Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

これ1冊マスターすれば、フランス人より達者なフランス語が話せるようになる?

Coup de coeur

Dico
   「Le Dico Français/Français」
 著者 : Phillippe Vandel
出版社 : LGF - Livre de Poche
ISBNコード : 2253063363
表装 : ペーパーバック(11x2x17)347頁
 


 本の内容☆☆☆17/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ .すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



フランスのテレビを見たり、雑誌を読んだりしていて、「あれ?」と思った事がありませんか?

この単語、こんな使い方するの?
へえ、こんな言い回しってあり?

そんな経験のあるあなたに、特にお勧めしたいのが、この本です。

ネイティブのフランス人ですら、時折
「こいつは一体何を言いいたいんだ!」
と言いたい事がある程、フランス語は、ヴァラエティーにあふれています。
これは、どの言語でも同じですが、ある業界に属する者の間でのみ、通用する言葉、言い回しなどは、部外者にとっては、ちんぷんかん。

この本では、
・ショービジネス
・レストランのシェフ
・サッカー業界
・美容関係
・ジャーナリスト
・警官
・広告業界
・山の手の住人
・企業内
・アパレル業界
・政治家
・ラップ歌手
・演劇関係者
・不倫のカップル
・文学評論家
・爺婆
・若ぶった話をする人
・共産主義者

の18の業界、カテゴリーの中で使われている話し言葉を、風刺を交えながら、ユーモラスに説明していきます。

例えば、

ショービジネス業界で、「Etranger(外国)」というのは、「ベルギー、ルクセンブルグ、スイス」を指している。
例:「私のシングルは、外国でよく売れている」
フランス語圏以外の外国を指す場合には、オランダ、イタリア、USA、日本等、国名を列挙する。

ジャーナリストの間で、
「Analyser(分析する)」というのは、「邪魔されることなく、だらだらと、自分の意見を述べること」
「Demain(明日)」というのは、「やがて、1週間後、1ヵ月後、来年、もしくは世紀末、明日以外の未来を指す」

警官の間で、「Tutoiement(Tuを使って話すこと、親しい仲、もしくは目下への話し方)」は、
「犯人であると思われる容疑者に対する待遇」(警官にTuで話しかけられたら注意)

山の手の住人が、「Dans nos familles(私たちの家族では・・・)」と言ったら、
「私とあんたは、住んでいる階級がちがうのよ」と暗にほのめかしている。

政治家にとって「Promesse(約束)」というのは、「馬鹿をひっかける罠」を
「Dès demain(明日からすぐに)」は、「暇があったら、気が変わらなかったら」を意味する。

等など、読んでいて楽しくなってしまう例が一杯。

初めから、最後まで一気読みするのでなくて、自分の興味のあるところから、ぼちぼち読んでみるのに適している本です。
フランス人が読んでいて、ゲラゲラ笑ってしまうくらい、風刺やユーモアをたっぷり交えて書かれているので、楽しみながらフランス語の勉強ができます。

「これ1冊マスターすれば、フランス人よりフランス語が達者になれる?」
なんていうことはないと思うけれど、フランス人が実際に使っているフランス語を理解するための手引書としてもってこいな本です。
出版は1993年なので、最新の流行語は載っていませんが、それでも、とても参考になる本です。
フランス語中級者以上の方で、楽しみながら、フランス語を完全にマスターしたいと思っていらっしゃる方へ、是非お勧めしたい本です。

関連記事

普通じゃないアメリカ人一家がフランスの田舎町に引っ越してきたら・・・

Coup de coeur


malavita en poche
   「Malavita」
 著者 : Tonino Benacquista
出版社 : Folio (Gallimard )
ISBNコード : 2070319393
表装 : ペーパーバック(11x2x18)373頁





 本の内容☆☆☆18/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ .すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)


