Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

優美でエレガントなフランス語で綴られた小説

Coup de coeur

printz
 「Le fou de Printzberg」
 著者 : Stéphane Héaume
出版社 : Anne Carrière
ISBNコード : 2843373433
表装 : ソフトカバー(14x2x2)277頁 



 本の内容☆☆☆17/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



北極大陸の端の島に位置する町、Printzbergが、この小説の舞台。
この作品の主人公、Julien Leurtreyの友達の著名建築家、Costa Cristo-Caronが、Printzbergで保養所の建設に携わっている最中に、不可解な事故死を遂げる。
死ぬ前に、Julienに送った手紙の中で、Costaは、
「もし、自分の身に何かが起こったら、妻のAltalénaをPrintzbergから、連れ出し、ヨーロッパへ送り届けて欲しい」と請願していた。

Altalénaは、学生時代、Julien と恋仲だったが、著名な建築家のCostaを選び、Julienの前から姿を消した。
だが、未だに、Julien の心の奥には、Altalénaへの想いが潜んでいた。
Julien は、複雑な想いを抱えて、かつての親友の遺志をかなえるため、Printwbergに赴く。

1年に1回しか、夜が訪れない町、Printzberg。
氷河と雪に囲まれた、この村に建てられた、アッシリア王朝の宮殿をまねた優美な保養所に、Julienは足を踏み入れる。

Costaの死により、保養所建設計画が中断されたので、この保養所に住んでいるのは、保養所のプロジェクト責任者であるOthon 男爵と、3人の優雅な物腰の従者、そして、干からびたような容姿の厳格な女中頭のLa Zlotow のみ。

豊満な体を優雅な物腰で包んだOthon 男爵は、なぜか、Julien をAltalénaに逢わせることを、かたくなに拒む。
そんな男爵の態度に、Julien は、とまどいと、怒りを感じる。

だが、運命は、JulienをAltaléna に引き合わせる。
そして、二人は、かつての様な、恋人たちに戻ることが出来たのだが、Printzbergに、1年に1度に訪れる夜に、二人の運命が変わる出来事が起こる。


北極大陸の端に浮かぶ島、氷河と雪の中にそそり立つ、優美な保養所で展開する、どことなく幻想的な雰囲気を漂わせる物語。

JulienとAltaléna、Costaそして、Othon男爵とその従者Mark、彼らをめぐる、ミステリアスでドラマティックな物語が、本作品に出てくる、シベリウスの第5交響曲を思わせる、繊麗な文体で綴られていきます。

氷河と雪、マイナス30度を越す寒さ、そして、呪われた夜の訪れ。
荘厳な建築、選び抜かれた調度品、そして、細かい人の心の動き等などが、絹の肌触りを思わせるようななめらかな筆運びで綴られます。

普段、私は、フランス語を使って生活していますが、あまりに日常化してしまっっているので、フランス語を特に、美しい言葉だと感じたことは、あまりありません。
この作品を読んで、フランス語がこんなに、優美でエレガントな言葉だったのかと、再認識すると同時に、どうしてフランス語が、最も美しい言語の一つだと言われているのか、初めて実感できたような気がしました。

そして、ただ、美しい言葉で語れているだけでなく、この作品は、ストーリーもしっかりと構成されているので、読んでいて退屈しませんでした。
ページをめくるにつれ、謎が深まり、読者を迷宮に誘い込んで行き、絶望的に美しすぎるラストまで、一気に読者を導いていきます。

話の行方が知りたくて、もっと早く、早く読んみたい、と思う一方、もっともっと、ゆっくり味わいながら読んで、この優美な文章を堪能したいという、二つの対極的な思いの間ばさみになりました。

1度読んで、ストーリーの行方を確認してから、何度も読み直して、美しいフランス語をじっくりと賞味したくなる本です。
よく考えてみると、ストーリーの中に、ちょっとばかり現実的でない部分が見つかるのですが、この小説が放つ、幻想的な雰囲気に飲まれてしまい、そんな詳細など、全然気にならなくなってしまいます。

普段、ジャズや、ロックを聞きなれている私ですが、たまに、クラシックコンサートに行くと、心を洗われるような思いをする事があります。 この本を読んだ時、ふと、その経験を思い出しました。

読みやすいフランス語で書かれているし、難しくなく、堅苦しくない、作品なので、美しいフランス語に触れてみたいとお思いの多くの方にお勧めできる作品だと思います。

本作品は、Stéphane Héaume氏の、第3作目にあたるそうですが、私は、未来のフランス文学の巨匠となる可能性を十分に秘めている作家という、印象を受けました。

