Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

「Le Décalogue , Tome 11 - Le XIe Commandement 」

「Le Décalogue, tome 11 - Le XIe Commandement」

deca 11
  ストーリー : Frank GIROUD
 作画 : Rocco, Rollin, Faure, TBC, Mounier
出版社 : Glenat
ISBN-10 : 2723444791
ISBN-13 : 978-2723444798
表装 : ハードカバー(24x1x30)94頁


 本の内容☆☆15/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



Decalogue シリーズの11冊目に当たる作品で、全シリーズの補足的な役割を占める1冊。

100歳を迎えたDecalogue シリーズ第5巻の主人公のMissak ZAKARIAN の 書簡で、この作品は始まります。

アメリカで ZAK という名のファーストフードチェーン店を創立し、富を築いた Missak は、書物に詳しく、フランスで出版社を経営するGeorges d'Areval に、彼の人生の中で、忘れる事の出来ない思い出を残した1冊の書物「Nahik」について調査するように、依頼します。

この本は、

Georges d'Areval がMissak ZAKARIAN に宛てた調査結果報告及び資料、
Missak ZAKARIAN の返信、
当時の状況を説明した、8〜12ページの5篇の漫画

で、構成されています。

Decalogue シリーズの中の1冊だけど、漫画になっているのは、全体の約半分で、それ以外は、Georges d'Areval のメール、資料の抜粋等の、テキストとなっています。
テキスト部分は、難しくない、とても読みやすいフランス語で書かれていますが、1巻〜10巻の様な漫画本だと、思って、この本を買うと、がっかりするかもしれません。


この作品で取り上げられているのは、

第5巻のMissak ZAKARIAN 及び、Ayla Gunnrï のその後、

9巻の Fernand Denouettesの過去

7,8巻に登場する、Hector Nadal, Alexandre Fleury, Ninon, Hortense についての補足的な説明及び、Hector、Eugène のその後、

Alexandre Fleury と Ninon の間に生まれた Benjaman のその後、

6巻に登場する Alice の父についてと、Alice のその後、

そして、4巻のSafet Mulabdic と、彼を取り巻く人々について


又、それに加えて、本編のテーマとなっている、政治的、歴史的出来事について、簡潔でわかりやすい説明が所々挿入されています。 ですから、本編をより良く理解するための手助けになる1冊だと思います。

本編では、ページ数、ストーリー構成のため、取り上げる事の出来なかった作中人物についての細かい事実が、この第11巻目を読んでいくうちに、明らかになって行き、著者のストーリー構成の、緻密さを伺うことが出来ます。

本編を読んだけど、歴史的背景がわからないので、あまり良くわからなかった、という人や、シリーズの各巻の登場人物のその後が気になって仕方がないという人に、お勧めしたい作品です。

関連記事

デカログの謎が明らかになる「LE DECALOGUE 第10巻」

「LE Décalogue, Tome 10 - La dernière sourate」

deca 10
  ストーリー : Frank GIROUD
 作画 : Franz
 着色 : Paul
出版社 : Glenat
ISBN-10 : 2723435733
ISBN-13 : 978-2723435734
表装 : ハードカバー(24x1x30)55頁


 本の内容☆☆12/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪ まあまあ

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



マホメットの死から20年を経た652年、アラブ帝国は、エジプト人、ペルシャ人、シリア人、リバン人、アフガニスタン人等の多種の人種を一つの国の元に統合することに成功した。 この多様な価値観を持つ人種の人民を一つにまとめる事が出来るのは、マホメットが教えを説いた宗教のみであった。

カリフのUthmân は、あちらこちらにちらばっている、このマホメットの教えを集め、統合したものを、書物として残すことを計画する。
そして、民間に伝わっている、信憑性のある、マホメットの教えを収集するよう、何人かの者をあちらこちらに派遣する。

Uthmân の命を受けた調査団の隊長の Tayeb Abou Tayeb は、マホメットの教えを調査しているうちに、ある部族が住む村に、たどり着く。

その村に住む者たちは、マホメットの最後の遺志を印した10つの教えというものを信じており、そのため、迫害を受けていた。
その村に住む、マホメットと行動を共にしていた男の娘、Mahdjubah は、この10つの教えは、マホメット自身が、らくだの骨に、書き記したたものであり、問題の骨は、彼女の父が殺されたときに紛失したと、Tayeb Abou Tayeb に教える。

Tayeb Abou Tayeb と、Mahdjubah は、らくだの骨を捜しに、彼女がかつて父と共に暮らしていた村へ赴く。

Decalogue シリーズの第10巻目。
この巻で、やっと、Decalogue に関する秘密が全て明らかになります。

ストーリーは、読むときの楽しみが少なくなってしまうので、詳しく書けないのが残念ですが、私は、シリーズの最後のしめくくりにふさわしいラストだと思いました。 

ストーリーはなかなか悪くないのですが、私は、絵柄ならびに漫画化の仕方があまり好きになれませんでした。
私が苦手なクラシックなフランス漫画のスタイルで書かれている上、ごちゃごちゃしていて、あまり、読みやすいとは言えない作品でした。