私が現在、最も気に入っているフランスの小説家、Tonino BENACQUISTA の作品です。

ノルマンディー地方の静かな小さな村 Cholong-sur-Avreへ、アメリカ人のBlake一家が引っ越してくる所から、この小説は始まります。
このアメリカ人一家は、父親 Fred Blake 、母親の Maggie、中学生の長男 Wallen、 と高校生の長女 Belle、の4人家族。
ところが、この一見平凡に見えるアメリカ人一家は、FBI の Witsec というシステムによって保護されている事が、次第に明らかになっていきます。

Witsec とは? どうして ?
これは、読んでからのお楽しみ・・・
という事にしておきます。

お話の冒頭の部分では、フランス人の外国人(ここでは、アメリカ人)に対する態度への強烈な風刺が感じられます。
「全くその通り、良くぞ書いてくれた。私が予てから胸に抱いていた恨みをはらしてくれて、ありがとう」
と叫びたくなりました。

この作品の魅力は、勿論の事、それだけにとどまりません。
話が進むにつれて、徐々に明らかになっていく父親の過去、それを彼がどう、受け止めているかが、彼の口を通して語られますが、これが、なかなかユニーク。

この Blake 一家、父親だけじゃなくて、4人が共、それぞれ、一癖も二癖もある キャラクターです。
彼らは、それぞれ、自分なりのやり方で、意地悪なフランス人達に、自分の存在感を植え付けて、彼らを取りまく人々を、自分の意のままに操って行きます。

そして、訪れるべくして、訪れたラスト。

どうして、この小説のタイトルが Malaviata なのかは、お話のラストで明かされますが、なぁる程と思わせます。
私は普通、面白い本を読んでも、ストーリーに現実的でない要素があると、興ざめしてしまうのですが、この作品は別。
少々、リアリティーに欠ける所は否めませんが、「小説だからいいんじゃないの、だって、とおっても面白いんだもん」
という気分になってしまいました。

やっぱり、BENACQUISTAは、すごい!

Tonino Benacquistaの著作に関する記事

「Debout les morts」で大活躍の福音書トリオが再登場


sans feu
   「Sans feu ni lieu」
 著者 : Fred VARGAS
出版社 : J'ai Lu
ISBNコード : 2290353353
表装 : ペーパーバック(11x1x18)282頁

 


 本の内容☆☆12/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ .すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)


元売春婦のMartheの元に、20年以上も会った事のなかったClementが姿を現した。
通りで、客の袖を引いていた頃、Martheは、当時5歳で、父親から冷遇されていたClementの面倒を見た事があった。
少々知恵の足りないClementは、パリを騒がせている連続女性殺人事件の犯人として、警察から追われていたが、Clementの無実を信じたMartheは、Louis Kehlweilerへ相談を持ちかける。
Louisは、Marc の手を借りて事件の真相をつかもうとするのだが、すべての手がかりは、Clementを犯人と示していた。

「Debout les mort」 「Un peu plus loin sur la droite」 の続編です。
この2冊を読んでいると、この作品をより楽しむ事が出来るので、読まれていらっしゃらない方は、先に読まれる様、お勧めします。

「Debout les morts」で大活躍の福音書トリオが再登場。
相変わらす、歴史学者にとって、世間の風は冷たいようで、今回、Marcは、ハウスキーピングのアルバイトを始めました。
Louisに振り回されて事件に巻き込まれていく、お人好しのMarcとその当居人たちの描写が愉快。
「Debout les mort」の様に、声を上げて笑ってしまうことはありませんでしたが、読んでいてとても心地よい気分になり、Vargasワールドで、再び、快適な一時を送ることが出来ました。
Louisは、Lucienが苦手な様ですね。今回、Lucienは、ちょっとしか、顔を出さないけど、やっぱりすごい!

