Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

フランス語圏のアフリカの作家の作品集


frafrique
 「Dernières nouvelles de la Françafrique」
出版社 : VENTS D'AILLEURS
ISBNコード : 2911412257
表装 : ソフトカバー、224頁
 

 本の内容☆☆14/20
 フランス語難易度##♯難しめ
 読みごごち しんどかったです

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



 フランス語圏のアフリカの作家の短編が13編収められている作品集。

タイトルにある「Françafrique」という、言葉が示している様に、どの作品も、フランスとアフリカの国々の関係がテーマとなっています。

この本を手にした時、アフリカの心があたたかくなるような短編小説が読めるかと期待していたのですが、その期待は見事の裏切られました。
ページをめくってゆくうちに、アフリカの作家たちは、これほどにまで、フランスに恨みを持っているの、それ程、フランスは酷い事をアフリカでしてきたのか・・・
と驚愕しました。

そんな現実を知らずに、フランスの植民地政策が「有益な所もあった」と教科書に明記する様、推奨する法律を制定しようと試みた、フランス政治家の無知とずうずうしさには、「こりゃぁ、まるで、どこかの島国の政治家と同じねぇ」と、呆れました。

短編集だからと、軽く見ていたのですが、読み始めて、気軽に読めるタイプの本でない事に気づきました。

200ページちょっと、おまけに作家紹介や、作品の間に真っ白なページがあるので、読むところが少ないこの本1冊読むのに、私は、1ページに印刷された活字の数が倍以上で、全部で400ページあるGrishamの「Dernier juré」を読むのより、時間がかかってしまいました。

アフリカ諸国の人々のフランス、あるいはヨーロッパ政府に対する、うらみつらみがつづれれており、内容が暗いので、あまり嬉々としてページをめくってゆけるものでないし、又、読みやすいとは言えない文章で書かれている作品がいくつもあって、中々この本を手に取る気にはなれませんでした。

それから、かつて、フランスの植民地であった、アフリカの国の歴史や、現在のフランスとの関係についての基礎知識がないと分かりにくいところが出てて来ます。
そんな訳で、とても短い作品ばかりなのに、私は、読み終えるのに苦労しました。

とにかく、気軽に、気晴らしの読むタイプの本ではないけれど、じっくりと、フランスとアフリカ諸国の関係を考えたい時に読むのに適している本だと思います。 
又、各作品の前に、詳しい著者紹介が記載されているので、フランス語圏のアフリカの作家について、知識を深めることも出来ます。

この作品集の中で、特に私の目を引いた作品は、現地語を話すと罰としてのマークを首からさげることを強制されているフランス学校に通う子供の話。「Le symbole」

この作品集で、唯一、明るいトーンで書かれている作品で、ヨーロッパの知識人をメチャおちょくった「Les pets de Pierre Casanova」

とても皮肉な、ラストで、フランス人だけでなく、アフリカのゲリアも嘲笑する「Le Français doit partir」。

これは、好みの問題だと思いますが、全面的に、フランスやヨーロッパ人に対する批判を押し出すのではなく、フィクションが持つ力を利用して、投げかけたいメッセージをさりげなくストーリーの中に織り込み、読者の心に訴えかけようと試みた、これらの作品は、他の作品より、私の心に強く響きました。

この作品集の目次は追記しますので、興味のある方は、read more をクリック。

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フランス出版社関係リンク集 [その2]

フランス出版社関係リンク集 [その2]

Bande déssinée、manga(フランス漫画、日本の漫画の仏語訳)が中心のフランスの出版社のサイト

Akileos
http://www.akileos.com/

Bamboo
http://www.bamboo.fr/

Carabas
http://www.editions-carabas.com/

Casterman
http://bd.casterman.com/

Dargaud
http://www.dargaud.com/

Delcourt
http://www.editions-delcourt.fr/

Dupuis
http://www.dupuis.com/

Ego comme X
http://www.ego-comme-x.com/

Fluide Glacial
http://www.fluideglacial.tm.fr/

Glénat
http://www.glenat.com/accueil.htm

Hors collections
http://www.horscollection.com/


Horizon BD
http://www.horizonbd.com/

Jungle
http://www.editionsjungle.com/

Kymera
http://www.kymeracomics.com/

L'an 2
http://www.editionsdelan2.com/

Lésard noir
http://lezardnoir.free.fr/

Les Humanoîdes Associés
http://www.humano.com/

Les impressions nouvelles
http://www.lesimpressionsnouvelles.com/naissance.htm

Lito
http://www.editionslito.com/

Panini
http://www.paninicomicsfrance.com/MarvelFrance.jsp

Paquet
http://www.paquet.li/

Soleil
http://www.soleil-lesite.com/


Manga(日本の漫画の仏語訳)が中心の出版社サイト

Akiko
http://www.editions-akiko.com/

Asuka
http://www.asuka.fr/

Imho
http://www.imho.fr/

Kabuto
http://www.editions-kabuto.com/


Kami
http://www.mangakami.com/


Kana
http://www.mangakana.com/

Kurosawa
http://www.kurokawa.fr/"

Pika
http://www.pika.fr/

Saphira
http://www.editions-saphira.com/

Taifu comics
http://taifu-comics.com/news-25.html

Tokebi
http://www.editions-tokebi.com/

Tobkam
http://www.tonkam.com/

フランス出版社リンク集 [その1]

