Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

パリの町並みがとっても素敵に描かれているフランス漫画


corbeau
   「Le Vol du corbeau, tome 1」
著者 : Jean-Pierre Gibrat
出版社 : Dupuis
ISBNコード : 2-8001-3141-1
表装 : ハードカバー(23x1x32)54頁
 


 本の内容☆☆15/20
 フランス語難易度易しめ
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



警察に送られた密告書により、レジスタンスに加担していた事がバレ、刑務所行きになったヒロインJeanne 。

こんな事になるのは覚悟の上、レジスタンス活動に身を投じたのだからと、開き直っているJeanneの監房に、身なりに似合わない、高価な置物を持っていたため、警官に現行犯で捕まった、若くてハンサムな泥棒が、入れられた。

François という名のこの男は、監視の目をうまく盗み、Jeanneを連れて、刑務所の屋根から、脱獄する事に成功する。

Jeanne は、Françoisと共に、屋根の上で夜が明けるのを待つ。その後、Jeanne は、Françoisの知り合いで、セーヌ川に停泊している川舟 に居をかまえているRené と その妻  Huguette,の所に匿われる事になる。

Renéの息子のNicolas の手助けで、妹のMathilde とコンタクトを取ろうとするJeanne。
だが、警察の手は、すでに妹のところまで、まわっていた。

2005年のサンマロのフランス漫画フェスティバル『Quai de bulles』のポスターを担当した、Gibrat 氏の漫画。

(サンマロフランス漫画フェスティバルについては、書評については、こちらをご参照下さい)

このポスターに描かれている、赤いベレー帽、ミニスカートに白いソックスがトレードマークで、ちょっと、ファニー・アルダンを感じさせる、超魅力的なヒロインが、第2次大戦中のパリを闊歩します。

このシリーズの第2巻目は、フランスで一番権威のある漫画フェスティヴァル、アングレム国際漫画フェスティヴァルで、今年、最優秀作画賞(Prix de meilleur dessin)を獲得しました。

とくかく、それだけの事あって、この漫画家は、絵が超うまい!
美人のヒロインや、その他の作中人物の絵も、とてもいいけれど、それ以上に魅力的なのは、背景。

高い建物の屋根から見た、パリの美しい町並み。セーヌ川と、セーヌ川に浮かぶ川舟に住んでいる人達の様子。 パリの街角。など等、見ているだけで、ため息が出てくるほど、素敵。
外国人が『パリ』といってすぐに思い浮かべる、あの美しい『パリ』が、余すところなく、華麗な絵に身を託して、次々と登場します。

お話は、第1巻では、導入部なので、あまり評価は出来ませんが、フランス漫画にしては、かなり読みやすい作品だと思いました。
コマのせりふを読まなくでも、絵を見ているだけで、なんとなく、お話の展開がわかってしまう感じ。

もちろん、ちゃんと読まなければ、お話の細かい部分を理解する事は出来ませんけれど、パリファンなら、絵を見ているだけで、うっとりとしてしまうんじゃないかしら?
素敵なパリの絵が大好きなパリファンの方には、きっと気に入っていただける漫画だと思います。
 
Jean-Pierre Gibrat の他の作品に関する記事

大人が読んでも楽しめる、子供向けのフランス語の本


babel
   「Kamo, l'Agence Babel」
 著者 : Daniel Pennac
出版社 : Folio junior (Gallimard)
ISBNコード : 2070514471
表装 : ペーパーバック(13x1x18)89頁
 



 本の内容☆☆14/20
 フランス語難易度易しめ
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



お父さんが亡くなってしまって、お母さんと二人ぐらしのカモ君は、他の学科はともかく、英語の成績が悪いんです。

幼い時から、ヨーロッパのあちこちの国を放浪したため、数カ国語が話せて、語学の大切さを身にしみて感じているカモ君のお母さんには、それが不満。

だけど、このお母さん、気が短くて、すぐに、勤め先の上司や取り引き先とけんかして、勤めを止めてしまうんですよねぇ。(^-^;

そこで、カモ君は、お母さんと競争する事にしました。

「お母さんが、3ヶ月間同じ職場で我慢する、だから、カモ君も3ヶ月間我慢してしっかり勉強して、英語をマスターする」

という訳で、英語を本格的に勉強するため、イギリス人のペンフレンドと文通をを始めたカモ君ですが、このペンフレンド、ちょっとヘンなんですよ・・・

これは、以前にもこのブログでご紹介した事のある、ダニエル・ぺナック氏が小学校高学年向けて書いた、カモ君シリーズの中の1作です。子供向けの本は、やはり読み応えのない物が多いけれど、この作品は、それでも、かなり楽んで読む事が出来ました。

今ほどフランス語の本がすらすら読めなかった頃、私にフランス語の本を読む楽しみを教えてくれた本です。

子供向けに書かれた小説ですが、マロセ−ンヌ家シリーズで発揮されてる、あのぺナック独特のユーモア感覚が所々感じられる作品。

型破りのおかあさんに、振り回されるカモ君の様子が面白かったです。
2,3作の文学作品が作品中に出てくるので、子供への軽い文学案内みたいにもなっています。

そういった面では、さすが、フランス語の先生。と、納得しました。
(現在は退職していますが、この作品を書い当時、ぺナック氏は、フランス語教師でした)
私はこの作品を読み終わった後、「嵐が丘」を読み直してしまいました。(^^ゞ

でも、イギリス人のペンフレンドと数ヶ月間文通しただけで、英語が得意になってしまう、という発想には、ちょっとムリがある様な気がしないでもないでも・・・

「ぺナックさん、あなたは苦労して、語学をちゃんと勉強した経験があるのぉ?」

と、思わず突っ込みを入れたくなりました。

そこの所、ちょっと子供だましみたいだなぁ、と思いましたが、英語嫌いの子供を、勉強する気にさせるのには、いいかもしれませんね。
フランス語中級レベル程度で読める、大人でも楽しめるフランス語の本をお探しの方にお勧めしたい本です。