推理小説としてのプロットに目新しさは、感じられませんが、こじんまりと良くまとまっていて、好感の持てる作品でした。

「Debout les morts」の福音書トリオのファンの方には、気に入っていただけるんじゃないかと思います

それから、Clementの話し方は、おもしろくて、読んでいると真似したくなるけど、流暢なフランス語とは、程遠い話し方みたいなので、あまり、真似しない方がいいみたい。

Fred VARGASの著作に関する記事

Fred Vargas著「Debout les mort」の続編


un peu
   「Un peu plus loin sur droire」
 著者 : Fred VARGAS
出版社 : J'ai lu
ISBNコード : 2290351318
表装 : ペーパーバック(11x1x18)253頁
 



 本の内容☆☆14/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ .すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



内務省を追い出された、Louis Kehlweiler は、ぶらぶらしながら毎日を送っている。
ある日、彼は、公園のベンチの近くの木の側の鉄柵に、ひっかかっている小さな骨を見つけた。
鳥の手羽の一部の様なこの骨を元に、Louis は、事故に見せかけた殺人事件を嗅ぎ当てる。

ペットのひき蛙を常に、ポケットに忍ばせて、持ち歩く、主人公、Louis は、色々、謎の過去がある様で、とても興味深い人物です。
「Debout les mort」 に出て来た、 Marc が準主人公、Mathias が脇役で登場。 私は、Lucien のファンだったので、彼が出てこないので、ちょっと、がっかりしてしまいました。
まあ、目立たぬように殺人事件の捜査をするのが目的なので、当たり前かも?
でも、Louis と Marc の漫才の様な会話が、めちゃ、おもしろい。
フランス人と、ウィットに富んだ会話をしてみたいなぁなんて、思っている人には、参考になるかもしれません。

この他にこの作品に出てくるその他の人物の描写も、お見事。
「さすが、VARGAS」 と感歎しました。
ちょっとした脇役の、 Antoinette ばあさんなんかも、「わー、きりっとして、いいなぁ」なんて風に思える様に、描写してあります。

ストーリに関しては、偶然に偶然が重なりすぎているのには、文句をつけたくなりましたが、推理小説としての出来は、VARGASの他の作品と比べると、良く出来てる方だと思います。
私が今まで読んだ、Vergas の作品の中では、まずまずの出来の作品ではないかと思います。

Fred VARGASの著作に関する記事

作中人物のキャラクターが魅力的な仏推理小説


debout
   「Debout les morts」
 著者 : Fred VARGAS
出版社 : J'ai lu
ISBNコード : 229035130X
表装 : ペーパーバック(11x1x18) 282頁





本の内容☆☆14/20
 フランス語難易度 ##普通
 読みごごち♪♪♪ .すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



今は引退しているオペラ歌手 Sophia は、庭に見慣れない木が植えられているのに気づく。
「誰が植えたの?」
Sophia は不審に思ったが、夫の Pierre は無関心で、全然気にしない。
しかし、気になって仕方が無いSophia は、隣のあばら家に引っ越してきた3人の若者(Marc、Lucien、Mathias)に、木を掘り返す様、依頼する。
それから、数週間後に、Sophia は、失踪する。
Marc達と同じ家に暮らしている、元警官のMarcの伯父は、彼らと共に、Sohia失踪の謎を解明しようとする。

ストーリーや、プロットよりも、まず、Marc、Lucien、Mathias の福音書トリオが、この作品の第一の魅力です。

3人とも、めちゃ変わっているけれど、とても気のいい人たちで、読んでいて、とても楽しくなって来ます。
この3人に逢うためにだけでも、この本を読む価値アリ。
特に、第1世界大戦オタクの Lucien が、とてもおもしろい。

この強烈な魅力を持つ3人のおかげて、前半は、かなり読ませますが、作品の半ばから後半にかけて、前半で感じられたスパイスが薄くなり、ちょっとインパクトに欠けてしまったのが、残念。

ストーリー、プロットに関しては、目新しさには欠け、完成度も今一つといった感が否めませんが、クラシックなタイプのミステリーが好きな方には、気に入っていただけるのではないかと思います。