フランス出版社リンク集 [その1]


Bureau international de l'Edition française (フランス出版協会海外事務所)

http://www.bief.org/

・このサイトでは、フランスで出版されている本の情報を検索することが出来ます。



フランスの出版社のサイト(総合出版社、人文関係中心の出版社)

- A-

Abbaye de Bellefontaine
http://www.bellefontaine-abbaye.com/

Abbaye de Scourmont
http://www.scourmont.be/

Actes sud
http://www.actes-sud.fr/
・文学が中心。小川洋子等の日本人作家の翻訳書やBDも出版。

Ad Vitam Records
http://www.advitam-records.com/

Albin Michel
http://www.albin-michel.fr/
・大手総合出版社

Alia
http://www.editionsallia.com/

Anako
http://www.anako.com/

Anne Carrière
http://www.anne-carriere.fr/

API Publications
http://www.api-publications.fr/

Ateliers du Fresne
http://www.ateliers-du-fresne.com/

Atlantica
http://www.atlantica.fr/


- B -

Bayard
http://www.bayardpresse.com/
・カトリック系雑誌出版社。

Belfond
http://www.belfond.fr/

Bonneton
http://www.editions-bonneton.fr/

- C -

Calmann-lévy
http://www.editions-calmann-levy.com/
・文学中心

Champ Vallon
http://www.champ-vallon.com/

Castor et Pollux
http://www.castor-et-pollux.com/

Chant'Espérance
http://www.chant-esperance.com/

Cherche midi
http://www.cherche-midi.com/

Christian Bourgois
http://www.christianbourgois-editeur.fr/

Coccinelle
http://www.coccinellebd.be/

Comme-ci, Comme-ça
http://www.commeci-commeca.com/

- D -

(Editions) de l'aube
http://www.aube-editions.com/

Denoël
http://81.93.4.22/catalogue-denoel
・日本文学の仏訳もかなり出版。

(Editions)de la Difference
http://www.ladifference.fr/

(Editions)de l’éclat
http://www.lyber-eclat.net/


(Editions) de Minuit
http://www.leseditionsdeminuit.fr/
・文学関係が中心

10/18
http://www.10-18.fr/10_18/index.htm
・ペーパーバック専門

D'Orbestier
http://www.dorbestier.com/

Drop Studio
http://www.dropstudio.com/
(Editions) du Bélial
http://www.belial.fr/

