エチオピアで医療援助活動をしたフランス人女医が辿ったドラマチックな生涯を描いた小説
2006-03-27
「Je l'appellerai Eden」
著者 : Martine Marie Muller
出版社 : Robert Laffont
ISBNコード : 2221101529
| 本の内容 | ☆☆ | 14/20 |
| フランス語難易度 | ## | 普通 |
| 読みごごち | ♪♪♪ | すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
1985年、メンギスの独裁下のエチオピアが舞台。
セコタの難民キャンプへ派遣された、ヒロインのフランス人医師のValenciaは、ケベックからやってきた修道女Evangélineや、他のヨーロッパ人と共に、命からがらで、やっとのことで、難民キャンプにたどり着いた人々を治療している。
限られた薬品、備品で、なんとか治療を続けていくうちに、Valenciaは彼女らの仕事を阻止しているとしか思えない政府の役人の態度に憤慨を覚えるようになる。
そんなある日、彼女は、重症を負った、反政府運動に加わるNasaréを治療することになる。フランスに、愛する夫がいるにもかかわらず、Valenciaは次第に、Nasaréと恋におちてゆく。
そして、セコタの難民キャンプ勤務の契約期間を終えたValenciaは、黒い肌を持つ赤ん坊、Edenを連れて、フランスへ帰国する。
フランス人女性医師のValenciaを中心に展開する、この小説は、2部に分かれており、第1部と第2部の間には、20年近くの月日が流れています。
第1部では、セコタの難民キャンプで働く、フランス人女性医師のValenciaを中心にストーリーが展開します。
Valenciaは、第2部にも顔を出しますが、主人公は、彼女の娘Eden。
Valenciaとの間に超えることの出来ない溝を感じたEdenは、Valenciaの止めるのを振り切って、自分のルーツを求めに、エチオピアへ旅立ちます。
そこで、Edenは、自分が生まれた国と、自分の出生の秘密を知ることになります。
この作品は、メンギスが犯したエチオピアの民族大虐殺について、ある程度知識がないと分りづらい所があるかもしれません。アフリカで命がけで活動するNGOのメンバーの様子がリアルに描写されます。
セコタの難民キャンプのチーフである、カナダのケベック出身の修道女Evangélineは、とても魅力的な女性。
修道女という辛気臭い(?)イメージから程遠い女性で、煙草、お酒が大好きで、決断力、実行力とも抜群。
ヨーロッパのNGO団体をいまいましく思い、彼らの活動を影で妨害している政府の役人ですらすら、彼女に一目置いています。
彼女は、片足を地雷で失っても、エネルギッシュに治療活動を続けて行きます。
もしかしたら、モデルがいるのではないかと思ったほど、彼女の描写は、生き生きとしていました。
又、ヒロインValenciaが辿った人生は、波乱万丈、ドラマと秘密にあふれているのですが、
小説のストーリー構成という点では、何となく、お話の行方が想像出来てしまうので、「L'homme de la frontière」(この作品については、こちらをご参照下さい)の様な作品を期待していた私は、その点は、ちょっとがっかりさせられました。
もしかしたら、著者は、小説にかこつけて、アフリカで命がけで活動するNGOのメンバーの様子を書こうとしたのかもしれない、という考えが頭に浮かんだほど、アフリカの難民キャンプの描写が真に迫っているのに比べると、話の落ちはイマひとつの様な気がしないでも・・・
いえ、これは、勝手に「L'homme de la frontière」の様な作品を期待していた私が間違っていたのであって、著者には、全然責任は、ありません。...(((;^^)
それでも、あらゆる困難にもめげず、エチオピアの村人を懸命に治療しようとする人々の姿に、そして、強い意志を持ち、自分で自分の人生をコントロールして行こうとするヒロインの姿に、強く心を打たれた作品です。
アフリカで活躍する非営利医療機関の様子を小説という形で描いた力作なので、非営利医療機関の活動に興味をお持ちの方には、お勧めできる本ではないかと思います。
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