この本についてAmazon.co.jp で詳しく見る

本書は、「カモ少年と謎のペンフレンド」のタイトルで、早川書房より邦訳が出版されているようです。
この本の邦訳についてはこちら

Daniel PENNACの他の著書に関する記事

エチオピアで医療援助活動をしたフランス人女医が辿ったドラマチックな生涯を描いた小説

eden
   「Je l'appellerai Eden」
 著者 : Martine Marie Muller
出版社 : Robert Laffont
ISBNコード : 2221101529
 


 本の内容☆☆14/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



1985年、メンギスの独裁下のエチオピアが舞台。
セコタの難民キャンプへ派遣された、ヒロインのフランス人医師のValenciaは、ケベックからやってきた修道女Evangélineや、他のヨーロッパ人と共に、命からがらで、やっとのことで、難民キャンプにたどり着いた人々を治療している。

限られた薬品、備品で、なんとか治療を続けていくうちに、Valenciaは彼女らの仕事を阻止しているとしか思えない政府の役人の態度に憤慨を覚えるようになる。

そんなある日、彼女は、重症を負った、反政府運動に加わるNasaréを治療することになる。フランスに、愛する夫がいるにもかかわらず、Valenciaは次第に、Nasaréと恋におちてゆく。

そして、セコタの難民キャンプ勤務の契約期間を終えたValenciaは、黒い肌を持つ赤ん坊、Edenを連れて、フランスへ帰国する。

フランス人女性医師のValenciaを中心に展開する、この小説は、2部に分かれており、第1部と第2部の間には、20年近くの月日が流れています。

第1部では、セコタの難民キャンプで働く、フランス人女性医師のValenciaを中心にストーリーが展開します。

Valenciaは、第2部にも顔を出しますが、主人公は、彼女の娘Eden。
Valenciaとの間に超えることの出来ない溝を感じたEdenは、Valenciaの止めるのを振り切って、自分のルーツを求めに、エチオピアへ旅立ちます。
そこで、Edenは、自分が生まれた国と、自分の出生の秘密を知ることになります。

この作品は、メンギスが犯したエチオピアの民族大虐殺について、ある程度知識がないと分りづらい所があるかもしれません。アフリカで命がけで活動するNGOのメンバーの様子がリアルに描写されます。

セコタの難民キャンプのチーフである、カナダのケベック出身の修道女Evangélineは、とても魅力的な女性。
修道女という辛気臭い(?)イメージから程遠い女性で、煙草、お酒が大好きで、決断力、実行力とも抜群。
ヨーロッパのNGO団体をいまいましく思い、彼らの活動を影で妨害している政府の役人ですらすら、彼女に一目置いています。
彼女は、片足を地雷で失っても、エネルギッシュに治療活動を続けて行きます。
もしかしたら、モデルがいるのではないかと思ったほど、彼女の描写は、生き生きとしていました。

又、ヒロインValenciaが辿った人生は、波乱万丈、ドラマと秘密にあふれているのですが、
小説のストーリー構成という点では、何となく、お話の行方が想像出来てしまうので、「L'homme de la frontière」(この作品については、こちらをご参照下さい)の様な作品を期待していた私は、その点は、ちょっとがっかりさせられました。

もしかしたら、著者は、小説にかこつけて、アフリカで命がけで活動するNGOのメンバーの様子を書こうとしたのかもしれない、という考えが頭に浮かんだほど、アフリカの難民キャンプの描写が真に迫っているのに比べると、話の落ちはイマひとつの様な気がしないでも・・・

いえ、これは、勝手に「L'homme de la frontière」の様な作品を期待していた私が間違っていたのであって、著者には、全然責任は、ありません。...(((;^^)

それでも、あらゆる困難にもめげず、エチオピアの村人を懸命に治療しようとする人々の姿に、そして、強い意志を持ち、自分で自分の人生をコントロールして行こうとするヒロインの姿に、強く心を打たれた作品です。

アフリカで活躍する非営利医療機関の様子を小説という形で描いた力作なので、非営利医療機関の活動に興味をお持ちの方には、お勧めできる本ではないかと思います。

Martine-Marie Muller の他の著作に関する記事

漫画と呼ぶのを躊躇わせる程、文芸的で、魅力的なBANDE DESSINEE

Coup de coeur

fumee
   「Un peu de fumée bleue...」
ストーリー : Denis Lapière
 作画 : Pellejero
出版社 : Dupuis
ISBNコード : 2800129735
表装 : ハードカバー(24x1x32)56頁
 


 本の内容☆☆☆18/20
 フランス語難易度易しめ
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



この漫画の舞台は、ヨーロッパの不特定の国。
あちこち旅行しながら写真を撮っているカメラマンが、閉店間際の山の上のホテル・レストランに足を踏み入れる。レストランには、トランプをしている3人の男、酔いつぶれるまで飲んでいる男しかいなく、閑散としている。

ホテル経営者の娘、Laure(ロール)の目の前のテーブルには、言葉が書かれた数本のタバコが並べられている。Laureは、その中の1本のタバコを手取り、火をつける。たばこに書かれているのが、Tristan Corbière (トリスタン コルビエール)の詩の一節である事に気がついたカメラマンは、娘に尋ねる。
「どうして、タバコに、詩が書かれているの?」