- E -

Ellipeses
http://www.editions-ellipses.fr/

Estuarium
http://www.estuarium.org/


- F -

Fayard
http://www.editions-fayard.fr/

Félin
http://www.kiron-espace.com/felin/

Flammarion
http://editions.flammarion.com/accueil/
・大手総合出版社

fleuve noire
http://www.fleuvenoir.fr/fleuve_noir/index.jsp
・スリラー、推理小説が中心

France Productions
http://www.france-productions.fr/

- G -

Gallimard
http://www.gallimard.fr/
・大手総合出版社

Grasset
http://www.edition-grasset.fr/textes/accueil.htm
・総合出版社

Guérin
http://www.editionsguerin.com/


- H -

Hachette
http://www.hachette.com/index.htm
・大手総合出版社

Harmattan
http://www.editions-harmattan.fr/
・アフリカ関係の書籍も多く出版。

Hoebeke
http://www.hoebeke.fr/

Honoré Champion
http://www.honorechampion.com/

Horay
http://www.horay-editeur.fr/

Hortus
http://www.editionshortus.com/


- I -

- J -

J'ai lu
http://www.jailu.com/
・ペーパーバック専門

Jean claude Lattès
http://www.editions-jclattes.fr/accueil_f.html


Joëlle Losfeld (Gallimard)
http://www.gallimard.fr/collections/losfeld.htm

José Corti
http://www.jose-corti.fr/

Julliard (Robert Lafont)
http://www.laffont.fr/julliard/index.htm

- K -
Keur Moussa
http://www.keurmoussa.com/

- L -

La Decouverte
http://www.editionsladecouverte.fr/

L'Age d'homme
http://www.lagedhomme.com/

l'Archipel
http://www.editionsarchipel.com/

Larousse
http://www.larousse.fr/
・辞書、実用書のほかに、古典も出版。

Laurence Teper
http://www.editionslaurenceteper.com/

Léo Scheer
http://www.leoscheer.com/

Les Belles Lettres
http://www.lesbelleslettres.com/

Liana Levi
http://www.lianalevi.fr/index1.htm
・小説等、文学が中心

Librio
http://www.librio.net/accueil.php
・1冊2ユーローの書籍専門

livre de poche
http://www.livredepoche.com/index.html
・ペーパーバック専門

- M -

Melville
http://www.melville-editeur.com

MeMo
http://www.editionsmemo.fr/

Mercure de France
http://www.mercuredefrance.fr/

Metailie
http://www.editions-metailie.com/

Metropolis
http://www.editionsmetropolis.ch/Welcome.html

mnémos
http://www.mnemos.com/

- N -

Nathan
http://www.nathan.fr/
・児童書、図鑑が中心。

Nouveau monde
http://www.nouveau-monde.net/

- O -

Odile Jacob
http://www.odilejacob.fr/

Omnibus
http://www.omnibus.tm.fr/

- P -

Payot
http://www.payot.ch/fr/accueil

Perrin
http://www.editions-perrin.fr/

Editions Perséides
http://lesperseides.free.fr/

Editions Phébus
http://www.phebus-editions.com/rech_auteur.php

Piquier
http://www.editions-picquier.fr/
・アジア文学中心。日本文学の仏訳書もかなり出版しています。

Plon
http://isisblue.free.fr/Plon/

Pocket
http://www.pocket.fr/
・ペーパバック専門

Pol
http://www.pol-editeur.fr/

Psalmos
http://www.psalmos.com/

PUF (Presses Universitaires de France)
http://www.puf.com/

- Q -

Quatrième Zone
http://www.quatriemezone.com/

- R -

Rivage
http://www.payot-rivages.fr/
・スリラー、推理小説が中心

Editions Robert laffont
http://www.laffont.fr/
・大手総合出版社

Rue des Scribes
http://www.rue-des-scribes.com/


- S -

Sabine Wespieser
http://www.swediteur.com/

Sérimage
http://www.serimagefilms.com/


Seuil
http://www.seuil.com/
・大手総合出版社

Siloë
http://www.siloe-editeurs.com/


Stock
http://www.editions-stock.fr/acc/acc99_fraacc_f.html
・総合出版社

- T -

Tallandier
http://www.tallandier.com/

- U -
- V -

Verdier
http://www.editions-verdier.fr/v3/index.php

Verticales
http://www.editions-verticales.com/


Viviane Hamy
http://www.viviane-hamy.fr/
・小説等、文学中心

Vrin
http://www.vrin.fr/html/main.htm
・思想、歴史中心

- X -

XO
http://www.xoeditions.com/


- Y -

- Z -

Zoé
http://www.editionszoe.ch/

Zulma
http://www.zulma.fr/

Stéphane Héraume の2作目の小説


orkodo
   「Orkhidos」
 著者 : Stéphane Héaume
出版社 : Zulma
ISBNコード : 2843042984
表装 : ソフトカバー(14x21) 288頁
 

 本の内容☆☆11/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ すらすら

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



戦争から逃げるため、客船で、Old York へたどり着いた Véra Lovskyは、入国に必要な書類を所持していないため、どうやって税関を通り抜けようかと考えていた。 彼女の意図を察した、Maude Trucheという女性の助けにより、Véraは、税関を難なく通りぬけることに成功し、 その後、彼女はMaudeが支配人として働く、高級クラブOstrich Clubで、働くことになる。

その日は、夜もふけ、泊まる所を見つけるのが困難なため、Maudeは、VéraをOstrich Clubの階上にある 自分の住まいへ、連れて行く。 
彼女の部屋の階下のクラブでは、華やかに着飾った客が、アルコールを片手に会話とダンスを楽しんでいた。

今から下に降りていってクラブを下見したらとの Maudeの 誘いに、打ち勝つことが出来ず、Véra は、一人でクラブへ降りていく。
そして、彼女はそこで、出会った一人の男性に人目で恋に落ちてしまう。

なんとかして、その男性と、再会していと願うVéra。
Véraは、彼からもらった名刺から彼が、Orkhidosという、誰もが一度は訪れてみたいと憧れている、Orkhidosという国のパラスに住む、プリンスであることを知る。

Ostrich Club で働いているうちに、Véraは、クラブの経営者のDon Winthrop Candellに、付き添って、Orkhidosへ行くチャンスを得る。  


以前に紹介した、 「Le fou de Printzberg」「Le clos Lothar」 を書いたStéphane Héaumeの第2作目の小説。

この作品は、以前読んだ2作とは、全く違った読後感を受けました。
以前に読んだ2作と同様、文章のうまさ、表現の繊麗さは、感じられるのですが、私は、ついにラストまで、話の波に、乗ることが出来ませんでした。

どうやら、著者は、女性の心理描写があまり得意でないみたい。
Véraという女性が主人公なのですが、彼女の心理表現が、あまりにもお粗末なので、どうして、彼女はこんな風に振舞うのかが、あまり良く理解できず、とうとう最後まで、ヒロインに感情導入することが出来ませんでした。

又、他の作中人物の感情描写も同様、あまり饒舌だとは言えません。彼らの行動にも必然性を感じることができず、「どうして?」という疑問が常に頭に浮かび、私を小説の世界に入り込むことを妨げてしまいました。
ラストで明かされる謎を、楽しみとして、取って置く為に、この様な配慮がなされているのだと思いますが、それまで、全く作中人物達の気持ちに同調することが出来なかったため、謎を明かされても「あ、そう」と、軽く意流してしまいました。

Stéphane Héaumeがお得意な、華麗な舞台設定なのですが、作中人物の言動の理由づけや感情描写が、あまりに貧弱なので、その豪華な舞台が浮いてしまい、かえって現実とのギャップばかりが、目に付いてしまいました。

他のStéphane Héaumeの作品の場合、作中人物に感情移入することで、そのギャップに橋をかけ、作品の世界へ足を踏み入れ、話の波に乗りることが出来たのですが、この作品では、登場する人々の言動が浮いてしまい、優美な背景ばかりがむなしく、際立ってしまいます。  

