謎の伝染病から免れ、生き残った一握りの人間達を描いたフランスのSF
2006-05-09
「Le monde enfin」
著者 : Jean Pierre ANDERVON
出版社 : Fleuve noir
ISBNコード : 2265082309
表装 : ソフトカバー(14x23) 483頁
| 本の内容 | ☆☆☆ | 16/20 |
| フランス語難易度 | ## | 普通 |
| 読みごごち | ♪♪ | まあまあ |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
ESHと命名された謎の伝染病により、多くの人々が死に、混乱の中、核ミサイルが発射され、地球上の人類は、殆ど死に絶えた。
わずかながら、生き残った人々はいたが、伝染病の影響で、全ての女性が不妊症にかかっており、人類は、絶滅するものかと思われた。
そんな地球に生き残った人々と、地球の姿を描いた力作。
殆どの人が死に、静まり返ったパリで出会った、青年Antoineと若き考古学者Sébastion と、9歳の少女Laurence。
彼らは、Laurenceの希望に従い、動物園の動物を開放する。
その後、Sébastionは、Laurenceの後見人として、彼女の世話をすることになる。
それから、約20年後、Sébastionは、成長したLaurenceに付き添い、アフリカに赴くが、突然、サバンナの真ん中で、Laurenceは、失踪してしまう。
それと平行して語られる、中年女性Anneの話し。彼女は、不妊症が治ったことに気づき、子供を生むため、男性を求めてフランス中を旅する。
それからさらに、13年後、
軍管理の隔離施設で目覚めた、施設の中で唯一の生き残ったPaul。
未知の惑星探検のため、宇宙船に乗り込んだが、45年後に目覚めてみたら、地球の上から動いていなかったことに気づいた、4人の宇宙飛行士。
これらの人々が、人が死に絶えてしまった、地球で、どの様に、生きていったのかを、描いた全部で483ページあるSF大作。
読者の頭に直接アプローチする鋭く、そしてスピーディーな語り口のDan Brownの 「Deception Point」(私は「Davinci code」より、楽しめました)を、この本の前に読んだせいか、読み始めた当初は、この作品の語り方が、とてもまどろっこしく感じられ、少々イライラしながらページをめくりました。
この作品は、始めの2,30ページで、読者を虜にしてしまう作品ではありません。
まあ、初対面の印象はあんまり良くなくて、とっつきにくそうだけど、良く付き合ってみたら、とってもいい人、そんな感じの、少々辛抱して、読んでみることが必要な本だと、私は思いました。
作品のテーマと、結論に、斬新さはないのだけど、それに至るまでの過程が、なかなかスゴイ。
中には、少々退屈な下りもありますが、生き残りの人間達の様子には、心拍迫ってくるものがありました。
特にAnneと『ねずみの王女様』となるその子供の運命、彼女らが辿ったすさまじい生き様を語った迫力ある表現力には、驚愕しました。
エコロジーなんていう、人間中心の環境保護という観念を超えて、本当に地球と自然と人間の関係を考えてみたいとお思いの方にお勧めしたい、SF大作です。
フランス製SFもすてたもんじゃない!と、つくづく思いました。
書き忘れましたが、ねずみに関するかなりリアルな表現が出てくるので、ねずみ恐怖症の方は、読まないほうがいいかも・・・