この問いをきっかけに、Laureは長い打ち明け話を始める。

このホテル・レストランがある場所は、バスの終着駅。
山の上の刑務所に、政治犯が収容されていた頃は、政治犯の妻や母親たちが、このホテル・レストランに泊まっていた。囚人たちは、3日おきに、刑務所から、近くにある兵舎まで、トラックで運ばれ、拷問を受ける事になっていた。刑務所から出たトラックは、険しい山道にさしかかると、自然とスピードを落とす。
運がよければ、その場所で、囚人の母親や妻は、トラックの荷台に乗っている、家族の顔を見、言葉をかけたり、物を渡したりする事が出来るため、囚人の家族は、その場所で、トラックを待つのが習慣になっていた。

この刑務所に収容されていた囚人は、留置されている日数の代わりに、何回トラックに乗ったかを数えるのが慣わしとなっていた。噂によると、37回まで、持ちこたえた囚人がいるとか・・・
家族が会いに来る囚人は、他の囚人より、長く生き延びる事に気づいたLaureは、家族のいない囚人たちの面倒を見る事に決意する。そして、他の女性達に混じって、トラックを待つのがLaureの日課となった。
  
そんなある日、Laureは、トラックに乗っていた、囚人のLudvik(ルードヴィック)に恋してしまうようになる。
彼にタバコを手渡し、心が通い合うようになった頃、 Laureは、毎回渡す1本のタバコに、詩を1行ずつ書く事を思いつく。 「詩が終わるまでは、死なないで」 彼女のメッセージを理解したLudvikは、手渡されたタバコは吸わずに大切にとっておいた。

やがて、クーデターが起こり、政治犯らは釈放された。
LaureとLudvikは、山の上のホテル・レストランを離れ、都会で暮らし始める。
Laureは、ウェイトレスとしての仕事を見つけ、二人は幸せな暮らしのスタートを切ったはずだったのだが・・・


これは、絵で読む文学作品。

版画を思わせる、輪郭の太い絵。 普通の漫画とは、一線を画している、アートっぽい絵が ストーリに力を与えています。
ストーリー、絵、コマワリの仕方、読み心地、何一つ文句をつける事が出来ないくらい完成されている作品だと、私は思いました。

政治的で暗いテーマを扱っているけれど、人間の心理に焦点を置いてストーリーが構成されているので、全然、生々しくないし、難しくなく、快く、感動の渦に身を任せることが出来ます。
恋愛小説が苦手な私をうならせた、人間の心の奥にある琴線を揺さぶる、繊細でかつ力強い作品です。

悲劇的な話しなのですが、ラストがいいので、後味が悪くなく、感動だけが、余韻となって、いつまでも心に残ります。
又、一般的なフランス漫画と比べると、とても読みやすい作品でした。

巻末に、ストーリーを担当した、Denis LAPIERE 氏による、作品及び作中人物に関する解説が載っています。 私は、この解説により、作品及び、著者への理解を深めることが出来ました。

とても魅力的な1冊でした。

Denis Lapièreの作品に関する記事

Ruben Pellejeroの作品に関する記事

フランス語のなぞなぞの答え

!(^^)! 3月 21日の記事の、フランス語のなぞなぞの答え


問題を見逃した方は、先にこちらの記事をご覧下さい。

解答は、↓↓↓

(続きを読むをクリック下さい)

続きを読む »

不具合についてのお詫び

今朝、いつもの様に、私のブログ『LIRE EN FETE』にアクセスしたら、

なんと、

「このページは見つかりません」

と、怒られてしまいました。

ちゃんと、ログインして、管理画面には入れるのですが、
ブログを見ようとすると、又、

「このページは見つかりません」

何度かトライしても、全く同じ状況。

FC2ブログで、ブログを始めて、6ヶ月になるけれど、こんな事は初めて。

FC2ブログのオープンページを見ても、特に変わった事はない様なので、いやぁーな予感。

別に、何にも悪いことしていないのに、ブログが不適切なものと勘違いされ、削除されてしまったの???(?_?)???

せっかく、Yahoo のカテゴリーに登録してもらったばかりなのに・・・
いくらなんでも、これは、タイミングが悪い。

パニックに陥り、FC2の問い合わせフォームに書き込んで、又、確認をクリックしたら、又

「このページは見つかりません」

もしかしたら、これは、FC2のサーバー側の原因では・・・
ちょっと安心する。

もう一度、問い合わせフォームに記入したら、今度は、ちゃんと送る事が出来ました。

送り終わってから、ブログにアクセスすると、ちゃんと、ページが表示されました。ホッ。

もし、この時間帯に、ブログにアクセスされた方、ごめんなさい。
又、この様な事があっても、私のブログを見捨てないで、時間を変えて再度アクセスしてみて下さい。

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フランス語初心者にお勧めのフランス語のなぞなぞの本

Coup de coeur

enigme
   「Enigmes & Jeux de logique 」
 著者 : Philippe Brunel
出版社 : Editions PRAT
ISBNコード : 2858908206
表装 : ハードカバー(20x3x23)359頁
 



 本の内容☆☆☆17/20
 フランス語難易度易しい
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



今日、ご紹介するのは、息子がクリスマスプレゼントに頂いて、家族でおおいに楽しんだ本です。

タイトルが示す様に、これは、フランス語のなぞなぞ、クイズの本です。
326ページに、全部で、約480個のなぞなぞやクイズが、ぎっしり詰まっています。

ふつうのなぞなぞから、言葉遊び、論理もの、文字パズルみたいなもの、算数的なもの、など等色々。

なにしろ、なぞなぞの数が多いので、中には、いやぁこりぁ、「Tirer par les cheveux」という表現を地でいってるねぇ、なんていうのもあるけれど、
「いやぁ、しっかりはめられてしまったよん」なんていう、傑作もあります。