豪華列車に乗ろうとしたけど、ホームと列車の間が開きすぎて、列車に乗れないうちに、列車が発車してしまい、それをホームから見ている、そんな感じがする作品でした。


Stéphane Héaume の他の著作に関する記事

Le Prix du jury Jean Giono受賞のStéphane Héaumeの処女小説


Le clos
   「Le clos Lothar」
著者 : Stéphane Héaume
出版社 : Zulma
ISBNコード : 2843042194
表装 : ソフトカバー(14x21) 240頁



 本の内容☆☆15/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪ まあまあ

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



産業革命が訪れる以前の、架空のヨーロッパの国が舞台。
Prince Siegfried Sterpùが率いる反政府軍が、国の政治をし掌中に収めてから、芸術を無用だと考えるPrince Siegfried Sterpùにより、芸術家への弾圧が行われていた。

作品を書くことを禁じられた主人公の作家のBaptiste Matsyaは、生きる望みを失い、アルコールに溺れる毎日を送っている。
いつもの様に、夜中に、アルコールを求めて、行きつけの酒屋へ向かうおり、Baptiste は、少女が、義勇軍の兵士に射殺されるのを目撃する。

少女の遺体をBaptiste は、酒屋のArmadèleの元に運びこむ。
そして、Baptiste は、酒屋の店裏の部屋で、インクの密売が行われている事を知る。
文学を禁止したPrince Siegfried Sterpùにより、この国では、インクの販売すら禁止されていたのだった。

そして、Baptiste はインクの密売現場で、かつて交友を深めた、バレーの男性舞踏家であった、Lothar Strivituと再会を果たす。
両足を折られたため、杖なしでは歩くことさえままならず、踊ることが出来なくなったLothar。彼は、Baptisteに、彼が望むだけのインクを支給するから、その代わりとして、彼の田舎のワイン農場で仕事をしないか、という提案を持ちかける。

折りしも、密売をかぎつけた、義勇軍が、酒屋を襲う。
Baptiste はLotharに連れられ、Le clos Lotharと呼ばれる、彼の農園へ向かう。


「Le fou de Printzberg」がいたく気に入ってしまったので、この小説を書いた、作家のほかの作品を読んでみたくで、この作品を手に取りました。
この作品は、Stéphane Héaume氏の小説としての処女作です。

この作品の出だしから、又、その、優雅な文体に魅せられてしまいました。

La carafe paraissait vide, mais un dépôt noirâtre collait encore au cristal, dans le fond. Noirâtre, avec des reflets rouge sombre, luisants sous la timide lumière qui tombait du velours de l'abat-jour. Et cela vivait. De temps à autre, une goutte emportait des écailles qui s'éparpillaiet aussitôt un peu plus loin en brilant comme des cristaux de sang.

キャラッフは空のように見えたが、黒い滓が、キャラッフの底のクリスタルに、こびりついていた。
ビロードのランプシェードから、降りてくる遠慮がちな明かりを受けて、沈んだ赤い影を造る黒い滓。それは息づいていた。時折、そこから滴り落ちた雫が、血のクリスタルのように輝いた鱗となり、あたりに散らばっていった。

酔っ払いが、空になったキャラッフを床に投げ捨てた。
それだけの事が、この人の手にかかると、優雅な1篇の詩になってしまう。

どうして、この人は、こんなにエレガントな文章が綴れるのと、改めて、感嘆しました。

政治により、表現の手段を奪われた芸術家たち。
Baptisteに、自分の夢を託し、創作を続けるよう促す、踊れなくなった舞踏家Lothar 。
人に言えない情熱と悲哀を内に秘め、Lothar と暮らしている、Cloïsという女性。

ワイン畑にかこまれた屋敷を舞台に、辛い過去の回想、残酷な運命により挫折させられた想い等などが、繊麗な文体で、詩情を込めて織り成されてきます。

悲劇的で、哀しい物語なのですが、エレガントで、絹の肌触りのように滑らかな、文体で、あくまでも優美に表現されているので、読む者を絶望の淵に追い込むかわりに、ささくれた神経を和らげてくれます。

雪の中の逃避行。そして、画家Arnold Böcklin により1883年に、描かれた 「Die Toteninsel」から、イメージを得た幻想的で荘厳なラスト。

そんな優美な舞台背景の中で、人々の過去の暗い思い出、情熱と悲哀が優美な文体で読者の前に展開されます。

舞台設定と文体が、限りなく洗練されていて美しいこの人の作品を読んだ後、他の小説を読むと、天から地に落ちてしまったような、粗雑な文章を読んでいる印象を受けてしまいます。
Stéphane Héaumeは、そんな風に、意図しなくても、他の作品を貶めてしまう、とても罪作りな作家だと思います。

美しいフランス語で書かれた作品に接してみたいとお思いの方に、是非お勧めしたい作品です。

この作品は、2002年に、ジャン、ジオノ審査員賞(Le Prix du jury Jean Giono)を、2003年に、エマニュエル、ロブレ賞( Prix Emmanuel Roblès)を受賞しています。

Stéphane Héaume の他の著作に関する記事


辛口のメッセージが込められた社会派のフランス漫画


albert
   「La gloire d'Albert」
 著者 : Etienne DAVODEAU
出版社 : Delcourt
ISBNコード : 2840552892
表装 : ハードカバー(24x1x31)48頁
 


 本の内容☆☆13/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



主人公、Albertは、日曜大工用品専門スーパーで働く、どこにでもいる様な、ちょっと、さえない中年男。

Albertは、『Traditions et Convictions』という保守系の政党を創立者の一人である、Phillipotが、村おこしのために企画し、実施し、大評判となっている野外劇『Nos valeurs, notre terroir』に、ボランティアの一人として参加している。

