Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

ダニエル ぺナック著「Aux fruits de la passion」

「Aux fruits de la passion」

著者  : Daniel Pennac
出版社 : Folio (Gallimard)


マロセーン家シリーズの第6弾。
今回の話は、Benjamin がお気に入りの妹 Thérèseが準主人公。

ある日、Thérèseが結婚すると言い出した。
マロセーン家の長男兼家長の Benjamin は、大ショック。
この結婚に反対するため許婚のアラを探そうとするのだけど・・・
これが、無いのよね。


フランスの階級社会への風刺一杯、フランスで暮らしている人なら、ゲラゲラ笑えるシーンが沢山あります。
シリーズはじめの頃に比べると、やや、勢いが落ちてしまった事は否めませんが、前作(「Monsieur Malaussène」)に、失望していた私は、ぺナック健在、やれやれ、と胸をなで下ろしました。



この記事は、2005年6月23日に、Yahoo Blog「フランス読書日記」にアップしたものを「フランス読書日記」の閉鎖に伴い、本ブログに転載したものです。


Daniel Pennac の他の著作に関する記事

ダニエル ぺナック著「Monsieur Malaussène」

「Monsieur Malaussène」

著者  : Daniel Pennac
出版社 :Folio (Gallimard)


マロセーヌ家シリーズ第4弾。

人の代りに怒られる、スケープ・ゴートの仕事をしている
マロセーヌ家の長男兼家長の、バンジャマンが、今回は、連続猟奇殺人事件の容疑者に・・・


冒頭は、めちゃ、面白いのですが、全体的には、どこか、いやぁな雰囲気が漂う作品。
シリーズ中、私が一番嫌いな作品です。

マロセーヌ 家シリーズの、あの独特なユーモアと雰囲気は、健在だけど、前の3作と比較するとちょっと、勢いが落ちてしまったみたい。
おまけに、今回は刺青がテーマで、ちょっとグロテスクで、気味が悪い。
ぺナック らしくない、薄気味悪さが後まで残った作品でした。

でも、日本人の私ですら、知らなかった白粉彫りという刺青が作中、出て来るのですが、こんな事まで知っているぺナック氏の博識には、少々、驚かされました。

それでも、この本を読み終わった時、

「ぺナック さん、どうしちゃったのぉ。この本を書いた時、なんか、精神的な悩みでもあったのかしら?」

と、なぜか私は、余計なお世話の心配をしてしまいました。

でも、以上は、私の個人的な感想です。

「どうして? おもしろかったじゃん。」
という人がいた事も書き加えておきます。


この記事は、2005年6月20日に、Yahoo Blog「フランス読書日記」にアップしたものを「フランス読書日記」の閉鎖に伴い、一部加筆の上、本ブログに転載したものです。


Daniel Pennac の他の著作に関する記事

ダニエル ぺナック著「Des chrétiens et des Maures」

「Des chrétiens et des Maures」

著者  : Daniel Pennac
出版社 : Gallimard , Collection : Folio


「パパが欲しい」
と、ある朝、目覚めたとたん、マロセーヌ家の10歳になる Le Petit は言った。

Benjamin の、もう一人の弟 Jérémy は、
「父親とは、なくてもなんとかなる仮説の様な存在に過ぎない」
と全然取り合わない。

でも、Le Petit の決心は固く、自分の父親を知るまでは、何も食べないと、ハンガーストライキに直行。

そして、マロセーヌ家の長男で、家長でもある、Benjamin は、Le Petit が生まれるきっかけとなった、奇妙な出来事を回想する。

あれは、10年前、雨の降りしきる中、Benjamin 達は、拷問を受けて、瀕死状態の男を見つけ、かくまう事になったのだった。


マロセーヌ家シリーズの第5弾。

Le monde 紙の夏期特別付録として、書き下ろされた作品。

大きな活字で印刷されたペーパーバック版で全部で 100ページ程度の小品で、シリーズの番外編といった趣の、順番からだと、4作目「Monsieur Malaussène」の次に、書かれた作品。
でも、新聞の夏季特別付録として書き下ろされただけあって、マロセーヌ家シリーズを初めて読む人でも、すぐに、お話の中に入って行ける様に考えられて書かれているので、マロセーヌ家シリーズを読まれた事のない方でも、充分楽しめるし、シリーズをすでに読んだ人ならその倍楽しめるそんな作品です。

もちろん、シリーズを初めから読んだ方が、より、いっそう楽しんでいただけると思いますので、この本が気に入られたら、他のシリーズの本も読まれる事をお勧めいたします。
ちなみに、マロセーヌ家シリーズは、現在、以下6冊が、
Gallimard 社のペーパーバック Collection Folio に入っています。