なぞなぞなので、中には長いものもありますが、多くの質問は、とても短いので、フランス語初級レベルの方が、なぞなぞを楽しみながら、フランス語に親しむのにちょうどいい本なのではないかと思います。

又、この本の中には言葉遊び的な、なぞなぞが、沢山出てくるので、楽しみながら、フランス語のボキャブラリーを増やしたり、フランス語のユーモア感覚を磨いたりする事が出来ますよ。(^▽^)y

フランス語を習い始めた方から、上級レベルの方へと、幅広い読者の方々に楽しんで頂ける本ではないかと思います。

この本は、一応、子供向きに書かれていますが、大人でも、ちょっと考え込んでしまう問題なんかも、かなりあります。

ハードカバーで、めっちゃ重いのが玉に瑕の、超お勧め本です。

特別付録として、この本に記載されているなぞなぞを、幾つか、添記しますので、興味のある方は、Read more をクリック!




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現役フランス高校教師がフランスの高校の実態を書いた問題小説


crissement
   「Crissement sur un tableau noir」
 著者    : Philippe Delepierre
出版社 : Liana Levi
ISBN-10 : 2867463866
ISBN-13 : 978-2867463860
表装 : ソフトカバー(14x21)259頁



 本の内容☆☆13/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪ まあまあ
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



主人公の Juan VEGA は、40台の離婚経験のある、リールの公立高校のフランス語の教師。

彼は、ローリングストーンズのファンで、勤務外は、ロックグループのコンサートの前座をつとめたり、刑務所で慰問コンサートをしたりする、アマチュアロックバンドで、ベースを演奏している。

彼が受け持ったクラスの一つ1er S(理系の2年生)は、将来エリートになる出来のいい生徒ばかりそろっているクラスなのに、生徒は、彼の授業に無関心。

幸いなことに、アメリカの高校へ留学していた Tatianaが、発言してくれるので、なんとか授業の雰囲気が保たれている。Tatianaは、Juanが出演するコンサートを見に来たりして、Juanに関心があるみたい。そして、次第に、Juan の気持ちは、 Tatianaへ傾き始める。

一方、ファザコンのTatianaは、返事が来ないにもかかわらず、離婚して、アメリカで住んでいる父親に毎日の様に手紙を書き送る。 Juanに、父親の面影を垣間見たTatiana は、 Juanへの恋心をつのらせる様になる。
そして、ある日、Tatianaは、母親から、父親が、ゲイで、ある事を知らされる。


本の裏表紙に書かれている説明によると、著者は、現役の高校教師だそうです。
だから、この本に書かれている、高校の実態は、かなり、リアル。

授業妨害をする生徒に注意したら、企業管理職の横柄な父親が文句を言いにきたり、
授業中に、教室の前の団地のベランダで若い女の子達がストリップを始めてしまったり、
スーパーのヨーグルトに注射器で毒を注入しようとしている所を見つかった生徒のせいで、警察に呼び出しを受けたり、
ちんぴらに半殺しにされそうな生徒を、身の危険を感じつつも助けなければならない羽目になったり、
無能なくせに、いじわるな、教員視察員に、わけのわからない文句を言われたり・・・

いやあ、フランス人教師は、休みは沢山ある上、しょっちゅうストばかりしていて、お気楽な身分、
と思っていたのですが、結構大変みたい。
そんな知らなかったフランス教員の一面を知る事が出来ました。

 Juanの日常を通して、高校の様子が手に取る様に書かれているので、中から見たフランス高校の様子が手に取る様に分かります。
どうして、たかがスカーフがこんな大問題になるの?と今ひとつ納得いかなかった、イスラム・スカーフ問題や、イスラム原理主義が教育へもたらす影響への理解が、この作品を読んで深まった様な気がします。

でも、この先生、ホント型破り。
ロックバンドをやっているのは、カッコ良くていいけれど、自分の主義主張に会わない生徒を授業中罵倒するは、可愛い女子生徒に妄想してしまうや、授業を妨害に来たちんぴらを半殺しにしてしまうや、おまけには、娼婦も買ったりしてしまいます。

教師も人間とはいえ、いくらなんでも、これは・・・   

ラストでは、主人公は、教師を辞めて、メキシコへ移住しますが、これは、ホント正解。
やれやれ、と胸をなでおろしました。

一つの事を説明するのに、著者の長ったらしい注釈がごたごた付いている、文章が連出します。
この、だらだらした説明は、かなりユニークな所があり、ざっくばらんな口調で、書かれているので、初めのうちは、それはそれでも、おもしろかったのですが、本の初めから終わりまで、この調子が続くので、しまいには、うんざりしてしまいました。

フランスの高校教師が普段抱いている不満を主人公を通して爆発させたという感じのする作品。
現在のフランスの教育実態に興味をお持ちの方には、参考になるかもしれません。

Philippe Delepierreの他の著作に関する記事


仏ブルターニュ地方の妖精コリガンの民話を漫画化したシリーズの4冊目。

「Les contes du Korrigan, tome 4; La pierre de Justice」

kor 4
  ストーリー : Erwan Le BRETON 
 作画 : Mika , Guy MICHEL 他
着色   : Camille PAGANOTTO , Christophe Lacroix他
出版社 : Soleil Production
ISBNコード : 2845657811
表装 : ハードカバー(24x1x32)52頁





 本の内容☆☆11/20
 フランス語難易度易しめ
 読みごごち♪♪♪ .すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



ブルターニュ地方の妖精コリガンの民話を漫画化した「Contes du Korrigan」 シリーズの4冊目です。

今回は、小人の妖精Korriganの裁判がテーマ。
人間にいたずらをしかけたKorriganが裁きを受けるため、被告人の妖精たちが、自分の行為を女王、裁判官、Korriganの民衆の前で、自分が犯した、いたずらを語ります。

