リベリアの少年兵士から見た壮絶な内戦の様子をユーモアを込めて語った問題作
2008-01-23
ジンバブエ政府による白人追放がテーマのフィクション
2007-10-29
ルワンダ、ボスニアでのNGOの現地スタッフとしての経験を元に書かれた小説
2007-06-07
エチオピアの飢饉を背景に、NGOの活動のあり方を問ったフィクション
2007-05-11
2006年ルノドー賞受賞作家による独創力とユーモア溢れる奇想天外な小説
2007-02-24
2006年高校生が選ぶゴンクール賞受賞作品
2007-01-30
2006年ルノドー賞受賞作家がアフリカの内戦をテーマに書いた力作
2007-01-20
2006年ルノド−賞受賞作品
2006-11-06
エチオピアで医療援助活動をしたフランス人女医が辿ったドラマチックな生涯を描いた小説
2006-03-27
「Je l'appellerai Eden」
著者 : Martine Marie Muller
出版社 : Robert Laffont
ISBNコード : 2221101529
| 本の内容 | ☆☆ | 14/20 |
| フランス語難易度 | ## | 普通 |
| 読みごごち | ♪♪♪ | すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
1985年、メンギスの独裁下のエチオピアが舞台。
セコタの難民キャンプへ派遣された、ヒロインのフランス人医師のValenciaは、ケベックからやってきた修道女Evangélineや、他のヨーロッパ人と共に、命からがらで、やっとのことで、難民キャンプにたどり着いた人々を治療している。
限られた薬品、備品で、なんとか治療を続けていくうちに、Valenciaは彼女らの仕事を阻止しているとしか思えない政府の役人の態度に憤慨を覚えるようになる。
そんなある日、彼女は、重症を負った、反政府運動に加わるNasaréを治療することになる。フランスに、愛する夫がいるにもかかわらず、Valenciaは次第に、Nasaréと恋におちてゆく。
そして、セコタの難民キャンプ勤務の契約期間を終えたValenciaは、黒い肌を持つ赤ん坊、Edenを連れて、フランスへ帰国する。
フランス人女性医師のValenciaを中心に展開する、この小説は、2部に分かれており、第1部と第2部の間には、20年近くの月日が流れています。
第1部では、セコタの難民キャンプで働く、フランス人女性医師のValenciaを中心にストーリーが展開します。
Valenciaは、第2部にも顔を出しますが、主人公は、彼女の娘Eden。
Valenciaとの間に超えることの出来ない溝を感じたEdenは、Valenciaの止めるのを振り切って、自分のルーツを求めに、エチオピアへ旅立ちます。
そこで、Edenは、自分が生まれた国と、自分の出生の秘密を知ることになります。
この作品は、メンギスが犯したエチオピアの民族大虐殺について、ある程度知識がないと分りづらい所があるかもしれません。アフリカで命がけで活動するNGOのメンバーの様子がリアルに描写されます。
セコタの難民キャンプのチーフである、カナダのケベック出身の修道女Evangélineは、とても魅力的な女性。
修道女という辛気臭い(?)イメージから程遠い女性で、煙草、お酒が大好きで、決断力、実行力とも抜群。
ヨーロッパのNGO団体をいまいましく思い、彼らの活動を影で妨害している政府の役人ですらすら、彼女に一目置いています。
彼女は、片足を地雷で失っても、エネルギッシュに治療活動を続けて行きます。
もしかしたら、モデルがいるのではないかと思ったほど、彼女の描写は、生き生きとしていました。
又、ヒロインValenciaが辿った人生は、波乱万丈、ドラマと秘密にあふれているのですが、
小説のストーリー構成という点では、何となく、お話の行方が想像出来てしまうので、「L'homme de la frontière」(この作品については、こちらをご参照下さい)の様な作品を期待していた私は、その点は、ちょっとがっかりさせられました。
もしかしたら、著者は、小説にかこつけて、アフリカで命がけで活動するNGOのメンバーの様子を書こうとしたのかもしれない、という考えが頭に浮かんだほど、アフリカの難民キャンプの描写が真に迫っているのに比べると、話の落ちはイマひとつの様な気がしないでも・・・
いえ、これは、勝手に「L'homme de la frontière」の様な作品を期待していた私が間違っていたのであって、著者には、全然責任は、ありません。...(((;^^)
それでも、あらゆる困難にもめげず、エチオピアの村人を懸命に治療しようとする人々の姿に、そして、強い意志を持ち、自分で自分の人生をコントロールして行こうとするヒロインの姿に、強く心を打たれた作品です。
アフリカで活躍する非営利医療機関の様子を小説という形で描いた力作なので、非営利医療機関の活動に興味をお持ちの方には、お勧めできる本ではないかと思います。
Martine-Marie Muller の他の著作に関する記事
フランス人看護婦が見たセネガル
2005-11-28
「Tam-Tam Sénégal」
著者 : Nadine PRUDHOMME
出版社 : L'Harmattan
ISBNコード : 2747583473
表装 : ソフトカバー(14x22) 216頁
| 本の内容 | ☆☆ | 13/20 |
| フランス語難易度 | ## | 普通 |
| 読みごごち | ♪♪♪ | .すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
この本は、主人公のAnneが、セネガル人の友人Demba の死の知らせを受けたところから始まる。
Anneは、自分が、夫のPierreがこの世を去ったときと同じくらいのショックを受けた事に驚き、過去を回想する。