観客数が100万人に達した事を祝う、パーティーの帰り、Albertは、Phillipotが二人のチンピラに、事故にみせかけ殺されるのを目撃する。

Phillipotの殺人事件が、事故として、処理されようとしているのを知ったAlbertは、自分の手で、犯人を挙げようと決意する。


Davodeau氏の作品は大好きなのですが、この作品は、その意図する所は良く分かるのですが、今ひとつ、すっきりと心から感動できなかった作品。
その訳を書いてしまうとネタばれになってしまうので、あまり書きたくないのですが、そうすると、あまり書く事がなくなってしまいます。
これだけじゃあまりに短すぎるので、追記に、続きを書く事にします。ネタばれでもいいという方は、『続きを読む』 をクリックして下さい。続きが読めます。


Etienne DAVODEAUの作品に関する記事

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モディアノ&サンペの意外なコンビの洒落た絵本風ペーパーバック


catherine
   「Catherine Certitude 」
 著者 : Patrick Modiano
出版社 : Folio (Gallimard)
ISBNコード : 207030731X
表装 : ペーパーバック(11x18)96頁




 本の内容☆☆15/20
 フランス語難易度易しい
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



このお話のヒロイン、Catherine は、パリの小学校に通う、ごく普通の女の子。Catherine  のママは、アメリカ人のバレリーナで、目下、アメリカで踊っているのため、 Catherineは、小さな運送会社を、フランス語の文法にうるさい友人Casteradeさんと共に経営するパパと二人暮し。

そんな Catherineと、いささか天然ボケ気味なパパとの毎日の様子を語った連作短編集。


1章が、半ページから、長くても3ページと、とても短かく、とてもやさしいフランス語で書かれている作品。
以前に紹介した、ダニエル、ぺナックの子供向けのカモ君シリーズより、ずうっと読みやすい作品でした。

どことなくおかしいパパとの毎日の様子が、Catherineの目を通して語られます。
おなかを抱えてゲラゲラ笑うほど、おかしくないけれど、なんとなくおかしい、そんなJeacque TATI的なユーモアが感じられる作品です。

お話は、ちょっと、さらっとし過ぎの感がありますが、Sampéの洒落たカラーの挿絵と、とても良くマッチしていて、素敵なハーモニーを醸し出しています。

Sampéの単純そうに見えるけど、実は奥が深いイラストを見ながら、どこかおかしいパパとCatherineの話を読んでいると、心が和んで、ふわっと心が軽くなってゆく感じがします。

ペーパーバックなのですが、素敵な絵本、といった雰囲気の本です。

とても、短い作品なので、とにかくフランス語の本を何か1冊読んでみたいと、お思いのフランス語初級レベルの方にお勧めしたい本です。

フランス出版社の依頼により日本人現代作家が書いた東京


Tokyo
   「Tokyo électrique」
編者 : Corinne Quentin
出版社 : Philippe Picquier
ISBNコード : 2877308359
表装 : ペーパーバック(11x17)288頁



 本の内容☆☆12/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪ まあまあ

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



フランスの出版社の依頼により、現代の日本を代表する作家が書き下ろした、東京の街が舞台の短編小説を 集めた、オムニバス作品集。

村松友視が、ちょっと過去にワケアリの女性を話題に、飲み屋で語り合う深川に住む男性達の姿を書いた「Yumeko」

盛田隆二による、新宿の風俗で働く東南アジア人の女の子と予備校生の話「Les Fruits de Shinjyuku」

林真理子が、青山を舞台に、流行を追いかけ、恋人すら人の目を通してしか、判断することの出来ない女性の姿を描いた 「Amants pour un an」

椎名まことによる、現座の真ん中でテントを張って生活する羽目になったサラリーマンが主人公のちょっと変わった視点から銀座を描いた「La tente jaune sur le toit」

藤野千夜による、パニック症状の主婦を中心にそえ、下高井の交番と新宿都庁テーマにした「Une ménagère au poste de police」

欧米人の目から見た東京は、エキゾティックな国際都市の様、色々な国の作家が、東京や日本を舞台にした作品を書いています。
この手の作品は、外国人から見た日本を知るという意味では、いいかもしれませんが、読んでいて、「日本の滞在経験がない人がこれを読んで、そのまま鵜呑みにされたら、ちょっとねぇ・・・」という、描写にぶつかることが皆無だとは言えません。

そんな意味では、この企画は、日本の現代作家をフランスに紹介すると同時に、日本人から見た現代の東京の姿をフランス人に伝えることが出来るので、中々優れた企画だと思いました。

私は、個人的には、銀座を変わった角度から書いた、椎名まことの「La tente jaune sur le toit」が、一番のお気に入り。

企画はとってもいいのですが、私としては、町と作家の選出には、ちょっと不満。

盛田隆二の新宿も悪くないけれど、私は、新宿は、やはり、「不夜城」の馳 星周に書いてもらいたかったし、
「池袋ゲートパーク」シリーズの石田衣良が書く池袋は、MUST。現在の東京の若者を語る上では絶対外してもらいたくない。
あと、浅草界隈の下町は、やはり、宮部みゆきに書いてもらいたかったなぁ。
それから、日本の政治経済を支える兜町や、丸の内がないのは片手落ち。ここは、清水一行あたりの経済小説に強い作家に依頼したい。
それから、お屋敷が並ぶ、成城か、田園調布も東京の一部。これは、お嬢様が大人になるイニシエーション小説を欠かせたらピカイチの渡辺容子に、
又、それとは対照的な山谷街、も欠かすわけにはいかないし・・・

等と、ベットの中で考え始めたら、目がさえてきてしまい、眠れなくなってしまいました。

この本の日本語版は東京小説のタイトルで角川文庫から出版されているようです。

日本語版と合わせて読めば、仏作文の勉強にもなるかもしれませんね。

「Sillage」シリーズのベスト作!?