Stéphane Héaumeの公式サイトもご参考下さい。

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フランスの子供だけに読ませておくのはもったいない短編集

「Contes et Légendes des Lieux Mystérieux」

legendes
 著者       : Christophe Lambert
出版社 : Nathan
ISBNコード : 2092823140
表装 : ソフトカバー(15x19)256頁
 


 本の内容☆☆☆16/20
 フランス語難易度易しい
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)


世界にある謎に満ちている場所をテーマに、小学生高学年〜中学生向けに書かれたした短編集。
次の9編の作品が収録されています。


イースター島の遺跡は、実は宇宙人が・・・という
「Les sacrifiés d'ALDORUS」

ペルーの地面に書かれた巨大遺跡ナズカ・ラインをテーマにした
「Le CAS NAZCA」


ネス湖のネッシーを発見するべく、億万長者のおじさんと、ミニ潜水船でネス湖に潜る話、
「JURRASIK LAKE」

ツタンカーメンの呪いを、ちょっと味付けを変えてショートストーリーにした
「La Tombe de TOUTANKHAMON」

トライアングル・バーミューダーの謎をテーマにした
「Le triangle maudit」

続いて怪奇な出来事が起こる、のろわれた家で映画撮影をしようと計画した映画監督の話
「AMITYVILLE, La maison du diable」

実は、アトランティス大陸は、北極に隠れていたのよ、という
「Le Continent perdu」

パリのカタコンブをテーマにジャーナリストをおちょくった
「Vingt mille lieues sous Paris」

STONEHENGEの遺跡を調査しているうちにタイムスリップしてしまった話、
「STONEHENGE」
この作品は、ロールプレイングゲームになっています。

普段あんまり耳にしない単語が時々出てきますが、1篇1篇が短いので、とても読みやすかった作品です。

書き方によっては、オドオドしくなったり、陳腐になってしまうテーマの上に、子供向けだから・・・と、あまり期待しないで読んだのですが、私は、結構楽しめましたよ。

人間へのカリカチュアちょっぴりを、大盛りのユーモアに包んで、優しさをたっぷりふりかけて調理してあります。子供向きなので、ちょっと味が淡白すぎる感じは否めないけれど、読み終わってから、うーん、美味しかった。
おかわり!と叫びたくなってしまいました。

私は、どことなく星新一のショートショートを思わせる、やさしさと同時に人間風刺がふんわりと漂い、素敵なオチのついている
「Les sacrifiés d'ALDORUS」
「Le CAS NAZCA」
「JURRASIK LAKE」
「Le Continent perdu」
「Vingt mille lieues sous Paris」
が、私のお気に入り。

それぞれのお話が独立していて、関連性が全くないので、興味のあるお話だけ、ぼちぼち読むことが出来るので、フランス語は、あんまり達者じゃないので・・・と、原書を手に取るのをしり込みしていられる方にもお勧めできるのではないか思います。

でも、小学生高学年向けなので、フランス語を習い始めたばかり、という人には、ちょっときついかもしれません。

挿絵がモノクロで地味めなのが、残念だけど、子供だけに読ませておくのは、ホントもったいない、大人のあなたにも、お勧めしたい短編集です。
 

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2006年フランスアングレム漫画フェスティヴァル最優秀作品賞受賞作


gipi
   「Notes pour une histoire de guerre 」
 著者 : Gipi
出版社 : Actes Sud Bd
ISBNコード : 274275352
表装 : ハードカバー(28x20)96頁



 本の内容☆☆15/20
 フランス語難易度易しめ
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



戦時下のヨーロッパの国が舞台。
ちゃちな盗みをしながら、何とか、毎日の生活をしのいでいる、3人の若者、Christian, Stéphane Julienが、この作品の中心人物 。
ある日、3人は、裏街道に顔がきくFélix という名の、危険な香りがするやくざと出会う。
彼に目をかけられた3人は、次第に、犯罪に手を染め、悪の道へと足を踏み入れて行く。

今年のアングレム国際漫画フェスティヴァルで見事、最優秀漫画賞を射止めた作品。
日本の漫画は、勿論のこと、普通のフランス漫画と、一線を画している、とてもオリジナリティーに溢れている作品です。