当時の政治状況等を並行して説明しないと、ストーリーを完全に理解することが出来ないので、説明が多くなってしまうのは、仕方がない事かもしれませんが、

「もっと読みやすく漫画化する事ができたのではないかしら?」

という不満が最後まで残りました。

それから、これは、好みによると思いますが、絵の方も、私には、魅力的だと言いがたいような気がしました。

最後まで読んで、このシリーズは、ジグゾーパズルのような構成になっているのに気づきました。この巻を読み終わり、パズルの真ん中のパーツが埋まった様な気がしました。

このDecalogue シリーズを完全に、把握するため、今度は、時の流れに沿って、10巻から逆の順番で、第1巻まで、読み返してみたくなりました。


関連記事

パリの高級住宅街のアパートの住人をめぐる連作短編集

Coup de coeur

seul
   「Tu n'est pas seul(e) à être seul(e)」
 著者 : Stéphanie Janicot
出版社 : Albin Michel
ISBN-10 : 2226159762
ISBN-13 : 978-2226159762
表装 : ソフトカバー(13x2x20)178頁  
 

 本の内容☆☆☆17/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ すらすら

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



パリの高級住宅街にあるアパートの住人を主人公にした、16篇の連作の短編が収録されている短編集。

タイトルが示す通り、全ての作品のテーマは孤独。

冒頭の作品、「Tu n'est pas seul à être seul」の中で、

「この世で、私ほど、孤独な者はいない」

と嘆く友人に、著者は、

「コミュニケーション、娯楽、消費の方法がかつてないほど、豊富な時代に生きているけれど、奇妙なことに、人は、かつてなかったほど孤独よ」

と、語りかけ、それを証明する形で、友人と同じ建物の住人たちをモデルにした話を語り始めます。

この連作短編集に出てくるのは、

子供の世話と、アパートの管理にまつわる仕事に、疲れ切っている、ポルトガル系のアパートの管理人のおばさん、

自分勝手な不倫の相手を待ち続けるのに疲れた女性、

初老の著名作家、

自分を省みなくなった夫と暮らす夫人、

たった一人でテレビを生きがいとして毎日を送っている老婦人、

容姿に自身のない中学生の女の子、

女の子たちの憧れの的なのだけど、実は麻薬ディーラーに恋こがれている、美貌のホモセクシュアルの男子中学生、

ママが大好きなんだけど、なかなかかまってもらえない赤ん坊、

携帯電話に入るメッセージを待ち続ける女性、

母親の再婚をきっかけとして上流階級の一員となり映画関係のプレス担当をしているかつての友人と、偶然めぐりあったスーパーのレジ担当の女性、

癌に侵されている、女子大生、

占い狂の女性と、セネガル人の占い師、

金持ちの子供ばかりの中学校で、苦労している管理人のおばさんの娘、

管理人のおばさんの亭主。


傍から見ると、何の不自由もない、幸せな生活を送っているようでも、実は、誰もかれも、癒すことの出来ない孤独をかかえて暮らしている。

そう、みんなから、可愛いいと、ちやほやされている赤ん坊ですら・・・

そんな、パリの高級住宅地での人間模様が無駄のない、なめらかな筆運びで、描かれます。

傍から見たら、あんまり幸せそうに見えない、管理人のおばさん一家が、結局、一番幸せに近いところにいるみたい、幸せはお金で買えないって本当。

この本を読み終わった後、孤独というのは、自分を否定される事だというのを発見しました。

心を抉られるような残酷な現実に直面した、主人公たちは、皆、その現実と折り合う方法を見つけて、なんとかやって行こうとします。

こんなに、違ったシチュエーションにいる人物達の、それぞれの心の奥に入り込んで、彼らの機敏な心動きを、シミュレーションして、表現することが出来るなんて、なんて、素敵な才能。

どの、短編にも、見方によっては、取るに足らない様にすら思えてしまう作中人物の悩みや生き方を、否定することなく、あるがままに受け入れようとする、包容力にあふれている、著者の目線が作品の隅々まで感じられます。

皮肉な運命の手に遊ばされる人々の孤独を語った話なのに、読後感が、いいのは、著者のそんな、やさしさが、作品中にあふれているからかもしれません。

夏の暑い盛りに、目の前に差し出された、冷たい水のように、すーぅと、入ってい行ってしまう、とても読みやすい作品でした。

孤独なのは、私、一人ではない、
そんな事を実感したくなった時に、是非お勧めしたい1冊です。

Stéphanie Janicotの他の著作に関する記事

型はずれで奇妙なストーリーのフランス漫画

「Marée Basse」

maree basse new
  ストーリー : Daniel Pecqueur 
 作画 : Jean-Pierre Gibrat
出版社 : Dargaud
ISBN-10 : 2205055534
ISBN-13 : 978-2205055535
表装 : ハードカバー(24x1x32)66頁



 本の内容☆☆15/20
 フランス語難易度易しめ
 読みごごち♪♪♪ すらすら

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



人工的に巨大な津波を起こす機械を作るのに成功したノーベル賞受賞の物理学者の乗る船に、若い女性の操縦するヨットが衝突し、彼女は、この頭のねじがゆるんでいる物理学者夫妻の乗る船に救助された。
だが、彼らの狙いは、彼女の腕時計。その腕時計の部品を開発中の機械に組み込めば、彼らがBabyと呼んでいる機械が完成する。