この作品は、「死者を起こせ」のタイトルで邦訳が、創元推理文庫から出ている様です。


(この記事は、以前メーリングリスト「本の出張所」へ投稿したものを一部加筆したものです)


Fred VARGASの著作に関する記事

重いテーマを、大人向け絵本に仕立てた、フランス漫画

「Elle ne pleure pas elle chante」

elle ne pl
  原作       : Amelie Sarn 
ストーリー : Eric Corbeyran
作画   : Thierry Murat
出版社   : Delcourt
ISBNコード : 2847891765
表装 : ハードカバー(24x1x32) 48頁
 



 本の内容☆☆☆17/20
 フランス語難易度易しめ
 読みごごち♪♪♪ .すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)


近親相姦という、重いテーマを扱った Amelie Sarn の小説を 
Bande Desinée(フランス漫画化)にした作品。
BDと書きましたが、普通のBDや漫画とは、一線を画した、しゃれたイラストの様な絵柄です。
BDというより、大人向けの絵本といった趣。
私は、この線描写のセンスのいいイラストに惹かれて、この本を手に取りました。

主人公の女性が、「父親が、交通事故に合い、危篤」
と、電話で知らされる所から、お話は始まります。
彼女を長い間苦しめてきた、忌々しい父親との思い出が、作品を通して、語られて行きます。
でも、アートっぽい、スタイルで、ストーリーが展開されるので、全然、生々しくない、でも、読んでいて、心が揺れ動かされ、
涙が出てきました。

巻頭に、原作者のAmelie Sarn が、 Corbeyran と Thierry Murat 宛てた公開書簡が寄せられています。

「Il est de ces textes que l'on n'ecrit pas mais que l'on crie.」

(この作品のように、書き綴るのではなく、叫びながら綴る、作品がある)

という文章で始まり、

「A present, je ne suis plus seule.
On ne pouvait pas m'offrir de plus beau cadesu.Merci」

(もう、ひとりじゃない。
これより、素晴らしいプレゼントを私に贈るなんて事は出来やしない。ありがとう。」

で、終わる、この公開書簡を、作品を読み終えてから、再び、読み返したら、涙が出て来て止まりませんでした。

とても、暗く、重いテーマをこんな素敵な絵本にした、作者の方々へパチパチと拍手を送ります。

仏女流劇作家による現代小説


luge
   「Dans la luge d'Arthur Schopenhauer」
 著者 : Yasmina REZA
出版社 : Albin Michel
ISBN-10 : 2226158391
ISBN-13 : 978-2226158390
表装 :  ソフトカバー(11x18) 120頁
 




 本の内容5/20
 フランス語難易度###ちょっと難しめ?
 読みごごち しんどかっったです

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)


ドイツの文学賞 "Welt"賞 を受賞することが確定した(授賞式は、11月14日)劇作家兼、小説家の、Yasmina REZAにより書かれた、ペーパーバックサイズで、大きな文字で約100頁ほどの小品。

この本は、初老にさしかかると思われる女性、Nadine Chipmanと、その夫で、精神に異常をきたしているAriel Chipman、彼らの友人で、法律コンサルタントのSerge Othon Weilと精神医の4人による、8つのモノローグで、構成されています。

4人の作中人物は、自分の中に渦巻いている、毎日の生活の中で感じた疑問を言葉で表現していきます。
読んでいると、誰の頭がおかしいのかわからなくなり、誰も彼も、みんな、ちょっと精神に異常をきたしているような印象をうけます。
私は、Sergeの製造拠点の海外移転問題に関する指摘は、なかなか面白いと思いましたけど、それ以外は、
「こいつら、何、わけのわからんことをぐじゃぐじゃ言っているんじゃ」
と、叫びたい気分になりました。