前頁色つきが主流のフランス漫画では、数が少ない、白黒の2色で印刷された作品なのですが、黒の使い方がとても変わっています。
他の白黒で描かれているフランス漫画では、めったにお目にかかれない、ちょっと墨絵の色の使い方を思わせる、黒、灰色、限りなく白に近い灰色等など、とても幅の広い、バリエーションの灰色が使われている作品です。
その微妙な色使いで、著者は、戦争によってすさんでしまった街と、作中人物たちの心を見事に表現していきます。

人物、風景画は、細密でも優美でもないけれど、素朴なタッチの絵柄。この絵が気に入るかどうかは、好みが分かれる所だと思いますが、私は、淡々とした、話の語り口と、とても良くマッチしている様に思えました。

著者は、決して感情に身を任せる事なく、次第に悪の道にのめり込んで行き、袋小路に入り込んでゆく、Christian,と、Stéphane、そして、次第に友人たちとの間に溝を感じ始める、この話の語り手Julien の姿を、淡々と描いて行きます。

独特のスタイルで、戦時下の、若者たちの姿を描いた、この作品は、フランス人の間で、大変高い評価を受けている様です。

私は、どちらかというと、心をガンガン動かされる作品が好きなので、この語り口は、ちょっと、何か物足りないような感じを受けました。 
このテーマなら、もっと突き詰めて、捻りを入れたらたなら、もっと、もっとインパクトの強い作品に仕上がったはず、読み終わった後、その可能性が不完全燃焼に終わってしまったみたいな気がして、ちょっと、やるせない気持ちになりました。

まあ、これは私の個人的な感想なので、多くのフランス人読者の様に、この作品の独特の味わいが気に入られる方も沢山いるのではないかと思います。

独創的で、アート的なフランス漫画をこれから育てていきたい、という、審査員の意欲が伝わってくる様な、最優秀漫画賞、受賞作でした。
あ、それから、フランス漫画と書いてしまいましたが、著者は、イタリア人です。

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タリバンの支配下のアフガニスタンを描いた名作


kaboul
   「Les hirondelles de Kaboul」
著者 : Yasmina Khadra
出版社 : Pocket
ISBN-10 : 2266134752
ISBN-13 : 978-2266134750
表装 : ペーパーバック(11x1x18)148頁


 本の内容☆☆15/20
 フランス語難易度##♯少々難しめ
 読みごごち♪♪ まあまあ

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



タリバンの支配下にあるアフガニスタンが舞台。
監獄の番人のAtiqは、妻のMussarat が不治の病にかかっている事を告げられた。
愛する妻が次第に病でやつれ果てていくのを見かね、鬱状態に陥る Atiqに、友人の Mirzaは、離婚し、若い娘を娶る様、薦める。
  
Mohsenは、偶然、立ち合わせた、投石による死刑の現場で、自分でも知らないうちに、回りの雰囲気に押され、自分の意思とは裏腹に、死刑囚に石を投げつけてしまう。
我に返ったMohsenは、自分で、犯したこの行為を恥じ、どうしてこんな事になったのか自分が信じらず、狼狽する。

Mohsenの妻のZunairaは、元弁護士で、教養のある女性。
Mohsenは、救いを求め、Zunairaに自分が犯した行為を告白する。
だが、彼は、安らぎを得る事が出来ず、二人の間の溝がさらに深まってしまった事を認識する。
次の日、二人の間に漂う重苦しい雰囲気から逃れるため、Mohsen 、は、Zunaira へ、以前の様に、二人で散歩に出る事を提案する。だが、この他愛無いアイディアは、悪夢へと変わって行った・・・


以前に紹介した「L'attentat」(書評は、こちらをご参照下さい)を書いた、著者の他の作品を読んでみたくて、色々調べたところ、この本に行き当たりました。

タリバン支配下にある、カブールの市民の日常を書いた作品。
「L'attentat」は、グングン、読者の心の奥に入り込み、力強いメッセージを投げかける作品でしたが、この小説は、強いメッセージを全面的に押し出すのではなく、タリバンが、市民生活を支配するようになって、市民の日常と家庭がどの様に変化していったのかを描きながら、機敏に読者の心の中に入り込み、読む者の感情をゆさぶらせてしまう作品です。

イスラム原理主義を頭から信じ込み、ばかげた、理不尽な行為を正義だと信じている人々、
それが悪い事と知りつつ、回りの人の影響を受け、自分を失ってゆく人達、
そして、人間として生きていく事を否定された女性達