体が弱いため、空気の新鮮な田舎で療養するために家に泊まりに来た、可愛い女の子と別れるのがいやで、妖精に頼んで彼女のぬいぐるみのサルになった少年。 以来、彼は、女の子に唇にキスしてもらうと、人間に戻ることが出来るようになり、サーカスで働いていた。

津波のために、海に住んでいた全ての蟹が死に絶えてしまったため、蟹缶を食べようと、海から丘へ上がってきた、超グラマーな人魚。

気球に乗って、空へ舞い上がるシーンの映画撮影中に、津波が起こったため、運良く命をまぬがれた、ピエロの扮装をした少年。

超グラマーな美人の死神。

以上の、メチャメチャおかしい人が絡み合って織りなす、ユーモアたっぷりの漫画。SFとも、おとぎ話とも、ファンタジーともいいがたい、ジャンルづけが出来ない作品です。

「Le Vol du corbeau」の著者のJean-Pierre Gibrat が作画担当。
やっぱり、この人は、本当に絵がうまい!
今回はヴェニスが舞台なのですが、とても魅力的な背景の中、グラマーでセクシーな女性達が跳躍するので、男性の方は、きっといい目の保養になるのではないかと思いました。
裸の女性が登場するけれど、エッチでなくて、ユーモアたっぷりで自然に書かれているので、女性の私が読んでも、不快感は感じませんでした。

空想と形容するより、妄想といった方がいいかもしれないみたいな、ハチャメチャなストーリー。馬鹿馬鹿しいと言う人もいるかもしれませんが、この手の奇妙で可笑しいストーリー、私は嫌いじゃなにので、楽しめた作品でした。
 
Jean-Pierre Gibrat の他の作品に関する記事

柳田国男の民話集の仏語訳

長いヴァカンスが終わって、なつかしい我が家へ帰ってきました。

洗濯物の山+ヴァカンス疲れ+連日の孟夏のせいで、ヨレヨレになっています。

ヴァカンス中は、アパートを借りて自炊。
連日、朝から晩まで1日中歩き回り、夕食後は、家族とサッカーのワールドカップ観戦 or / and 真夜中まで、Belote(32枚のトランプカードを使ってやるゲーム)、 Tarort(占いのタロットではなく、Tarortと呼ばれる 78枚 のカードを使ったゲーム)等のカードゲーム、
というスケジュールの連日だったので、旅行ガイド以外の本は読めせんでした。(T.T)

(ヴァカンスの様子は、気が向いたら、フランス読書日記の方にアップしたいと思っておりますが、プライベートの記事を書くのが超苦手なので、いつアップできることになるやら・・・)

そんな訳で、今日は、以前に 以前も書いた事のある、柳田国男の民話集の仏語訳をご紹介する事にします。


serpent
   「Les Yeux précieux du serpent」
 著者 : Kunio Yanagita
出版社 : Serpent à plumes
ISBN-10 : 2266162691
ISBN-13 : 978-2266162692
表装 : ペーパーバック(11x1x18)193頁


 本の内容☆☆☆16/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



今日ご紹介するのは、Yahoo Blogで紹介した事のある、柳田国男の民話集の仏語訳です。私のフランス語力の向上に、とっても役にたった本なので、再度、紹介する事にしました。

「おむすびころりん」「こぶとりじいさん」「どうして海の水はからいの?」、「飯食わない嫁さん」    
等などの、とてもなつかしい、日本の昔話が全部で105編収録されているペーパーバック本です。

フランス人に日本の民話を教えてあげたいけど、どんな単語を使えばいいの?

なんていう時に、とっても役に立った本です。

子供の頃によく読んだ話から、こんな話知らなかったよん、というのやら、「Le vieux qui répendait des cendres」みたいに、「花咲き爺さん」と良く似ているけれど、これは、全然別の話。そんなお話みたいに、私が知ってる話と、とっても良く似てるけど、オチが違うよん、という物等など、色々あります。

ユーモラスなのも、幾つかあるので、うまくアレンジしたらテーブルジョークになるかも・・・

以前、手持ち無沙汰の時に、フランス人に、この本に載っていた話をしたら、とても喜ばれました。

同じようなトーンの民話が初めから終わりまで続くので、通して読むのでなく、気が向いたタイトルのものを、少しずつ読んでみるのに適している本です。

日本の民話に興味のある方、もしくは、それがどんな風にフランス語訳されていのかに、興味をお持ちの方なら、フランス語のレベルにかかかわらず、楽しめる本なのではないかと思います。

ところで、私が持ってる本には、誤植があって、数箇所「village」 が 「vinage」と、印刷されている所がありましたので、もし、お手持ちの本の中に「vinage」という単語が出てきたら、これは、「village」 の事ですので、ご注意を。

この本に収録されているお話のを1篇、追記しますので、興味のある方は、『続きを読む』 をクリック!

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