現代文学とか、実験小説といった雰囲気がちらっと漂うような作品。
私は、あまり好きになれませんでしたが、一部のフランス人批評家の間では、高い評価を受けているようです。
2005年9月9日付けの「Le monde des LIVRES」に、この本並びにYasmina REZAが取り上げられていました。

フランス語文法の国のおとぎ話


表紙画像 chevaliers sub
   「Les chevaliers du subjonctif」
 著者 : Erik Orsenna
出版社 : Le Livre De Poche (LGF)
ISBN-10 : 2253114340
ISBN-13 : 978-2253114345
表装 : ペーパーバック(11x1x18) 181頁
 


 本の内容☆☆14/20
 フランス語難易度易しめ
 読みごごち♪♪♪ .すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



「La grammaire est une chanson douce」の続編。

元騎手の地図作製者と共に Jeanne は、デルタプランで、不思議な島の地図を作りに出かけます。
Jeanne 達は不定法、命令法の島をめぐった後に、接続法の島へ不時着してしまいます。
そこで、Jeanne は、接続法とは、何であるのか、知る事になるのでした。

あの、しちつまらない、フランスの文法を擬人化して、こんなに、素敵な物語を作ってしまう、そのお手並みには、再度、感歎。

フランス人の子供も、頭を悩ます、接続法が、今回のテーマ。
接続法は、可能性の世界だって知ってましたか?

前作の様に、文法をわかりやすく表現した、

「 Le savoir、や le sourire っていう名詞は、元は、動詞の不定形だったのだけど、動詞をするのは、とても疲れるので、職業替えして、名詞になってしまった、怠け者」

なんていう、素敵な表現がたくさん出てくる、フランス文法のおとぎの国の物語です。

好みによると思いますが、私は、「La grammaire est une chanson douce」より、この作品のほうが楽しめました。

bigre!の挿し絵も、益々、この本の魅力を倍増させています。


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フランス語文法ノイローゼの特効薬


grammaire
   「La grammaire est une chanson douce」
 著者 : Erik Orsenna
出版社 : Le Livre De Poche
ISBNコード : 2253149101
表装 : ペーパーバック(11x1x18)150頁
 




 本の内容☆☆14/20
 フランス語難易度易しめ
 読みごごち♪♪♪ .すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



10歳になる Jeanne とその兄 Thomas(14歳)は、夏休みになると、離婚して、アメリカ大陸に住んでいるお父さんに合うために、客船で、大西洋を横断します。
客船が、嵐のため、遭難して、二人は、不思議な島に漂着します。
この島に住んでいる Henri おじさんに連れられて、二人は、住人が「言葉」の町を訪問することになったのですが・・・


フランスで、フランス文法をもっと、なじみやすいものにしようという意図から、子供のために書かれた作品ですが、大人の間でも大人気
だった本です。
あの、難解なフランス語文法をこんな、素敵なおとぎばなしにしてしまった作者の筆力には、びっくり。

例えば、形容詞の名詞に対する一致は、次の様に表現されます。

「MAISON という名詞が、自分に合った形容詞をお店に探しに行きます。
色々見た後、HANTE という形容詞が気に入ったので、HANTEを連れて帰る事にしました。
だけど、それだけじゃ、だめなのです。そう、市役所へ行って、手続きしなければならないのです。
そこで、MAISON と HANTE は、結婚ならぬ、形容詞の名詞への一致をするのです。
だけど、浮気な名詞は、市役所を出たとたん、新しい形容詞が欲しくなり、又、お店へ足を向けるのです。
町角で、名詞から捨てられた、可哀相な形容詞を沢山みかけます。」

ね、とっても、素敵でしょう。

この他にも、沢山な例が素敵。
挿し絵もとってもセンスがいいです。

フランス文法ノイローゼにかかっている あなたにお勧めする、特効薬です。


Erik ORSENNA の他の著作に関する記事

文学へ贈られたの最高のオマージュ

Coup de coeur

表紙写真 4 soldats
   「Quatre soldats 」
著者 : Hubert Mingarelli
出版社 : Seuil,.Collection : Points
ISBNコード : 2020631199
表装 : ペーパーバック(11x1x18)208頁
 