彼らや彼女らの姿を描きながら、著者は、人間がどんなに弱く、不確定な存在なのか、読者に語りかけます。

作品を読んでゆくにつれ、自然と、イスラム原理主義に心酔することが出来ず、人間性を失う事のない人々の叫びが自然と心に伝わって来ます。
タリバンの政策が、面と向かって糾弾されているわけではないけれど、不寛容な原理主義的宗教によって、人間が人間として生きていく事を否定されているカブール市民の日常に、怒りを覚える様になります。

この現実に対して、作中人物達が出した、結論は、あまりにも悲しすぎて、絶望的。

読み終わった後、
「現在のアフガニスタンは、どの様に変わったのかしら?」
と、とても気になりました。

先日見た、テレビのルポだと、かなり自由になったみたいだけど・・・
現在のカブールを舞台にして、この現実がどの様に変わったのか、是非、著者に、もう1作、カブールを舞台にした作品を是非、書いてもらいたいなぁと思いました。

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発想は悪くない漫画なのだけど・・・

「L'Histoire secrete, Tome 1 」

Histoire
  ストーリー  : Jean-Pierre PECAU
 作画    : Igor Kordey
着色    : Carole Beau
出版社 : Delcourt
ISBNコード : 2847896317
表装 : ハードカバー(24x1x32)48頁


 本の内容星なし5/20
 フランス語難易度易しめ
 読みごごち しんどかったです

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)


紀元前3000年、シャーマンが死ぬ前に、4人の子供たちに、魔法の力が宿った4枚の象牙の札を手渡す。

Dyo には
治癒能力を持つが、おぞましい形状の怪物を生み出し、この世に毒を撒き散らす風を吹かせる力を宿す
Ivoire de la coupe(盃の札)を、

Reka  には、

標的は決して外さない力を宿すが、持つ者を殺戮をまねく狂気の虜としてしまう力を持つ
Ivoire de lance(槍の札)

Aker には、敵をこっぱ微塵にし、王の元に部族を従わせ統一する事を可能とする力を宿すが、それど同時に、罪のない者達を殺め、破壊をもたらす力を持つ
Ivoire de l'epée (剣の札)

Erlin には、うぬぼれに注意すれば、他の3つのカードを護り、理知をもたらす力を持つ、Ivoire de Bouclier
(盾の札)

が、手渡された。

そして、「4枚のカードを同時に使うと、この世に災いがもたらせられるので、決してこの4枚のカードを一緒に使ってはいけない」と、シャーマンは子供たちに、言い聞かせた。


現在7巻まで出ている、歴史の謎を、4枚の魔法の札を交えながら語るシリーズの第1巻目は、旧約聖書に出てくる、モーゼの出エジプト記がテーマです。
私は、この話を、色々な作品を通して読んで知っているので、なんとか、理解する事が出来ましたが、歴史のこのエピソード知らない人は、この漫画を読んで、話について行くのに苦労するのではないかと思いました。
まあ、これは、大抵のフランス人は一般教養として、この話は知っているから、無駄な心配かもしれません。

はっきり言って、お世辞にも、読みやすいと言えない作品。
(もっとも、フランス漫画には、読むのが苦行とすら思えてくる、超・読み辛い作品があるので、これはまだまだ、ましなほうです)

作中人物の顔が良く似ているので、誰が誰だかひと目で分からない。
おまけに、漫画化がフランス漫画的すぎて、とても不親切。

日本の漫画や、もっと読者サービスがいいフランス漫画を読みなれている私には、読むのが少々しんどかった作品です。

私には、日本の漫画や小説を読むスピードで、ふきだしのせりふを読んだだけでは、すんなりストーリが頭に入ってきませんでした。だから、しばしば、前のページに戻って読み直したり、想像で筋を付け足したりしなければならないので、読みながら、イライラしてしまいました。

前にも、何度も書いたけれど、こういうのが、フランス漫画の典型的なパターンらしいので、慣れれば、なんともないのかもしれないけれど、私は「これなら、小説を読んだほうが、よほどまし」、と思ってしまいます。

それから、これは、好みにもよると思うけど、あまり魅力的とは言えない絵。

ストーリーも、歴史的謎を、魔法の力が宿る4枚の象牙の札が持つ魔法の力と絡めて書く、という発想は悪くないけど、1巻を読んだ限りでは、お話は陳腐そのもの。

図書館で借りたから良かったものの、もし、自腹を切って買ったのだったら、机を叩いて「金返せ」と叫びたくなるタイプの本です。
でも、フランスでは、このシリーズは、人気があるみたいですよ。