「Le sonneur」
では、怖いもの知らずのうぬぼれの強い人間の若者を懲らしめた、Korrigan のお話。

「Le Teuz-ar-pouliet」
心のやさしい若者Jéguから、かつて受けた恩を返すため、彼が、村一番の美人Barbaïkと結婚できるように、骨をおった妖精Teuz-ar-poulietのお話。
結婚できたのはいいもの、Barbaïkが、あまりに、わがままなので、Jéguは途方にくれます。
そこで、Teuz-ar-poulietは・・・

「La noix du poulpikan」
poulpikanという、森に住む妖精から貰った木の実を食べたら、妊娠してしまった人間の女性、Elenのお話。


どれもこれも、茶目っ気たっぷりの妖精たちが、鼻持ちならない人間にいたずらをする話。民話なので、どれも、たわいないお話なのですが、民話が大好きな私は、かなり楽しめました。
私は、特に「Le Teuz-ar-pouliet」がお気に入り。Barbaïkの気持ちも、分からなくはないけれど、Teuz-ar-poulietって、とっても可愛いくて憎めません。

ただ、話は、どれも、皆、面白かったのですが、前作と比べると絵や背景が雑になってしまった様な印象を受けたのが残念でした。


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フランス企業の新入社員のためのマニュエルの様な本

Coup de coeur

「Bien s'exprimer à l'écrit et à l'oral - SOS Bureau 2005 」

sos bureau new
  著者       : Paul-Emmanuel Géry, Anne Reboul  
出版社 : Fernand Nathan
ISBNコード : 209179659X
表装 : ソフトカバー(18x1x24)208頁  



 本の内容☆☆☆18/20
 フランス語難易度#♯普通
 読みごごち♪♪♪ .すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



私の住む町にある図書館、実用書、エッセイは、フィクションに比べると数が少ないのですが、先日、新しく入館した本のコーナーを見ていたら、この本が目に留まりました。

「SOS bureau - Bien s'exprimer à l'écrit et à l'oral」
このタイトル、意訳すると、「職場で、書き言葉、話し言葉、両方をうまく使いこなすためのガイドブック」かなぁ?

のタイトルに惹かれて、ページをめくると、あら、これはなかなか便利、と、いう内容の本でした。

この本は、

1.Rédiger avec plus d'aisance
2. Améliorer son oral
3. Les écrit professionels  
4. Les situation de communication orale 

の、4つの大きな章に分かれています。

初めの1、2章では、流暢に書いたり、話したりするための一般的なテクニックが、次の3,4章では、効率よくビジネスを進めていく上でのアドヴァイスが書かれています。

上記の4つの章は、それぞれ、15程の項目に分かれています。
各項目は、2ページから6ページくらいの長さで、ひとつのテーマのみが取り上げられており、「Formules pour débuter une lettre」の様な、具体的なタイトルがついています。
ですから、初めから終わりまで、読まなくても、目次を見て、興味がある項目だけ、チェックする事が出来るので、とっても便利。
(細かい目次については、本記事の終わりに添記しますので、興味がある方は、Read more をクリックして下さいね)

そして本の終わりには、とっても便利な付録
「Astuce de grammaire, d'orthographe et d'expression」
がついています。

この本は、フランス人が、企業内外で、適切な言葉を用いて自己表現したり、文書を作成したりする手助けとなる事を目的として書かれているみたい。
フランス人が、ビジネスをしていく上で、特に気をつけなければならない、フランス語に関する注意が、ぎっしりつまっている本です。

フランス語を外国語として学んだ私が、これは、とても参考になると思ったのは、フランス人が良く犯す文法上の誤りの指摘、シチュエーションに合わせた動詞の選び方、流暢なスタイルで書くため、気をつけなくてはいけないこと、手紙の書き方、等々の項です。

その他にも、文章を構成する上で気をつけなけらばならない事、報告書の書き方、文書のタイトルのつけ方、表グラフの使い方、人前で話す場合の準備、会議の進め方、商談の準備、インタビューの受け方、見本市で成功をおさめる方法等々、企業で働いていく上で、必要となる事は、ほとんど網羅しているのではないかと思われる、いたりつくせりの本です。

中には、日本のビジネス入門書や、ビジネス文書作成マニュエルに書いてあるような、
「こんなこと知ってるもんね」
という様な事も出てきます。
ビジネス上の常識は、やはり、万国共通の点が,かなりあるみたいですね。

でも、『会議の進め方』のところに、
「自分の意見を押し付けたい人」「否定的な意見ばかり言う人」「だらだら関係ない意見ばかり言う人」・・・
の扱い方なんていうのをあるのは、やはり、とってもフランス的。

そんなフランス企業と日本企業の違いを感じさせる項もあります。

どの項でも、一つのテーマついて、ポイント、ポイントで、具体的な例、言葉をあげて、ごく簡潔に説明してあるので、とても実用的。

例えば、手紙を書く場合でも、手紙の内容により、使うボキャブラリーを吟味することが大事で、

普通の手紙の場合には、「Nous vous signalons..., Nous constatons...,」
愛想良く見せたい場合、「 Nous souhaiterions..., Nous vous invitons...,」
怒りを表現したい場合、 「Nous sommes surpris de constater..., Nous exigeons...,」

を使用する事、等の例があげられているので、

「そうそう、クレームの手紙を書く場合には、『Nous constatons』 と書くより、『Nous sommes surpris de constater』 と書いたほうが、凄みが出るなぁ・・・と、とても、参考になります。

その他、「Améliorer sa diction」の項には、はっきりと発音するための練習、として早口言葉まで載っています。試しに、ひとつ。

Trois tortures trottaient sur trois étroits toits.