Simon とMarieという、2人の子供がいる中年夫婦AnneとPierreは、セネガル旅行の際に、セネガル人の男性Demba知り合い、友達になる。Pierreの知らぬ間に、Anneは、Dembaは恋に落ち、フランスへ帰ったAnneの元に、Dembaからのラブレターが届くようになる。
その後、看護婦のAnneは、休暇の間、Dembaの住む村のそばにある診療所でボランディアをするため、単身でセネガルへ向かう。
ろくな薬も、医療備品もない、診療所の様子に、当初、Anneはショックを受けるが、診療所で働くことに生きがいを感じるようになる。
手紙とは、がらりと態度が変わってしまった、Dembaの態度を裏切りを感じながらも、Anneは、Dembaのことを拒むことが出来ない。
ある日、Anneは患者の一人の村人が祖父から相続した土地を売って、タクシー会社をはじめたいと考えていることを、耳にし、セネガルに土地を買って家を建てることを考えはじめる。
休暇を終え、フランスへ帰ったAnneは、Pierreに、セネガルに土地を買って、家を建てる計画を打ち明ける。
この計画に、魅力を感じたPierreは、Anneに同意し、二人は、この計画を実行に移すことにしたのだが・・・
本の前書きによると、アフリカとフランスで、看護婦として働いた経験がある著者が、友人が実際に、経験した出来事を元にして書いた小説。
とにかく、とても面白くて、読み出したら止める事が出来ず、一気に読み通してしまいました。
なにしろ著者は、読者を感情移入させてしまうのに、とても長けています。
作中、『主人公が、フランスの医療機関や、製薬会社等を駆け回って、セネガルの診療所へ寄付する医薬品や備品をかき集め、航空会社と交渉して、超過料金を払わずに、飛行機で運ぶ手はずを整え、税関のための書類を揃え、ダカール空港に到着したら、判子が1個足りないというだけで、役人は通関すること拒否。診療所に行って、この事を村人に話しても、皆あまり、憤慨する様子をみせない。それでも、Anneはあきらめられず、村人のコネを使って、大臣と約束を取り付け、大臣に頼んで、なんとかやっとの事で、医薬品を受け取りに行ける様になる。空港のいじわるな役人に、いやみを言われ、やっと、荷物を通関すること出来るようになり、空港の倉庫へ取り入ったのだけど、医薬品の箱は、開封されており、一部が盗まれていた』
という、エピソードが出てきますが、これなど、多分、実際、アフリカで看護婦をした事ある著者の経験が、入っているのではないか?と思われるほど、リアルに、描かれています。
この下りは、この作品の一つのクライマックスですが、それ以外のエピソードでも、私は、読みながら自分がAnneになって、この出来事を経験している様に、興奮しました。
セネガル人の態度に、慣れることができずに、憤慨するAnneに、友人のMoussaが
「君は、ここの文化の微妙なニュアンスを完全に把握するほど、長く住んでいるわけじゃない、・・・」
と、彼女のやり方がまずかったことを指摘する場面があります。
『自分が接している異文化圏の風習、やり方を理解しようとせずに、自分のやり方を押し付けて、それがうまく行かないからといって、憤慨するのは、間違っている』
これは、往々にして、忘れがちになってしまっている事ですが、外国に住む時、心に刻み込んでおかなければならない根本的な約束事だと、この下りを読んだ時、再認識しました。
愛し、信じていた者に裏切られ、絶望の淵に落ち込んでしまったヒロインですが、彼女は、そこから、見事に這い上がり、新しい人生を築きいていきます。
セネガル人から見た主人公の姿が作品中、言及されていなかったのには、ちょっと残念な気がしましたが、
40台でアフリカに出会い、それから、一生を通して、フランスとセネガルの二つの国を愛したフランス人女性の、波乱万丈な感動的な、お話です。
フランス人の目から見た、セネガル生活が生き生きとかかれているので、エンターテイメントとしてだけでなく、アフリカ人の考え方、生き方を理解する手助けになる作品だと思います。
特に、アフリカ文化に興味をお持ちの方に、お勧めしたい本です。
アフリカの村の変貌を描いたセネガルの小説
2005-06-15
「La grande mutation」
著者 : Adama Coumba Cisse
出版社 : L'Harmattan
アフリカの小さな村を治める Yougo の唯一の悩みは、最愛の妻 Céréeに子供が出来ない事。
Céréeは、呪術師に子供が生まれる様、術をかけてもらいます。
念願かなって、生まれた子供は、村の他の子供達と、フランス人が作った学校へ通うことになります。
この本の裏表紙によると、著者は、セネガル出身で、現在、L'Association démocratique des Français à Etranger のWabundé 支部の会長を勤めているそうです。
祖先から伝わる慣習が全てを支配していた、アフリカの村が、ヨーロッパの文明の影響を受け、次第に変わって行く、様子を描いたフィクションです。
フランス人の学校で、教わった事を、子供たちが村に持ち込み、大人たちの古い観念を打ち壊し、新しい村を築いていく様子が描かれます。
著者は、この作品を通して、アフリカの村がこうなって欲しい
という希望した理想の姿を描いているみたいです。
でも、この本の作中人物が皆、物分かりのよすぎるのに、私は、とても、物足りないものを感じました。
自分が今まで信じ続けていた事が間違っていると認めるのは、とても難しい事なのに、ただ、単に、子供が説得しただけで、作中人物は、皆、簡単に、考えを変えてしまいます、
おまけに、彼らの内部の葛藤の描写が皆無。
現在のフランスにすっかり溶け込んでいるアフリカ系のフランス人家庭に育った女の子が、ヴァカンスで、両親の生まれ故郷に帰った折り、本人意志を全く無視して、結婚させられてしまう例が、後を経たないという現実を目の前にしているだけに、
こんなに、うまく行くはずないのに?