だから、まあ、ただ単に、好みの問題、私の趣味に合わないだけなのかもしれませんね。

現在フランスを感じさせるサスペンス小説


ombre
   「Les ombres mortes」
 著者 : Christian Roux
出版社 : Rivages
ISBNコード : 2743614498
表装 : ペーパーバック(11x17)


 本の内容☆☆15/20
 フランス語難易度##難しめ
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)




このサスペンス小説の主人公は、記憶喪失者。
8年前、奇跡的に交通事故から、生還した主人公は、過去一切の記憶を失くしていた。
唯一、過去との繋がりは、彼が保持していた偽の身分証明書。
それ以降、彼は、身分証明書に記載されたGeoffrey Martin と名乗り、新たな人生を歩み始めていた。

Josepha という恋人、Tom、 Susie、 Mouradという友人を得た、Geoffreyは、不可解な悪夢に悩まされながらも、幸せな毎日を送っていた。
ところが、彼のアパートに引っ越してくる事になっていたJosepha が、不意に、睡眠薬を飲み、首吊り自殺を図るという事件が起こる。
不幸のかけらも見せることもなく、彼と一緒に暮らす事を楽しみにしていたJosepha が自殺するなんて、どうしても信じられないGeoffrey。
この事件を担当した、警部の Lancelot も、自殺に見せかけた殺人なのではないかと疑っている様子。
そして、数日後、Geoffreyの親友であるTomがJosephaと全く同じ方法で自殺を図る。

その後、Lancelot は、何者かがGeoffreyに宛て、書いた脅迫状を持って、Geoffreyの元へ訪れ、
Geoffreyが記憶を失って発見された時の警察の調書等、事故に関係する書類を彼に渡し、
「警察は、あなたの友達を始終見張っているわけにはいかないんですよ。あなたとあなたの友達の未来はあなたの手に託されています。どうすればいいのか、もうお分かりでしょう。まあ、これは、あなたに、勇気があるならの話だけど・・・」と言い残して立ち去る。
そして、Geoffreyは、自分の過去を探るため、旅に出る。


本の最後のページまで、読者の気をそらせない、達者な書き手。
フランス語の本を読む場合、初めの50〜100ページくらいは、ちょっと我慢して読まないと、話の中にのめり込む事の出来ない作品が良くあるのですが、この小説は、初めの章から、どんどんお話に引き込まれてしまいました。
そんな、テンポのいい、読みやすい作品です。

私は、今まで、沢山推理小説やスリラーを読んでいるので、作品によっては、途中で、著者の意図するところが見えてしまう事があるのですが、この作品は、どんどん思いがけない方向に話が展開するので、退屈しませんでした。

スリラーとしての、プロット、構成、語り方、等も、なかなか良かったのですが、それだけではなく、フランス社会が抱えている問題と、それに対する著者の考えが、さりげなく作品の中に織り込まれています。そんな面でもl、薄っぺらな普通の推理小説やスリラーとは、一線を画している作品でした。

ただ、全体的に少々、迫力に欠けるのと、ラストに作品がそれまで持っていた緊張感がぬけてしまった様な感じがしたのは、ちょっと残念。
だけど、久しぶりに巡り合えた、読み応えのあるフランス製のサスペンス小説でした。

現在フランスを感じる事の出来るサスペンス小説を読みたいと、お思いの方には、お勧めできる作品なのではないかと思います。


フランスでは、復活祭休みのため、土曜日がお休みの人は3連休。家族が休みだと、どっと仕事が増えるのが主婦の辛いところ。親戚が泊りがけで遊びに来ていたので、本を読むことが出来ず、禁断症状が・・・
そんなわけで、4日ぶりのブログ更新になります。

美しいフランスの田舎駅で繰り広げられる人間模様を描いたフランス漫画


reflex
   「Le réflexe de survie」
 著者 : Etienne DAVODEAU
出版社 : Delcourt
ISBNコード : 2840552159
表装 : ハードカバー(24x1x31)64頁


 本の内容☆☆☆16/20
 フランス語難易度易しめ
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



フランスの田舎の小さい駅の駅長のANTOINEは、ホームレスのTOLSKYが、駅の使っていない建物に住むことを容認している、気のいい定年前の男。
TOLSKYは、毎朝、汽車に乗って出勤する人たちを見送ったり、出迎えたりしながら、毎日、ぶらぶらしながら過ごしている。
ANTOINEの息子は盗みで生計を立てており、時々TOLSKYに盗品の衣料の差し入れをしているが、父親のANTOINEはそんな事は、ちっとも知らない。