Coup de coeur

「Sillage, tome 3 : Engrenages」

Sillage 3
 ストーリー : Jean-David Morvan
 作画 : Philippe Buchet
出版社 : Delcourt
ISBNコード : 2840554488
表装 : ハードカバー(24x1x32) 
 




 本の内容☆☆☆16/20
 フランス語難易度易しめ
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



今回の舞台は、TR-JJ 69と呼ばれる氷河に覆われた惑星。

前回Sillageが、偵察した際には、たいした資源も、文明も認められなかったこの惑星は、短期間で、文明が一気に発展し、人類に、とても似ている新しい種が惑星を支配するようになっていた。
惑星の偵察に送り込まれたNavisは、Clementという、反政府活動のリーダーの命を救い、彼の信頼を得ることに成功する。
町から、離れている、氷原の地下に隠されている工場が、この惑星の秘密をとく鍵であるとにらんだNavisは、Clementと共に、町から離れている氷原の地下に隠された工場へ向かう。


いよいよ、面白くなってきた、Sillageシリーズ。
読み心地もとってもいいし、人種差別と、独裁主義を暗に批判している骨のあるストーリーです。
革命軍を指揮するクレモン(Clement)を通して、現在の政治家、革命家たちの矛盾を指摘しています。
架空の世界を通して、現在の社会を批判するのがSFに科された使命、と思っている私を、大変満足させてくれた、骨のあるストーリーでした。
そんな中々、読み応えがあるストーリー。それに加えて漫画化の仕方も、1,2巻より親切なので、とても読みやすい作品でした。
私は、現在、Sillageシリーズは、7巻までしか読んでいませんが、今まで読んだ中で、最も完成されている作品だと思いました。

このSillageシリーズ、1,2巻は、読み心地があまり良くないし、作品のも出来も今ひとつ。
1.2巻を読んでいなくても、この本のストーリーは理解することが出来るので、私はあえて、Sillageシリーズは、この3巻を最初に読んで、気に入ったら、1,2巻をお読みするよう、お勧めしたいと思います。

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フランスのSFアクション漫画「Sillage」シリーズ第2巻

「Sillage, tome 2 : Collection privée」

Sillage 2
 ストーリー : Jean-David Morvan
 作画 : Philippe Buchet
出版社 : Delcourt
ISBNコード : 2840552604
表装 : ハードカバー(24x1x32)47頁



 本の内容☆☆11/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪ まあまあ

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



唯一の人類として、数千台の宇宙船で構成された宇宙船団Sillage に迎えられたNavisは、スペシャル・エージェントと、なるための訓練を受けていた。

優れたテレパシー能力を持ち、外交交渉を担当する、領事、Enshu Atsukauは、Navisに興味を持ち、自分の宇宙船へ招く。 
Enshu Atsukauの目的が、自分を誘惑し、彼のハーレムの一員とすることだと気づいたNavis は、Enshu Atsukauを拒絶する。かつて、女性を誘惑することに失敗したことのないEnshu Atsukauは、自尊心を傷つけられ、何をもってもナヴィを自分のものとしようと画策する。


Sillageシリーズの第2巻。

第1巻より、多少、読むところが多くなっていますが、読み心地は、第1巻と同様。
少々、読みづらいところもありますが、全体的には、まあまあの読み心地と言っていいのではないかと思いました。
相変わらず、可愛くて、セクシーで、はねっかえりで気が強くて、抜群の闘争力を持つNavisちゃんが大活躍。今回は、素敵にドレスアップしたナヴィちゃんが登場します。
読めば読むほど、好きになってしまう、超魅力的なヒロインです。
この第2巻は、シリーズのうちでのベスト作とは、言えませんが、この巻を読んでいると、以降の作品がより良く理解できるので、シリーズを通して読んでみたいとお思いの方には、あえてお勧めしたい作品です。

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とっても魅力的なヒロインが活躍するフランスのSFアクション漫画

「Sillage, tome 1 : A feu et à cendres」

  ストーリー : Jean-David Morvan
 作画 : Philippe Buchet
出版社 : Delcourt
ISBNコード : 2840551772
表装 : ハードカバー(24x1x32)47頁  




 本の内容☆☆13/20
 フランス語難易度易しめ
 読みごごち♪♪ まあまあ

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



Sillageとは、数千台の宇宙船で構成された宇宙船団。 この飛行船団には、多種の宇宙人種が乗り込んでおり、住むことの出来る惑星を探し、宇宙旅行を続けている。
Sillageは、ジャングルに覆われた惑星を発見する。
絶滅の危機にさらされているHottards 星人は、この惑星に移入することを計画する。だが、その惑星には、Nävisという名の人類最後の生き残りの少女が、動物たちと暮らしていた。


