美しいフランスの田舎駅で繰り広げられる人間模様を描いたフランス漫画
2006-04-13
「Le réflexe de survie」
著者 : Etienne DAVODEAU
出版社 : Delcourt
ISBNコード : 2840552159
表装 : ハードカバー(24x1x31)64頁
| 本の内容 | ☆☆☆ | 16/20 |
| フランス語難易度 | # | 易しめ |
| 読みごごち | ♪♪♪ | すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
フランスの田舎の小さい駅の駅長のANTOINEは、ホームレスのTOLSKYが、駅の使っていない建物に住むことを容認している、気のいい定年前の男。
TOLSKYは、毎朝、汽車に乗って出勤する人たちを見送ったり、出迎えたりしながら、毎日、ぶらぶらしながら過ごしている。
ANTOINEの息子は盗みで生計を立てており、時々TOLSKYに盗品の衣料の差し入れをしているが、父親のANTOINEはそんな事は、ちっとも知らない。
こんな平和な田舎の駅に、ある殺人を請け負った、ちんぴら志願の男が現れた。そして・・・
このブログで何度も紹介している、今年アングレム漫画フェスティヴァルで、最優秀ストーリー賞(Prix du meilleur scénario) と、読者投票により決まる、読者賞(Prix public du meilleur album)の2賞を獲得したEtienne Davodeau氏の作品です。
地味だけど、じーんときてしまう、あのDavodeau節が効いてる作品。
普通の人達の普通でない悩み、ごたごたを描かせたら、この人の右に出るBD作家はいないのではないかとすら思えてきます。
ちょっとサスペンスめいているけれど、この作品はサスペンス小説ではなく、自分の力を超えた困難に出会っても、決して人間として一番大事なものを決して見失うことのない、普通の人たちを描いた作品です。
台詞は、最小限に抑えられているのだけれど、作中人物のキャラクターと彼らを取り巻く社会的な問題がくっきりと浮かび上がって来ます。フランス漫画って、読みづらい作品が多いのですが、この作品は、すらすらと読めました。
この作品の、一こま一こまに描かれた、フランスの田舎の小さな駅と、その回りの美しい風景に目を奪われました。
何気ない、フランスの田舎の風景を、こんな美しい絵にしてしまうなんて、相当、田舎の駅に入れ込んでいなければ出来ない事。
著者の、田舎の駅へ対する多分な愛着を感じられるような思いがしました。
もしかしたら、この作品の主人公は駅なのかもしれない、という思いがふと、頭の中を横切りました。
どんな事があっても、人間の中に存在する、まっすぐな部分を信じている、そんな著者の思いが伝わってくるストーリーでした。
Etienne Davodeau 氏の公式サイト、http://www.etiennedavodeau.com/も、興味のある方は覗いてみてね。
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