こんな平和な田舎の駅に、ある殺人を請け負った、ちんぴら志願の男が現れた。そして・・・


このブログで何度も紹介している、今年アングレム漫画フェスティヴァルで、最優秀ストーリー賞(Prix du meilleur scénario) と、読者投票により決まる、読者賞(Prix public du meilleur album)の2賞を獲得したEtienne Davodeau氏の作品です。
地味だけど、じーんときてしまう、あのDavodeau節が効いてる作品。
普通の人達の普通でない悩み、ごたごたを描かせたら、この人の右に出るBD作家はいないのではないかとすら思えてきます。

ちょっとサスペンスめいているけれど、この作品はサスペンス小説ではなく、自分の力を超えた困難に出会っても、決して人間として一番大事なものを決して見失うことのない、普通の人たちを描いた作品です。
台詞は、最小限に抑えられているのだけれど、作中人物のキャラクターと彼らを取り巻く社会的な問題がくっきりと浮かび上がって来ます。フランス漫画って、読みづらい作品が多いのですが、この作品は、すらすらと読めました。

この作品の、一こま一こまに描かれた、フランスの田舎の小さな駅と、その回りの美しい風景に目を奪われました。
何気ない、フランスの田舎の風景を、こんな美しい絵にしてしまうなんて、相当、田舎の駅に入れ込んでいなければ出来ない事。
著者の、田舎の駅へ対する多分な愛着を感じられるような思いがしました。
もしかしたら、この作品の主人公は駅なのかもしれない、という思いがふと、頭の中を横切りました。

どんな事があっても、人間の中に存在する、まっすぐな部分を信じている、そんな著者の思いが伝わってくるストーリーでした。

Etienne Davodeau 氏の公式サイト、http://www.etiennedavodeau.com/も、興味のある方は覗いてみてね。


Etienne DAVODEAUの作品に関する記事

フランスではヒットした小説なんだけど・・・


7 jours
   「Sept jours pour une éternité」
 著者 : Marc Levy
出版社 : Pocket
ISBNコード : 2266136046
表装 : ペーパーバック(11x2x18)310頁



 本の内容7/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



神と悪魔は、長年に継ぐ争いに、決着をつけるため、ある賭けをする事にした。

その賭けとは、
『それぞれ、最強のエイジェントを1名地上に送り、その結果、7日の間に、人間社会が良い方向へ傾くなら、以後地球は、神が支配し,そうでない場合は、悪魔が支配する』
というもの。

神が選んだのは、天使の様な純真な心を持つ女性Zof ia。
悪魔が選んだのは、形容しがたい魅力を持つ男Lucas。
彼らに与えられた時間は、7日の間。
果たして地球の運命は?

「Si c'était vrais」は、初めから、なんとなく、結末が想像出来てしまったにかかわらず、楽しめた作品でした。


この作品も、初めから、すぐにラストが想像出来てしまい、興ざめ。
何かビックリする事が起こるのではないかと、期待して読んでいたのですが、ほぼ、想像通りに事が運び、CIA = Centre Intelligence Angelique というギャグ(?)以外は、あまり、心動かされる所がありませんでした。

「Ou es-tu?」がとても良かったので、期待しすぎていたせいか、もしくは、私が、あまり、単純なラブストーリーが好きでないからかもしれませんが、前作の「Ou es-tu?」や、第1作目の「Si c'était vrais」に比べると、かなり作品のレベルが落ちてしまった事は否めない様な感じがしました。

あまり、私は面白いとは思いませんでしたが、フランスでは、かなり売れている本みたいですよ。

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人を愛するというのはどういう事なのか考えさせられるフランス小説


ou es
   「Où es-tu ?」
 著者 : Marc Levy
出版社 : Pocket
ISBNコード : 226612269X
表装 : ペーパーバック(11x2x18)315頁


 本の内容☆☆☆16/20
 フランス語難易度#♯普通
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



深い絆で結ばれた、幼なじみの恋人の Philip と Suzan。
Suzan は、ホンデュラスの貧しい村人を助けるため、3年間という約束で、NGOに参加し、アメリカを離れます。
物語の初めの部分は、ニューヨークにとどまった Philip とSuzan が交換した書簡になっています。

南アメリカの貧しい村人の中で、精一杯に生きて行く、Suzan。
Suzanが、彼らの生活を援助する事に生きがいを感じ始める様子が生き生きと彼女の手紙で語られます。