この「Sillage」シリーズ、私が一番初めに読んだのは、第6巻と第7巻。特に、第6巻が良かったので、シリーズを通して読みたくなり、この「Sillage : tome 1」を手に取りました。(7巻は、今までの経緯が分からなかったので、今ひとつの見込めないところがあり消化不良に陥ってしまいました)

ところで、この1巻目ですが、ヒロインのNavisちゃんが、めっちゃくちゃ魅力的で、背景の絵もなかなかいいのですが、シリーズのほかの巻に比べると、この第1巻は、少しばかり読みづらいような感じがしました。

どちらかと言うと、クラシックなフランス漫画のスタイルで書かれているみたい。コマの間、想像して補っていかなければならないところが、ほんのちょっぴりあるので、日本の漫画みたいに、すらすらとは読めませんでした。

又、ストーリーは、平凡なSF物を越えた、中々意欲的な内容。これから、骨のある作品になる可能性のようなものは認められるのだけど、それがまだ種のまま、あまり生かされていないのが残念、という印象を受けました。

その事を、このシリーズの6,7巻を貸してくれたフランス人に言うと、
「漫画家というのは、漫画描いているうち、どんどん成長していくのだから、シリーズが進むにつれて、作品のクオリティーが上がってくるのは当然」
と、言っていましたよぉ。

この第1巻が書かれたのが1998年。それから、このシリーズは、毎年1冊ごと、発行されています。
この第1巻が出版されたのは、フランスで日本の漫画が少しずつ、マニアの間で話題になり始めた頃です。
mangaの人気が上がるにつれ、フランスで出版されたBDも、読みやすいものが増えてきたような感じがします。
日本の漫画の影響を受けた、フランス漫画家が増えてきたため、日本の漫画を読みつけている私にも読みやすいような作風の漫画が、増えてきたのかもしれないなぁ・・・なんて、勝手に想像をふくらませてしまいました。
まあ、実際に「フランスの漫画家における日本の漫画の影響」なんていう論文を読んだことがないので、
これは想像の域を超えません。

だけど、「Sillage」に関しては、日本の影響を多少、受けていると、言ってもいいのではないかしら?と思われる点が幾つかあります。
まず、「Sillage」第4巻の舞台になる、中世ヨーロッパを思わせる惑星の名前が、『HURUMARU』。
また、第6巻には『Ningen』なんて、いう単語が出てきます。
そして極めつけは、「Sillage」の第7巻。
この第7巻のタイトルページの左の奥付が書いてあるページには、自動翻訳ソフトを使って翻訳されたと思われる、意味不明の日本語らしきものが載っているのですよ。

この日本語もどきの文章は、追記しますので、興味のある方は記事の終わりにある『続きを読む』をクリックしてください。

他の巻に比べると、ちょっと未完成な感じで、超読みやすい作品とは言えないけれど、とっても可愛くて、セクシーでワイルドで、正義感にあふれるNavisが主人公の、これからどんどん面白くなる「Sillage」シリーズの第1巻なので、SFものがお好きな方には、あえてお勧めしたい作品です。

この漫画が日本語訳されたら、Navisちゃんのファンクラブが出来ること間違いなし!
と、断言できるくらい、♀の私も魅了されてしまった、メチャ素敵な主人公の漫画です。

この漫画を元にしてアニメや、ゲームソフトを作ったら、おつな作品が出来る事は間違いなし!

どうして、日本の出版社がこんな素敵な漫画をほっておくのか不思議?

http://www.editions-delcourt.fr/album.php?id=1186
Delcourt出版の上記のサイトでは、Sillage の壁紙が無料ダウンロード出来ます。
左のサイドメニューの 『Fond d'ecran#数字』をクリックすると画像が現れます。

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やっぱりベナキスタはすごい!


quelqu'un
 「Quelqu'un d'autre 」
 著者 : Tonino Bénacquista
出版社 : Folio (Gallimard )
ISBNコード : 2070301028
表装 : ペーパーバック(11x18)377頁
 


 本の内容☆☆☆16/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



パリのテニスクラブで、偶然、いっしょにプレーをした、見も知らぬ二人の男、Thierry 40歳と Nicola39歳。

プレーの後、バーで、アルコールを手に、談話している時、ほろ酔い加減が手伝ったのか、Thierry が、
「3年で、全く赤の他人になる事が出来るかどうか、賭けをしようじゃないか」と、Nicola に持ち掛ける。

とっさに、断る事が出来なかったため、Nicola は、この奇妙な賭けに引き込まれる事になってしまった・・・


故意に、他人になろうとした男と、ほんのちょっとしたきっかけから、今までの自分と違った人間になってしまった、二人の男の物語。
子供の頃からの夢であった探偵となるため、今までの人生に決別をつけたThierry。

テニスクラブで飲んだアルコールをきっかけとして、自分でも気がつかないうちに、大胆になって行き、思いがけない幸運を手にするNicola 。
この、Thierry とNicola の二つの話が平行して語られていますが、私は、意図せずに、どんどん変わっていく、Nicola の物語の方が、とてもおもしろく感じられました。