どうですか?すらすら、言えました?

初めは、ゆっくり、だんだんスピードを上げていって、早く言えるようになったら、今度は、鉛筆を口にはさんで、練習する事、なんて、書いてありました。
ちなみに、この項に記載されていた12の早口言葉は、Yahoo Blogの方に掲載する予定ですので、興味のある方は、こちらへへどうぞ。

その他にも、

「Se baser sur」というのは、誤りで、正しくは、「 Se fonder sur」
「Dans le but de」 というのも、本当は「Dans le dessein de」と書くのが正しく
「Comme convenu」も、いけなくて、正しくは、「Comme il a été covenu」

へえ、普段良く目にしたり、耳にしたりする、フランス人が良く使っている言い回しにも、間違いがあったのね・・・
目からうろこ。

なかなか、NON と言えなくて困っている日本人に、特に読んでいただきたい、
「Savoir dire non à une demande」 なんて、項目も、あります。
そうです、NON と言うのにも、ちゃんとそれなりのやり方があるのです。

ここでは全部書けませんが、実用的なアドバイスが、満載されている本です。

フランス語を使ってビジネスをする人、ある程度フランス語をマスターした人が、より完璧なフランス語を身につけるために、かなり役に立つ本ではないかと思います。

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風変わりな人達が登場する、ちょっと変わったフランスの恋愛小説


poisson
   「Poisson d'amour」
 著者 : Didier Van Cauwelaert
出版社 : Points (Seuil)
ISBNコード : 2020403498
表装 : ペーパーバック( 11x1x18)187頁


 本の内容☆☆13/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



Drouet の競売所で、一目ぼれした PhillipとBeatrice。
彼女の瞳に込められたメッセージに誘われるまま、Phillipは、セリを吊り上げて、貴族の箱型の移動用椅子を法外な価格で買う羽目になってしまう。
実業家の姉と歯科医の義兄の家で、ぶらぶらしていた、Phillipは、この出来事をきっかけとして、自立することに決心する。
高級マンションのモデルルームに住む唯一の友人の所へころがり込んだPhillipは、Beatriceの事が知りたくて、こっそり、彼女の生活を監視する事にした。

プロバスケットの選手で、刑務所の慰問訪問を定期的に行っているBeatriceは、とても風変わりな祖母と曾祖母と共にくらしている。
彼女は、ヴェネズエラへ、植物採集へ行った際に、事故死した父親の事が忘れられず、現地人の言葉を独学で勉強しながら、いつの日か、父親が死んだ場所へ行くことを夢見ている。

実は、BeatriceもPhillipの事が気にかかり、こっそりと、後をつけていた事をPhillipに告白、そこで、二人は普通の幸せな恋人になるはずだったのだが・・・


ちょっと変わった恋愛小説。
Beatriceという女性に、恋して、彼女に引っ張られて、あちこちへ振り回されて行く、Phillipの様子が書かれているのですが、この小説に登場する作中人物は、皆、普通じゃない人ばかり。

Beatriceの曾祖母のAstridは、レジスタンスに参加した、豪傑な女性で、年老いた現在でも、しゃくしゃくとしており、自伝を全て、テープに吹き込んでからでないと、死なないと決心している。又、彼女は、自分の死の時期をコントロールするため、中国の哲学人のように、木の実を中心にした、食餌療法を実施している。

Beatriceの祖母のJeanneは、17歳で結婚、19歳で未亡人になり、強靭な意志を持つAstridの思いのまま、再婚する事なく一生を送ってきた。Jeanneの息子で、Beatriceの父であるWerner は、結婚するが、妻に捨てられてしまい、あげくの果てには、BeatriceをAstridとJeanneの元へ残し、アマゾンへ赴き、連絡を絶ってしまう。

そんなJeanneに、12歳の時から思いを寄せて、70年の間、彼女と一緒に暮らすのを待ち続けて、彼女と、その家族の経済面で全面的に世話をしている、ちょっとおかしい医者のDreyfuss。
私は、この、Dreyfuss  おじさんが一番お気に入り。
とても複雑な性格を持つこの人物を、よくもここまで、表現出来たのか、と感心してしまいました。

ユーモアたっぷりな、二人の恋の道行き、それと、同時に、Phillip君の切ない気持ちが良く伝わってきた小説でした。

表現力に溢れている達筆の作家による、現実離れしている人ばかりが出来る、とても変わったラブストーリー。
一部、分かりにくい所もありましたが、全体的にテンポが良いので、すらすら読めました。

Didier Van Cauwelaertの他の著作に関する記事

ヨーロッパを思わせる町並みが素敵に描かれているフランス漫画

「Careme, tome 1 : Nuit Blanche」

carem
  ストーリー : Christoph BEC
 作画 : Paolo Mottura
出版社 : Delcourt
ISBN-10 : 2731615567
ISBN-13 : 978-2731615562
表装 : ハードカバー(24 x1x30)48頁



 本の内容☆☆14/20
 フランス語難易度易しい
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



ヨーロッパを思わせる架空の国が舞台。
掃除機を売りながら、あちこちの町を旅しているセールスマンのMartinien Fidèleが、この話の語り手。
Martinienが、見通しの悪い夜道を運転している時、車道に飛び出して来た鹿が彼の車に追突。 鹿はそのまま走り去ったものの、車のヘッドライトを壊されてしまったMartinienは、そのまま、旅を続けることを断念し、ある町で一夜を過ごすことになります。

ホテルのレストランで、偶然、相席になったのは、Aimé Carême という、巨体の持ち主。二人とも超自然現象に興味があることから、二人は、幽霊の話で、盛り上がります。体に似ない、繊細な神経の持ち主で、孤児院出身の Aimé Carême と、Martinien Fidèleは、意気投合して、一緒に旅を続けることになったのですが・・・