という思いが、何度も頭の中を駆け巡りました。
又、フランスの植民地支配による、利点のみが延べられていて、その弊害について、全く言及されていないのにも、大いに不満が残りました。
教養のない、フランス人がこれを読んだら、フランスのアフリカの植民地支配は、全く正当なものだった、感謝されて同然、後ろ指さされる事は絶対ない、と勘違いしてしまいそう。
現在、フランスのアルジェリアの植民地政策がを「有益な所もあった」
と教科書に、明記する事を制定する法律が、国会で、審議され、一部のアルジェリア人の批判を招いている時に、アフリカ出身の作者により書かれたこんな片手落ちの本が、近代アフリカの歴史を知らないフランス人の目に止まるのは、ちょっと問題なんじゃないかしら? と思いましたね。
ヨーロッパ人に向けて書かれたというより、古い因習にとらわれている、アフリカの村に住む人々の視野を広める事を目的として、書かれた本、という印象を受けました。
この記事は、2005年6月15日に、Yahooブログ「フランス読書日記」にアップしたものを、
「フランス読書日記」の閉鎖に伴い、本ブログに転載したものです。
著者 : Adama Coumba Cisse
出版社 : L'Harmattan
アフリカの小さな村を治める Yougo の唯一の悩みは、最愛の妻 Céréeに子供が出来ない事。
Céréeは、呪術師に子供が生まれる様、術をかけてもらいます。
念願かなって、生まれた子供は、村の他の子供達と、フランス人が作った学校へ通うことになります。
この本の裏表紙によると、著者は、セネガル出身で、現在、L'Association démocratique des Français à Etranger のWabundé 支部の会長を勤めているそうです。
祖先から伝わる慣習が全てを支配していた、アフリカの村が、ヨーロッパの文明の影響を受け、次第に変わって行く、様子を描いたフィクションです。
フランス人の学校で、教わった事を、子供たちが村に持ち込み、大人たちの古い観念を打ち壊し、新しい村を築いていく様子が描かれます。
著者は、この作品を通して、アフリカの村がこうなって欲しい
という希望した理想の姿を描いているみたいです。
でも、この本の作中人物が皆、物分かりのよすぎるのに、私は、とても、物足りないものを感じました。
自分が今まで信じ続けていた事が間違っていると認めるのは、とても難しい事なのに、ただ、単に、子供が説得しただけで、作中人物は、皆、簡単に、考えを変えてしまいます、
おまけに、彼らの内部の葛藤の描写が皆無。
現在のフランスにすっかり溶け込んでいるアフリカ系のフランス人家庭に育った女の子が、ヴァカンスで、両親の生まれ故郷に帰った折り、本人意志を全く無視して、結婚させられてしまう例が、後を経たないという現実を目の前にしているだけに、
こんなに、うまく行くはずないのに?
という思いが、何度も頭の中を駆け巡りました。
又、フランスの植民地支配による、利点のみが延べられていて、その弊害について、全く言及されていないのにも、大いに不満が残りました。
教養のない、フランス人がこれを読んだら、フランスのアフリカの植民地支配は、全く正当なものだった、感謝されて同然、後ろ指さされる事は絶対ない、と勘違いしてしまいそう。
現在、フランスのアルジェリアの植民地政策がを「有益な所もあった」
と教科書に、明記する事を制定する法律が、国会で、審議され、一部のアルジェリア人の批判を招いている時に、アフリカ出身の作者により書かれたこんな片手落ちの本が、近代アフリカの歴史を知らないフランス人の目に止まるのは、ちょっと問題なんじゃないかしら? と思いましたね。
ヨーロッパ人に向けて書かれたというより、古い因習にとらわれている、アフリカの村に住む人々の視野を広める事を目的として、書かれた本、という印象を受けました。
この記事は、2005年6月15日に、Yahooブログ「フランス読書日記」にアップしたものを、
「フランス読書日記」の閉鎖に伴い、本ブログに転載したものです。
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