作中人物の言葉を通して、著者の人間に対するやさしさが、ビシビシと伝わって来た作品でした。

Benacquista が、お得意の、現代のおとぎばなしといった様な雰囲気がちょっとある、洒落たストーリーです。

最後のおちは、Benacquista の他の作品に比べると、少々劣るけれど、それ以外は、かなり楽しめた本です。

Benacquista の作品は、本当にはずれがないなぁと、再度、感心しました。

Tonino BENACQUISTAの他の著作に冠する記事

「Carême, tome 2」絵と雰囲気はいいんだけど・・・

「Careme, tome 2 : Cauchemars」

careme é
  ストーリー : Christoph BEC
 作画 : Paolo Mottura
出版社 : Delcourt
ISBN-10 : 2731616601
ISBN-13 : 978-2731616606
表装 : ハードカバー(24 x1x30)46頁
 


 本の内容10/20
 フランス語難易度易しめ
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



以前に紹介した事のある「Carême、 tome 1 : La nuit blanche」の続き。

トンネル事故から、命からがら逃れる事に成功した、 Martinien Fidèle と Aimé Carêmeは、事故で車を失ったため、トンネル会社のお金で、豪華と名高い特急列車に乗り、Lameubourbougへ向かう事になります。
 Lameubourboug で、トンネル事故の保証金として、4年分の給与と同額の事故の大金を手にした Martinien Fiは、Aimé  を街一番の高級レストランへ招待します。そこで、Aimé は、Martinienに、自分が不治の病にかかっている事を打ち明けます。


あまり読むところがとても少なかった第1巻に比べると、この「Carême」の第2巻目は、少しだけ、読むところが多くなっていますが、相変わらず、とても読みやすく漫画化されています。

お話はどんどん進行しているのですが、残念な事に、何か盛り上りに欠けるような感じ。
私は、この巻は、次の巻へ話を繋げるための、『準備のための巻?』みたいな印象を受けました。
相変わらず、絵は素敵なのですが、そこの所、少々失望させられました。

あーあ、この調子で、淡々と、たいした盛り上がりをみせないで、話しが終わってしまうのだったら、困るなぁ・・・
第3巻もこの調子だったら、もうこのシリーズは読まないよ!
と、言いたくなりました。
それでも、雰囲気がとても魅力的な漫画なので、第3巻に大きな期待をかけたいと思います。

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謎の伝染病から免れ、生き残った一握りの人間達を描いたフランスのSF


monde
   「Le monde enfin」
 著者 : Jean Pierre ANDERVON
出版社 : Fleuve noir
ISBNコード : 2265082309
表装 : ソフトカバー(14x23) 483頁



 本の内容☆☆☆16/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪ まあまあ

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



ESHと命名された謎の伝染病により、多くの人々が死に、混乱の中、核ミサイルが発射され、地球上の人類は、殆ど死に絶えた。
わずかながら、生き残った人々はいたが、伝染病の影響で、全ての女性が不妊症にかかっており、人類は、絶滅するものかと思われた。
そんな地球に生き残った人々と、地球の姿を描いた力作。

殆どの人が死に、静まり返ったパリで出会った、青年Antoineと若き考古学者Sébastion と、9歳の少女Laurence。
彼らは、Laurenceの希望に従い、動物園の動物を開放する。
その後、Sébastionは、Laurenceの後見人として、彼女の世話をすることになる。

それから、約20年後、Sébastionは、成長したLaurenceに付き添い、アフリカに赴くが、突然、サバンナの真ん中で、Laurenceは、失踪してしまう。

それと平行して語られる、中年女性Anneの話し。彼女は、不妊症が治ったことに気づき、子供を生むため、男性を求めてフランス中を旅する。

それからさらに、13年後、
軍管理の隔離施設で目覚めた、施設の中で唯一の生き残ったPaul。

未知の惑星探検のため、宇宙船に乗り込んだが、45年後に目覚めてみたら、地球の上から動いていなかったことに気づいた、4人の宇宙飛行士。

これらの人々が、人が死に絶えてしまった、地球で、どの様に、生きていったのかを、描いた全部で483ページあるSF大作。


読者の頭に直接アプローチする鋭く、そしてスピーディーな語り口のDan Brownの 「Deception Point」(私は「Davinci code」より、楽しめました)を、この本の前に読んだせいか、読み始めた当初は、この作品の語り方が、とてもまどろっこしく感じられ、少々イライラしながらページをめくりました。

この作品は、始めの2,30ページで、読者を虜にしてしまう作品ではありません。
まあ、初対面の印象はあんまり良くなくて、とっつきにくそうだけど、良く付き合ってみたら、とってもいい人、そんな感じの、少々辛抱して、読んでみることが必要な本だと、私は思いました。

作品のテーマと、結論に、斬新さはないのだけど、それに至るまでの過程が、なかなかスゴイ。
中には、少々退屈な下りもありますが、生き残りの人間達の様子には、心拍迫ってくるものがありました。

特にAnneと『ねずみの王女様』となるその子供の運命、彼女らが辿ったすさまじい生き様を語った迫力ある表現力には、驚愕しました。

エコロジーなんていう、人間中心の環境保護という観念を超えて、本当に地球と自然と人間の関係を考えてみたいとお思いの方にお勧めしたい、SF大作です。

フランス製SFもすてたもんじゃない!と、つくづく思いました。

書き忘れましたが、ねずみに関するかなりリアルな表現が出てくるので、ねずみ恐怖症の方は、読まないほうがいいかも・・・

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