ヨーロッパの町を思わせる、町並みがなかなか素敵に描かれているフランス漫画。読むところが最小限に抑えられているので、すぐに読み終わってしまう、とても読みやすい作品でした。
読むところは、とても少ないのですが、Aimé Carême のとても、傷つきやすく、繊細な性格、そして、それを感じ取るやさしさを持っているMartinienの人柄が、よく伝わって来ました。
全てのBD(フランス漫画)が、この様に書かれていたら、ほんといいのに・・・と、ため息がもれました。

第1巻は、お話の、ほんの導入部分なので、ストーリーのほうは、1巻を読んだだけでは、評価出来ませんが、これから面白くなるんじゃないかと思わせるイントロです。

2巻目が読みたくなりました。

関連記事

フランステレビ業界の裏側がちょっぴり覗けます

Coup de coeur

saga
   「Saga」
 著者 : Tonino Bénacquista
出版社 : Folio (Gallimard)
ISBNコード : 2070408450
表装 : ペーパーバック(2x1x18)439頁 



 本の内容☆☆17/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



「ごみ箱の中から拾ってきた」と、テレビ局のディレクターが思わず口をすべらせてしまった、そんな形容詞がぴったり来る様な、さえない4人のシナリオライタが、主人公。

テレビ局のディレクターは、パリのビルの1部屋へ集められた彼らに向って、1本52分、合計90時間のテレビドラマのシナリオを書く様依頼します。とにかく、出来る限り少ない予算で制作出来る様、

「このテレビドラマに使用するセットは2種類だけ、登場人物は全編を通して10人以内。1回に出演させるのは、6人を超えない事」

という条件付き。その代り、内容には一切制限なし。

なんせ、このテレビドラマは、フランス政府が、フランス文化を守るという名目で作った
「フランスの制作会社が作った作品を1定の割合で放映しなければならない」

という、法律を守る目的だけのために、制作され、夜中の4時から5時までに放映されるのだから。
とにかく、安く上げられば、後は誰も見なくても、おかまいなし、という訳。

ごみ箱行きをまぬがれた、旧式のAV機器に、ソファーセット、コーヒーの自動販売機が備え付けられた 部屋で、4人のシナリオライターは、ドラマのシナリオ作りに取りかかり始めます。

誰も見るはずのなかった、テレビドラマのシナリオ制作を通して、4人のシナリオライターの私生活が語られますが、それぞれ違った過去を持ち、秘密を抱えている、4人のキャラクターの描写は見事。

それと同時に、ドラマのシナリオも読めるので、一度に二つの話が楽しめるし、おまけに、フランスのテレビドラマ制作の楽屋裏も、ちょっぴり覗けます。

物語が、進んでいくにつれて、お話は、思いがけない方向へ、どんどんと展開していきます。

4人のしょうもない、シナリオライターが、誰も見るはずのなかったテレビドラマのシナリオ制作を通して、変わっていく姿を描いた、ちょっと風変わりなお話です。
テレビ業界、テレビ視聴者への風刺もたっぷり。
読み出したら、止まらない面白さ。

とにかく、Tonio Benacquista のストーリーテラーの才能には、脱帽。

ラストが、遊びすぎなのは、今一つリアリティーに欠けるけど、とても楽しめた作品でした。

この作品は、1998年「Prix des Lectrices de Elle」 に選ばれています。

Tonino Benacquista

パリのアパートで繰り広げられる、フランス女学生と老女の一騎打ち


souriez
   「Madames, souriez」
 著者  : Jessica L. Nelson
出版社 : Fayard
ISBN-10 : 2213622361
ISBN-13 : 978-2213622361
表装 : ソフトカバー(14x22)220頁



 本の内容☆☆12/20
 フランス語難易度##♯難しめ
 読みごごち♪♪ まあまあ

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



Louis 叔父さんから、パリのアパートを相続した、ラッキーな女学生 Louisa。
ただし、このアパートには、住んでいる女性がおり、彼女は、長い間 Louis叔父さんの秘書兼アシスタントを務め、おじさんだけでなく、一族が大変お世話になったので、彼女が望む限り、アパートに住み続ける権利があるという条件付。
そういった経緯から、パリの大学に通う Louisaは、『ばばあ』と同居することになった。

だけど、レジスタント運動や、フェミニズム運動に参加し、修羅場をくぐり抜けて来た『ばばあ』は、一筋縄ではいかない超気難しい性格。 家の飾り物や家具を移動するのは厳禁、ボーイフレンドをアパートに招くのはもっての外、おまけに洗濯機一台入れるのにも、大騒動。
おまけに、アパートは年寄りの臭いがぷんぷん。
だけど、そんな事では、めげない、Louisa。
「だって、ここは、mon son appartement、なんだもん。」
かくして、灼熱の暑さの中、パリのアパートでは、若さ対老熟の戦いが繰り広げられるのだった。

若くて、美しくて、傲慢で、老いることを何よりも恐れているLouisa。

Louisaを、ちゃらちゃらしている、あばずれ、だと思っている、『ばばあ』。

Louisaは、『ばばあ』が、孤児だったLouisaの父親の出生の秘密を知っているのではないかと思っており、なんとか、『ばばあ』の口を割らせようとするが、そうは問屋がおろさない。
『ばばあ』が、ノートに日記をつけている事を知ったLouisaは、『ばばあ』の日記を何とか読もうとするが、『ばばあ』は、どうやら毎日、日記の隠し場所を変えてる様子。