そして、Suzanの帰りを、ひたすら待つ、Philip。
3年後、一時アメリカへ帰国した Suzan は、Philip を愛しているけれど、彼女を必要としている、ホンヂュラスの村人たちと離れる事は出来ないと、又、ホンヂュラスと帰って行きます。

Suzanを待つことに疲れた、Philip の心に、仕事を通じて知り合った女性ジャーナリストが次第に入り込み、二人は結婚し、男の子が生まれます。

彼女との間に出来た、一人息子と平凡だけど幸せな生活を送る、主人公の家に、ある日、Suzan の面影がある一人の少女が現れたところから、本当のお話が始まります。


「Si c'etait vrai ? 」で衝撃的なデビューをしたMarc Levy の第2作目です。

でも、この小説は、コミカルタッチのラブロマンスだった「Si c'etait vrais」 とは、全く違ったタイプの作品です。
私は、個人的には、こちらの小説の方がずぅっと好きです。

初めの方は、それなりに読ませるけれど、特に心を揺さぶられる事がありませんでした。でも、ここで止めたら、あなたは、大損をした事になります。 

人を愛するというのは、どういう事なのか、考えさせられる、大いに心動かされる、涙涙の大感動のお話なのです。

と、言っても、お涙頂戴式の「ああ可哀相」の涙じゃなくって、心の琴線が揺らされて、感動で胸がいっぱいで、涙が自然に出てきちゃうというタイプの涙です。

この本を読んだ主人は、「どうして、こんな本を読ませるんだ、あんまりに感動して、泣かされてしまったではないか」
と喜んでいました。

中盤の盛り上がりに比べると、ラストが少々、軽めな様な気がしないではありませんが、恋愛小説、センチな小説が苦手な私の心を見事に捉えてしまった作品です。

子供を育てた事のある人、これから、育てる予定のある人に、特に、お勧めしたい本です。

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フランスでロングセラーの、ちょっと洒落たラブストーリー


si c'etait
   「Et si c'était vrai...」
 著者 : Marc Levy
出版社 : Pocket
ISBNコード : 2266104535
表装 : ペーパーバック(11x2x18) 256頁



 本の内容☆☆13/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



舞台はサンフランシスコ。建築家のアーサーが、引っ越ししたばかりのアパートで、お風呂に入っていると、バスルームのクロゼットの
中から歌声が、聞こえてきるではありませんか。
不審に思い、クロゼットを開けるとそこには、若い女性がいました。

彼女は、ローレンと言う名で、以前にこのアパートに住んでいたが、交通事故に会い、現在病院で、昏睡状態にあるとアーサーに語ります。
初めは、この事実を受入れる事が出来なかったアーサーですが、自分でも気づかぬうちに、他人には見る事、聞く事の出来ないローレンに、心を開く様になります。
この奇妙な関係が、主人公の日常の一部となり初めた頃、ローレンが入院する病院の主治医は、ローレンの母親に安楽死を勧めたから大変・・・


アメリカの映画制作会社Dreamworksが、「Just like a heaven」のタイトルで映画化した、マーク レヴィの処女作です。
処女作であるにもかかわらず、本作品が、ベストセラーとなった著者は、一気にフランスの売れっ子作家の仲間入りをしました。

とにかく、読みやすくて、テンポが良いので、すらすらと読めてしまった作品。

ただ、読みはじめから、なんとなく結末が想像出来てしまうのが残念でした。だけど、途中、ロマンチックな場面、コミカル、どたばた、などなど、色々ありで、声を上げて笑ってしまったり、しんみりしたりと、結構楽しめました。 
著者はアメリカで生活していた事があるせいか、フランス的というより、アメリカの都会の香りがするラブロマンスです。
フランス的な作品を期待されている方は、その点、少々がっかりさるかもしれませんが、ちょっと、洒落たラブストーリーを読んでみたいなぁと、お思いの方には、お勧め出来るのではないかと思います。