「Au bonheur des ogres」
「Fée carabine」
「La petite marchande de proses」
「Monsieur Malaussène」
「Les chrétiens et des Maures」
「Aux fruits de la passion」

何しろ短い作品なので、読むときの楽しみが半減されてしまうので、作品をかいつまんで紹介する事は、出来ませんが、ダニエル ぺナック氏独特のユーモアと語り口、ストーリー展開がとても美味で、特にラストが最高な作品でした。

実は、この作品、私が始めて読んだ、マロセーヌ家シリーズの作品なのですが、

「これ、これ、こういうフランスの小説が読みたかったの!」

と、読み終わった時に感じた事を今でも、覚えています。

その後、本格的にマロセーヌ家シリーズを読み始めたのですが、シリーズの魅力となるエッセンスが、ぎっちりと詰め込まれている作品です。

マロセーヌ家シリーズが大好きな方、又シリーズをまだ、読んだことのない方にも、是非、お勧めしたい小品です。


この記事は、2005年6月17日に、Yahoo Blog「フランス読書日記」にアップしたものを「フランス読書日記」の閉鎖に伴い、一部加筆の上、本ブログに転載したものです。


Daniel Pennac の他の著作に関する記事

アフリカの村の変貌を描いたセネガルの小説

「La grande mutation」

著者  : Adama Coumba Cisse
出版社 : L'Harmattan


アフリカの小さな村を治める Yougo の唯一の悩みは、最愛の妻 Céréeに子供が出来ない事。
Céréeは、呪術師に子供が生まれる様、術をかけてもらいます。
念願かなって、生まれた子供は、村の他の子供達と、フランス人が作った学校へ通うことになります。

この本の裏表紙によると、著者は、セネガル出身で、現在、L'Association démocratique des Français à Etranger のWabundé 支部の会長を勤めているそうです。

祖先から伝わる慣習が全てを支配していた、アフリカの村が、ヨーロッパの文明の影響を受け、次第に変わって行く、様子を描いたフィクションです。

フランス人の学校で、教わった事を、子供たちが村に持ち込み、大人たちの古い観念を打ち壊し、新しい村を築いていく様子が描かれます。

著者は、この作品を通して、アフリカの村がこうなって欲しい
という希望した理想の姿を描いているみたいです。

でも、この本の作中人物が皆、物分かりのよすぎるのに、私は、とても、物足りないものを感じました。
自分が今まで信じ続けていた事が間違っていると認めるのは、とても難しい事なのに、ただ、単に、子供が説得しただけで、作中人物は、皆、簡単に、考えを変えてしまいます、

おまけに、彼らの内部の葛藤の描写が皆無。

現在のフランスにすっかり溶け込んでいるアフリカ系のフランス人家庭に育った女の子が、ヴァカンスで、両親の生まれ故郷に帰った折り、本人意志を全く無視して、結婚させられてしまう例が、後を経たないという現実を目の前にしているだけに、

こんなに、うまく行くはずないのに?

という思いが、何度も頭の中を駆け巡りました。

又、フランスの植民地支配による、利点のみが延べられていて、その弊害について、全く言及されていないのにも、大いに不満が残りました。

教養のない、フランス人がこれを読んだら、フランスのアフリカの植民地支配は、全く正当なものだった、感謝されて同然、後ろ指さされる事は絶対ない、と勘違いしてしまいそう。

現在、フランスのアルジェリアの植民地政策がを「有益な所もあった」
と教科書に、明記する事を制定する法律が、国会で、審議され、一部のアルジェリア人の批判を招いている時に、アフリカ出身の作者により書かれたこんな片手落ちの本が、近代アフリカの歴史を知らないフランス人の目に止まるのは、ちょっと問題なんじゃないかしら? と思いましたね。

ヨーロッパ人に向けて書かれたというより、古い因習にとらわれている、アフリカの村に住む人々の視野を広める事を目的として、書かれた本、という印象を受けました。


この記事は、2005年6月15日に、Yahooブログ「フランス読書日記」にアップしたものを、
「フランス読書日記」の閉鎖に伴い、本ブログに転載したものです。


フランスの植民地化のコートジボワールが舞台の推理小説

「Outre-mort」
著者 : Jean-François COATMEUR
出版社 : LIV'EDITION


フランス植民地だった、コート・ジボワールが舞台。

木材貿易商の Albert HARLET は、弟より、
「キンキュウジタイ。スグカエレ」
の電報を受け取った。

Abidjan へ帰った Albert は、妻の Roberte が、溺死事故のため、死亡したと知らされる。
Roberte の死因に不審を抱いた Albert は、友人の Max BAUTIERの手を借りて、単独で、捜査を始めた。