 本の内容☆☆☆18/20
 フランス語難易度易しい
 読みごごち♪♪♪ .すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



この物語の語り手は、ルーマニア軍、ポーランド軍に追われ退却するロシアの赤軍兵士、Benia。
冬の間は、身動きが取れないのため、彼が所属する隊は、森で、冬を越す事になり、兵士たちはグループに分かれて、各グループごとに冬の間住む小屋を建てることになります。

Benia は、機転が利く Pavel、力持ちで、ちょっと頭の回転が遅いウズベキスタン人の Kyabine 、慎み深くおとなしいけど、射撃の腕は抜群の Sifraと共に小屋を建て、そこで、彼らと共に冬を過ごします。

4人の兵士は、Pavelの知恵と、サイコロ遊びとたばこで、厳しい冬を乗り切ります。
やがて春が訪れ、4人は、冬の間彼らと同じ様に、森に立てた小屋で暮らしていた他の兵士達と共に 、森を離れ、テントで暮らす様になります。

そして、上官の命令で、戦闘前の短い休息を満喫するBenia達のグループに、ノートと鉛筆をいつも身から離さない、Evdokim という少年兵士が加わることになります。
最初は、Evdokim を警戒していた4人でしたが、やがて、文盲の彼らは、Evdokim に彼らの思い出を記録する事を依頼する様になります。


ちょっと、とぼけた口調で、淡々と、4人の兵士の日常が語られます。

かなり、厳しい、悲劇的な状況なのですが、Beniaの口を通ると、彼らが経験している辛酸は、全く当たり前の事のみたいに、
そして、現在の私達の生活から見たら、語るにも及ばない微々たる事が、とてつもなく貴重な物の様に思えてきます。
彼らが今までどんな悲惨な生活を送っていたのかが、行間からにじみ出てきて、胸を絞られる様な気持ちになりました。

だけど、この本を読んでいる間、
「地味で、取りたてた所のない、この小説がどうして、2003年のMedicisを受賞したの?」
という問いが、何度も、頭に浮かびました。

そう、ラストを読むまでは・・・

Mingarelliの作品は、いつもラストがいい、それが念頭にあったにもかかわらず、不意をつかれ、心が震えて、涙が止まらなかったラスト!
感動という言葉で、表現しきれない、思いを感じる事が出来ました。


文章を綴ることが出来るという事が、こんなに、贅沢な事だったなんて!今まで生きていて気が付かなかった!

今までずっと気づかずに生きて来たけれど、書くという行為は、人生の一番美しい時間を永遠に保存出来るって事だったのね。

文字を書けるという境遇に生まれた幸運を、この作品を読んで改めて、かみ締める事が出来ました。

この小説は、文学へ贈られたの最高のオマージュだと思います。

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Hubert Mingarelli の最新作

Coup de coeur

Eldo
   「Le voyage d'Eladio」
 著者 : Hubert Mingarelli
出版社 : Seuil
ISBNコード : 2020663848
表装 : ソフトカバー(14x2x21)178頁
 



 本の内容☆☆14/20
 フランス語難易度易しい
 読みごごち♪♪♪ .すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



「終わりの雪」の邦訳が、日本でかなに好評の様な、Hubert Mingarelli の最新作です。

私は、この作品を初めに、それから、「Quatre soldats」を読んでから「終わりの雪」を読みました。
私は、「終わりの雪」は、あまり好きになれなかったので、この逆の順番で読まなくて本当に良かったと思いました。
もし、一番初めに「終わりの雪」を読んでいたら、きっと他の2冊を手にすることはなかったと思います。

