいと憧れている、Orkhidosという国のパラスに住む、プリンスであることを知る。
Ostrich Club で働いているうちに、Véraは、クラブの経営者のDon Winthrop Candellに、付き添って、Orkhidosへ行くチャンスを得る。
以前に紹介した、 「Le fou de Printzberg」 と「Le clos Lothar」 を書いたStéphane Héaumeの第2作目の小説。
この作品は、以前読んだ2作とは、全く違った読後感を受けました。
以前に読んだ2作と同様、文章のうまさ、表現の繊麗さは、感じられるのですが、私は、ついにラストまで、話の波に、乗ることが出来ませんでした。
どうやら、著者は、女性の心理描写があまり得意でないみたい。
Véraという女性が主人公なのですが、彼女の心理表現が、あまりにもお粗末なので、どうして、彼女はこんな風に振舞うのかが、あまり良く理解できず、とうとう最後まで、ヒロインに感情導入することが出来ませんでした。
又、他の作中人物の感情描写も同様、あまり饒舌だとは言えません。彼らの行動にも必然性を感じることができず、「どうして?」という疑問が常に頭に浮かび、私を小説の世界に入り込むことを妨げてしまいました。
ラストで明かされる謎を、楽しみとして、取って置く為に、この様な配慮がなされているのだと思いますが、それまで、全く作中人物達の気持ちに同調することが出来なかったため、謎を明かされても「あ、そう」と、軽く意流してしまいました。
Stéphane Héaumeがお得意な、華麗な舞台設定なのですが、作中人物の言動の理由づけや感情描写が、あまりに貧弱なので、その豪華な舞台が浮いてしまい、かえって現実とのギャップばかりが、目に付いてしまいました。
他のStéphane Héaumeの作品の場合、作中人物に感情移入することで、そのギャップに橋をかけ、作品の世界へ足を踏み入れ、話の波に乗りることが出来たのですが、この作品では、登場する人々の言動が浮いてしまい、優美な背景ばかりがむなしく、際立ってしまいます。
豪華列車に乗ろうとしたけど、ホームと列車の間が開きすぎて、列車に乗れないうちに、列車が発車してしまい、それをホームから見ている、そんな感じがする作品でした。
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