本書は、早川書房より、「夢でなければ」のタイトルの邦訳が出版されている様です。

この本の邦訳はこちら

この記事は以前メーリングリスト「本の出張所」に投稿したものを一部修正、加筆したものです。

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フランス漫画の壁紙が無料ダウンロードできるサイト

今日は、ちょっと趣向を変えて、フランス漫画(BD)の大手出版社の、フランス漫画の壁紙が無料ダウンロードできるサイトを幾つかご紹介します。

ダウンロードの手順は、どのサイトでも、大体同じ。

好みの画像のサイズが書かれているの所をクリック、そして、

別ウィンドウに現れた画像を右クリックで、『壁紙として保存する』で、OK。


グレナ出版 (Editons Glénat)

gtrenat

http://www.glenat.com/dyn/glenat/pagesasp/frame/accueil.asp


画面下のバーの左から4つ目の 『Fonds d'écran』 をクリックすると、壁紙ダウンロード画面が現れます


カステルマン出版 (Editons casterman)

casterman


http://:bd.casterman.com/fonds/


このサイトでは、画面左側の『choisissez votre séri : 』の下にある6つの漫画の画像のみ、ダウンロード可。右側の漫画の画像をダウンロードするには、クラブへの入会が必要。


ダルゴー出版(Editons dargaud)

dagrade


http://www.dargaud.com/front/extras/fondsdecrans/default.aspx



ドュプィ出版(Editons Dupuis)

depuis


「Air libre」 : http://www.dupuis.com/FR/goodies/fonds_al.html
「Repérage 」 : http://www.dupuis.com/FR/goodies/fonds_rep.html
「Humour libre」 : http://www.dupuis.com/FR/goodies/fonds_hl.html
「Tous publics 」 : http://www.dupuis.com/FR/goodies/fonds_ts.html


この出版社では、壁紙ダウンロードページは、コレクションごとに分かれています。
「Air libre」では、本ブログで紹介した「Bar de vieux français 」の壁紙がダウンロード出来ますヨ。


レ・ジュマノイドゥ・ザソシエ出版
(Editions Les Humanoîdes Associés)


http://www.humano.com/goodies/index.php

Humanoide



上記のサイトは、いずれも、私が試してみた限りでは、何の問題もなく、スムーズにダウンロード出来ました。

フランス有名出版社のサイトなので、特に問題が発生する事はないと思いますが、損害・トラブル等が、生じた場合、責任は負いかねますので、各自の責任、ご判断にてご利用ください。

又、壁紙のイラストの著作権は、漫画家又は出版社が所有しています。2次配布、個人のパソコンの壁紙以外の目的での使用、及び著作権を侵害する行為は禁止されています。


X-FilesのようなフランスのSF小説


strata
   「Stratagème」
 著者  : Jacques Vallée
出版社 : L'Arcipel
ISBNコード : 2841877779
表装 : ソフトカバー(14x21) 256頁



 本の内容☆☆12/20
 フランス語難易度#♯難しめ
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



この小説の主人公、Robert は、Nanotronicsという、シリコンバレーのハイテク企業の社長、Markの片腕で、学生時代からの親友。

Nanotronicsが新製品開発に成功し、株式市場に上場が決まったので、忙しくなる前に、リフレッシュし、一息つくため、Markは、息子と一緒にアマゾン河のクルーズに出かけることにした。Markの願いを受け入れ、ヨット操縦の経験があるRobert も、彼らと一緒に旅をすることなる。

ところが、ある夜、アマゾン河に、巨大な光り輝く物体が飛び込み、この衝撃で、彼らが乗ったヨットが沈没する。
Robert と、Markは、命からがら、救い出されたが、Markの息子、Rickyは帰らぬ人となってしまう。

傷ついた心をかかえ、アメリカへ帰った二人は、ヨット沈没の原因となった、巨大な光り輝く物体の正体が何であるかを知るために、あちこち、つてを辿って、調査をする。

政府、軍隊の上層部が何かを知っているが、隠していると、確信した二人は、ある計画を実行へ移す準備を始める。



私、空飛ぶ円盤は全く信じていないのですが、それを信じている人達がどうして、それを信じる事になったのかには、とても興味があります。

詳しく書くとネタバレになってしまうので、あまり書けないのが残念なのですが、この小説では、その疑問に対して、新しい解答を与えてくれました。

読みやすくて、テンポが良くて、ちょっと、アメリカ製テレビドラマ「X-Files」のような感じのする作品でした。
だから、その手のフィクションが好きな方には、気に入っていただける作品ではないかと思います。

この小説、まあ、SF、作り話、として読めば、楽しいひと時を過ごせるので、それはいいのですが、かなり、リアリティーがあるので、空飛ぶ円盤を、まともに信じている人達が読んだら、余計はまってしまうのではないかしら・・・
と、ちょっと心配になりました。

これと言った、斬新さはない作品ですが、テンポがよくて、読みやすいので、疲れていて、あまり頭を使いたくない時に、くつろぎながら読むのに最適な小説だと思います。

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