全文で、170ページ程度の小品。
超読みやすいので、ゆっくり読んでもわずか、2時間足らずで読み終えてしまいました。

舞台は中央アメリカ。逃走中のゲリアのグループが主人公のEladioの主人のの家に入り、ブーツを濡盗む所から始まります。
主人のブーツを、取り返すため、Eladioは、ゲリアの後を追い、山へ向かいます。

この話は、最後から終わりまで、Eladio のモノローグのみ。

理不尽な主人公の行動に、不可解な気持ちを抱きながら読み進めていくうちに、Eladio が、普通の人に比べて、いくらか知恵が足りない事、彼がどうして、 主人のAlvaro Cruz に忠実なのかが、明らかになっていきます。

そして、最後に Eladio がたどり着いたのは・・・

平易な言葉で、とても読みやすい文章で Eladio のひたむきなやさしさと 現実の残酷さが、浮き彫りにされた詩的な作品。

指でほんの少し触れたら、壊れてしまうな、ぴぃんと張った澄んだ水面の様に、言葉にしたら、壊れてしまう様な作品です。

易しいフランス語で書かれているので、フランス語初心者の方にもお勧めできるのではないかと、思います。


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フランス漫画の傑作

Coup de coeur

「Le Bar du vieux français, édition intégrale」

Bar
  ストーリー : Denis Lapière
 作画 : Stassen
出版社 : Dupuis
ISBNコード : 2800128623
表装 : ハードカバー,112 頁
 



 本の内容☆☆☆18/20
 フランス語難易度易しめ
 読みごごち♪♪♪ .すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



フランスで生まれ、モロッコ人の両親とフランスに住む Leila。
厳しすぎる父と意地悪な兄、彼女をかばう事の出来ない母親に囲まれて、毎日を送っている彼女が、やすらぎを感じられるのはトイレに閉じこもっている時と、夜ベットの中で懐中電灯の明かりで本を読む時だけ。
ある日、この息の詰まりそうな現実から逃げ出すため、 Leilaは、黙って家を離れ、かつて訪れた事のある祖父母が住むモロッコへ向います。


アフリカの小さな村で、妹と二人で暮らしていた孤児の Celestin。
ある日、妹の命を救うため、着の身着のままで、二人は、こっそりと村から逃げ出します。
食べるために、働きながら、幾つもの村をさまよう、Celestin は、いつの日か、ヨーロッパへ行く事を夢見ます。


そんな二人の物語を、砂漠の果てにある、古ぼけたバーの、VIEUX FRANCAISと呼ばれる主人が語ります。



BANDE DESSINEE(フランス漫画)の傑作。
漫画でも、立派な文学作品になりうるという事を証明した様な本。


絵柄は、ちょっとくせがあるけど、決してイヤミにならない、ちょっとポップアートっぽい感じ。
そんな洒落た絵で、二人のティーンエイジャーの自分探しと、ちょっと風変わりな愛の物語が展開されます。
一こま一こまが、一枚の絵の様。風景もとても丁寧に書き込まれています。
どのコマも、額に入れて飾りたくなる程、美しい。


読むところも、普通のBD(フランス漫画)に比べると少ないので、とても読みやすい。


ストーリーも良かったです。洒落た映画を見ている様な感覚を覚えました。
いつまでも、心の片隅に残りそうな話です。
ラストでは、ほろりと涙がこぼれてしまいました。


この作品は、以下の賞を受賞しています。


1992年6月、スイス「Festival de Sieerre」で Canard 賞
1992年9月、オランダ「Festival de Breda」で、最優秀外国作品賞
1992年10月、ベルギー「Festival de Durbuy」で、最優秀フランス語作品賞
1992年10月、フランス、ル・マン「24 heures du Livres」「Prix BD」
1993年1月、フランス、アングレム「Salon d'AngoulEme」で、Alp'Art Coup de Coeur賞、及び、Bloody Mary 賞


ただ、とても重い本なので、航空便でフランスから日本へ取り寄せる場合は、送料が、かなりかかる事を覚悟しておいた方がいいかもしれません。


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