現在フランスを感じさせるサスペンス小説
2006-04-17
「Les ombres mortes」
著者 : Christian Roux
出版社 : Rivages
ISBNコード : 2743614498
表装 : ペーパーバック(11x17)
| 本の内容 | ☆☆ | 15/20 |
| フランス語難易度 | ## | 難しめ |
| 読みごごち | ♪♪♪ | すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
このサスペンス小説の主人公は、記憶喪失者。
8年前、奇跡的に交通事故から、生還した主人公は、過去一切の記憶を失くしていた。
唯一、過去との繋がりは、彼が保持していた偽の身分証明書。
それ以降、彼は、身分証明書に記載されたGeoffrey Martin と名乗り、新たな人生を歩み始めていた。
Josepha という恋人、Tom、 Susie、 Mouradという友人を得た、Geoffreyは、不可解な悪夢に悩まされながらも、幸せな毎日を送っていた。
ところが、彼のアパートに引っ越してくる事になっていたJosepha が、不意に、睡眠薬を飲み、首吊り自殺を図るという事件が起こる。
不幸のかけらも見せることもなく、彼と一緒に暮らす事を楽しみにしていたJosepha が自殺するなんて、どうしても信じられないGeoffrey。
この事件を担当した、警部の Lancelot も、自殺に見せかけた殺人なのではないかと疑っている様子。
そして、数日後、Geoffreyの親友であるTomがJosephaと全く同じ方法で自殺を図る。
その後、Lancelot は、何者かがGeoffreyに宛て、書いた脅迫状を持って、Geoffreyの元へ訪れ、
Geoffreyが記憶を失って発見された時の警察の調書等、事故に関係する書類を彼に渡し、
「警察は、あなたの友達を始終見張っているわけにはいかないんですよ。あなたとあなたの友達の未来はあなたの手に託されています。どうすればいいのか、もうお分かりでしょう。まあ、これは、あなたに、勇気があるならの話だけど・・・」と言い残して立ち去る。
そして、Geoffreyは、自分の過去を探るため、旅に出る。
本の最後のページまで、読者の気をそらせない、達者な書き手。
フランス語の本を読む場合、初めの50〜100ページくらいは、ちょっと我慢して読まないと、話の中にのめり込む事の出来ない作品が良くあるのですが、この小説は、初めの章から、どんどんお話に引き込まれてしまいました。
そんな、テンポのいい、読みやすい作品です。
私は、今まで、沢山推理小説やスリラーを読んでいるので、作品によっては、途中で、著者の意図するところが見えてしまう事があるのですが、この作品は、どんどん思いがけない方向に話が展開するので、退屈しませんでした。
スリラーとしての、プロット、構成、語り方、等も、なかなか良かったのですが、それだけではなく、フランス社会が抱えている問題と、それに対する著者の考えが、さりげなく作品の中に織り込まれています。そんな面でもl、薄っぺらな普通の推理小説やスリラーとは、一線を画している作品でした。
ただ、全体的に少々、迫力に欠けるのと、ラストに作品がそれまで持っていた緊張感がぬけてしまった様な感じがしたのは、ちょっと残念。
だけど、久しぶりに巡り合えた、読み応えのあるフランス製のサスペンス小説でした。
現在フランスを感じる事の出来るサスペンス小説を読みたいと、お思いの方には、お勧めできる作品なのではないかと思います。
フランスでは、復活祭休みのため、土曜日がお休みの人は3連休。家族が休みだと、どっと仕事が増えるのが主婦の辛いところ。親戚が泊りがけで遊びに来ていたので、本を読むことが出来ず、禁断症状が・・・
そんなわけで、4日ぶりのブログ更新になります。
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