やっとノートの隠し場所を見つけたと思ったら、それは、ダミーのノートで、その中には、
「私を老人ホームへ放り込もうたってそうはいかないよ、・・・その気になりゃ、家具伝いに移動することだって出来るんだから、・・・家の中をあちこち嗅ぎまわるのは、やめておくれ・・・」
と書かれていたりする。


Louisaが『ばばあ』を、頭の中で、ののしり、うらみ、憎む様子が、作品を通して面々と語られます。
だけど、これは、彼女のモノローグという形を取っているので、あまり、実感に迫ってきません。
実際に『ばばあ』とLouisaとの会話、という形で表現していたら、もっとおもしろくなったのにと、少々、残念に思えました。

『ばばあ』の回りに起る出来事を通して、Louisaと『ばばあ』の心が近づいたり、離れたりする様子が、書かれているのですが、Louisaの気持ちの描写が作品の大部分を占めていて、『ばばあ』のLouisaに対する気持ちがほんの少ししか扱われていないので、そこの所が、消化不良になってしまい、不満が残りました。

Louisaより、『ばばあ』のキャラクターの方が遥かに謎に満ちているので、『ばばあ』についてもっと、突っ込んだ書き方をしていたら、もっと面白い作品に仕上がったのではないかと思いました。

あと、ラストも今ひとつインパクトに欠けているような印象を受けました。

若さ対老熟の戦いを、文学的に書こうと、試みた作品のようですが、著者は、品性を失わない様、細心の注意を払っているようで、とってもお上品な作品となっています。
もっと、ざっくばらんに、書いてもらったら、もっと、もっと面白い小説になったのに、残念、という読後感が残りました。

フランス人漫画家による、スタジオ・ジブリの「となりのトトロ」!?


Harry p
   「Harry Pottarquin」
 著者 : Dav
着色   : Esteban    
出版社 : Soleil
ISBNコード : 2849462993
表装 : ハードカバー(22x1x30)47頁



本の内容☆☆12/20
 フランス語難易度易しめ
 読みごごち♪♪ .まあまあ
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



映画やアニメのをおちょくった、現在フランスのティーンエージャーたちの間で人気のユーモア系の漫画。

映画やアニメの世界で、フランスの漫画家や編集者達が、原稿書きと締め切りに苦心苦闘する様子がギャグタッチで描かれています。
この手のユーモア漫画は、時々読むのですが、読んでもブログで紹介したいと思うものは、ほとんどありません。
この作品も、本来なら紹介するつもりはなかったのですが、なんと!スタジオ・ジブリの「となりのトトロ」が登場しているので、取り上げることにしました。

シリーズ2作目の、この「Harry Pottarquin」には、

小さい子供向けのスポンジが主人公のアニメ「BOB L'EPONGE」を元にした 、「TOF L'EPONGE」

ホラー映画のパロディー「HELLDOM」

クリスマスキャロルが元になっている、「Un conte de NOEL」

となりのトトロにヒントを得た、「Tonari no DOMDORO (mon voisin Domdoro)」

そして、ハーリー ポッターのパロディー、
 「Harry Pottarquin et les sortilèges du tcm」

が、収められています。

私は、初めの3つの話しの元となった作品は見たことがないので、今ひとつピンときませんでしたが、それでも、かなり笑えました。
だから、見たことのある「となりのトトロ」と「ハーリー ポッター」にヒントを得た最後の2作には、腹を抱えてゲラゲラ笑ってしまいました。

「Tonari no DOMDORO」は、読むところが全くない、絵のみの漫画になっているので、フランス語がわからなくても、映画を見たことのある人なら十分笑えます。   

「となりのトトロ」は、フランスでは全国公開されていないので、この作品を知っている著者は、かなりの日本アニメファンなのではないかと、思いました。

トトロファンなら、コレクションに加えてみる価値ありかも・・・

Davの他の作品に関する記事
 

アルプスの山にまつわる怪談っぽい話を集めた短編集


envers
   「Contes et nouvelles de l'envers」 
著者    : Jean-Marie Jeudy
出版社 : Glénat
表装 : ソフトカバー( 14x1x23) 209頁



 本の内容☆☆11/20
 フランス語難易度普通
 読みごごち♪♪ まあまあ

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



この本には、作家、画家、写真家、批評家、そして、物語朗読家であり、山に関する多くの本を書いている、著者が、サヴォワ地方に伝わる伝説や、彼の経験、人から聞いた話等を元にして書いた、15の短編が収められています。

この本のタイトルにある、 l’envers というのは、日が当たらない、山の北斜面という意味ですが、このタイトルからも察することが出来る様、この本に収められている作品は、どれも皆、山のミステリアスな面をテーマにしています。

同じトーンの作品ばかりなので、続けて読むと、ちょっと、しんどいけれど、毎晩眠る前に1篇読むのにちょうどいい本ではないかと思います。

ちょっとユーモラスな所のある「La balade au clair de lune」と、「La face nord de Harvey」や、怪談めいた、「Le rendez-vous」、「Le foulard」や、「Les bergers de l’hiver」 が、私がおもしろいと思った短編です。

私は、サヴォワ地方の山で、ヴァカンスを過ごしたことがありますが、昼間、お天気の時には、この世でこれほど美しい場所はないんじゃないかと思われるほど美しい場所も、夜、又は、雨が降っている時など、まったく違った表情を見せます。

この本では、観光ガイドには書かれていない、そんな、あまり知られていない、ちょっと怖い、山の雰囲気を体験する事が出来ました。

詳しい目次を添付しますので、興味のある方は、read more をクリック!

なぜか、この本、Amazon.fr では、品切れ。
本に関する情報は、山に関する本を専門に扱っている「Montagne Distribution」の下記のページをご参考ください。

http://www.montagnedistribution.com/produit.aspx?id_sous_cat=34&id_pdt=359

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