ひたすら貧しくい黒人社会から隔離されている、白人社会の中で繰り広げられる、クラシックなタイプのミステリーです。

本の裏表紙の説明とは、裏腹に、プロットには、あまり新しさが見られず、推理小説を、飽きるほど読んでいる私は、初めから、なんとなく、ラストが想像出来てしまいました。

ただ、当時の植民地で、白人が、現地人をどの様に、評価していたかがおぼろげに、見えたのが面白かったですね。

60年代のフランス植民地下にある、アフリカの雰囲気が良く描写されており、プロットより、そちらの方が、ずっと私には、面白く思えました。

肌に汗で、シャツがべっとりくっついてしまう様な、じめじめした暑い雰囲気が伝わってくる、この作品、映像化したら、おもしろい作品なるかもしれないなぁ、と思いました。


この記事は、2005年6月12日に、Yahooブログ「フランス読書日記」にアップしたものを、
「フランス読書日記」の閉鎖に伴い、本ブログに転載したものです。


フランス製グルメ推理小説

「Addition salée au CROISIC 」

著者 : Christophe Chaplais
出版社 : Alain Bargain

Le Gastronome FrancCais というレストランのグルメガイドブックの記者 Arsène Barbaluc は、内務大臣から、殺人事件捜査に協力する様、依頼を受け、ナントへ向う。
彼の任務は、SRPJ(地方刑事警察)の Michele Archambaud 警視と共に、首と肢体のない死体の胃に残っていた食材から、被害者が、最後にどこのレストランで、食事をしたか、突止めるという物だった。


「Jambon au torchon」、「Bar A la diable」、「Beurre de Homard」等々、料理にちなんだタイトルが各章に、付けられている、グルメ推理小説。

でも、各章のタイトルは、その章で展開するストーリーに、なぞられて付けられているので、良く見てみると、レストランのメニューにある料理の名前みたいだけど、こんな料理ないよん。
でも、あったら面白いのに・・・なんていうものもあります。

ブルターニュ地方の、フランスの一流レストランの料理が、沢山出て来るので、この作品を通して、Le Croisic 近郊の、ミニグルメ観光をする事が出来ます。

推理小説を通して、フランス料理の紹介する、というアイデアは、悪くないのですが、推理小説としての出来は、????? という感じ。

クラシックなタイプの推理小説なのですが、所々、私には、作中人物の行動に、必然性が全く感じられない場面があり、今一つ、作品にのめりこむことが出来ませんでした。

「どうして、こんな、七面倒な事する必要があるの?」
という疑問が、何度も、頭の中に浮かんで来ました。

全体的な作品としてのアイデアは悪くなかっただけに、そこのところ、大変、残念に思えました。

それでも、フランス料理に興味のある人には、気に入っていただけるかもしれません。



この記事は、2005年6月10日に、Yahooブログ「フランス読書日記」にアップしたものを、
「フランス読書日記」の閉鎖に伴い、本ブログに転載したものです。


風来坊を主人公に据えたフランスの連作短編集

「Sous un ciel en zigzag」

著者  : Bernard MATHIEU
出版社 : Editions Joëlle Lasfeld


ちょっと、ちんぴらっぽい、風来坊な男を主人公に据えた連作短編小説集。

東ヨーロッパで超安の価格で、作らせたウェディングドレスをオートクチュールのデザイナー作品と偽って、売り歩く男の話、
かつて、同級生の女の子の部屋を双眼鏡で覗き見した事が忘れられない男の話、中古車を個人相手に売る男の話、

等々の合計10篇の短編が収録されています。

あっというオチも、感動的なラストもなく、わりかし地味だけど、なんとなく、その気持わかるなぁーと、納得出来る、主人公や、作中人物の心理描写や、風景描写に力を入れた、作品集です。 ちょっとエロチックな所もあります。

風来坊をしていた時の話は、なかなか、面白かったけど、後半の、主人公が家庭を持ってしまってからの話は、前半と比較すると、私には、今ひとつの様に思えました。

ちょっとした、風景描写等に、フランスらしさが、感じられるのに、好感が持てた作品集でした。


この記事は、2005年6月9日に、Yahooブログ「フランス読書日記」にアップしたものを、
「フランス読書日記」の閉鎖に伴い、本ブログに転載したものです。

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