ノルウェーのハンティング・ハウスに閉じ込められた6人の男女を描いたフランスの小説
2008-04-02
氷河にかこまれた極限状態の中で、生きていく人間の実態を描いた小説
2008-01-24
2000年にバレンツ海で起こったソ連の原子力潜水艦沈没がテーマのフランス小説
2007-09-14
謎めいたフランスの純文学系の小説
2006-09-22
2004年のゴンクール賞受賞作
2006-01-16
「Le soleil des Scorta」
著者 : Laurent Gaudé
出版社 : Actes Sud
ISBN-10 : 2742760180
ISBN-13 : 978-2742760183
表装 : ペーパーバック(11x18) 289頁
| 本の内容 | ☆☆ | 14/20 |
| フランス語難易度 | ## | 普通 |
| 読みごごち | ♪♪♪ | .すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
Montepuccio という名の南イタリアの小さな村 、村の通りには人っ子 一人い ないシエスタの時間、そんな太陽が肌を焼く真夏の午後、ろばを連れた男が、村のある家のド アを 叩いた。 その男の名は、Luciano Mascalzone 、彼は、追いはぎ、家畜泥棒等を生業とするならず者だった。 1 5 年間の刑務所暮らしの間、 Lucianoは、思いを寄せた、村娘Filomena Biscotti をその腕に抱 く こ とだけを思い、日々を過ごしていた。
Luciano の息子で、父と同じ様にならず者になる道を選び、財産を築いた Rocco。
ならず者の子供たちの汚名を晴らすため、Roccoが、死ぬ前に、全財産を教会へ寄付したため、無一文になり、身を粉にして働かねばならなかった、 Roccoの3人の子供 の Dominico, Giuseppe, Carmela。 そして、彼らの唯一の友達のRaffaele。Raffaeleは、Scortaの血が流れていないにもかかわらず、自分の意思で、Scorta家の一員となる事を選んだ。
貧しい、何もない村に暮らしながら、浮き沈みの激しい生涯を送った、Luciano Mascalzone の血を受 けたScorta 家 の人々の生涯を語った物語。
力強い表現で、太陽に焼かれる厳しい自然と、素朴で、かたくなな考えを持つ村人たち と、燃え滾る血を受け継いだ Scorta 家の人々の生き様が語られます。
ウェスタン映画をほのかに思わせるような、乾いたイタリアの小さな村の描写の冒頭 か ら、ぎゅっと心を捕まれてしまい、そのまま、ラストまで、一気に読み通してしまい ました。
あっという、驚きや、手の込んだプロットは、ありませんが、こういう人たちの事を「濃 い血 が 流れている」というのか、と痛感させられる様な、強 と オフの二つのスイッチ しかついていない、暖房機の様に激しい彼らの生き方が、南イタリアの太陽に焼かれ た自然と共に、シンプルだけど、心を揺さ振らせる、力強い文章で、語られます。
家、家系、生まれ等などには、あまり興味がない私にですら、理解できるよう、作中人物達が、 Scorta家に属しているのにこだわる事で、自分たちの人生を切り開いていく気力を養っていく様子が、書かれています。
南イタリアの太陽に焼かれた、厳しい自然と、そこに住む激しい気質を持つ人々の素朴だけど、波乱に満ちている人生を描いた力強い作品です。
たまには、骨太な、文学作品を読んでみたいとお思いの方にお勧めします。
この作品は、2004年のゴンクール賞(PRIX GONCOURT 2004)を受賞しています。
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小粒ながら光っている秀作、とても面白かったです!(^^)!
2005-12-06
Coup de coeur
「L'homme de la frontière」
著者 : Martine Marie Muller
出版社 : Rober Laffont
ISBNコード : 2221104285
表装 : ペーパーバック(14x1x22)155頁
| 本の内容 | ☆☆☆ | 17/20 |
| フランス語難易度 | ## | 普通 |
| 読みごごち | ♪♪♪ | .すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
東ドイツと西ドイツの国境にベルリンの壁が建てられようとしている。そんな事を露も知らない、東ドイツに住む主人公のFrantzは、じゃがいもを盗もうと、国境を越え、西ドイツへ足を踏み入れる。じゃがいもが入った袋をかついで、帰路へ着こうとしたFrantzは、男たちが、レンガや、コンクリーブロックを手にして働いているのに、目を奪われ、西側の警察に捕まってしまう。
その後、Frantzは西側のVille neuveと呼ばれる町の住民として身分証明書を得、政府の研修所で、18ヶ月の間研修を受けた後、警察官として働き始める。
ハンサムで、どことなく女性の心をくすぐるFrantzは、周りの女性から、アプローチを受けたり、パーティーで知り合った上流階級の令嬢達に思いを寄せられるが、彼の心は動かない。
そんな、Frantzが選んだのは、Evaという名の前科のある女性だった。
東ドイツと西ドイツがまだ、分かれており、自由に行き来が出来なかった時代のお話。
当時は、夜にこっそりと壁を越えて西側へ渡ろうとして、銃殺された人がいたそう。その頃の状況が頭にないと、この話は、今ひとつピンとこないかもしれません。
ベルリンの壁に阻まれて、別離を余儀なくされた人達のお話かと思い、あまり、期待せずに読み始めたのですが、そんな予想をはるかに上回り、かなり楽しめた作品でした。
どんな風に楽しめたのか、ここでお話してしまうと、読むときの楽しみが激減してしまうので、ここには書きませんが、作品の細かいところまで、考え抜かれた、なかなかよく構築された作品です。
作中、Frantzが西側で作った唯一の友人、身障者のための犬を訓練しているRalfとのエピソードが何気なく書かれています。
作品の後半にさしかかったあたりで、初めて、このエピソードが一種の伏線になっていたことに気がつきました。なかなか、しゃれてるプロットです。
だけど、書簡の形を取っているエピローグが、それまでの、作品のトーンとは全く違い、あまりに説明的過ぎなのには、興ざめしてしまいました。主人公達の胸のうちを読者にどうしても、伝えたいのなら、別のやり方があったはず。それまでが、とても良かっただけに、エピローグの部分が、もっと違った形で表現されていたなら、もっとこの本に対する評価が上がったのにと、残念な気持ちになりました。
この手の小説は、読む時の楽しみを損なわずに作品の魅力を伝えるのが大変難しいので、紹介をするのに苦労します。
この本の裏表紙に書かれている紹介文を読んでから、作品を読むと、おもしろさが半減してしまうので、出来るなら、裏表紙は読まずに、直接、作品の本文からお読みになられることをお勧めします。
紹介文を書いた、編集者もかなり苦労したみたいですねぇ。
この本を読み終わったとき、「掘り出し物とはこの手の本のことをいうのかしら?」と思いました。とにかく、小粒ながら光っている秀作で、全体的に、テンポがあり、とても読みやすい作品です。
なにか面白い本をお探しの方にお勧めします。
Martine-Marie Muller の他の著作に関する記事
文学へ贈られたの最高のオマージュ
2005-10-07
Coup de coeur
「Quatre soldats 」
著者 : Hubert Mingarelli
出版社 : Seuil,.Collection : Points
ISBNコード : 2020631199
表装 : ペーパーバック(11x1x18)208頁
| 本の内容 | ☆☆☆ | 18/20 |
| フランス語難易度 | # | 易しい |
| 読みごごち | ♪♪♪ | .すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
この物語の語り手は、ルーマニア軍、ポーランド軍に追われ退却するロシアの赤軍兵士、Benia。
冬の間は、身動きが取れないのため、彼が所属する隊は、森で、冬を越す事になり、兵士たちはグループに分かれて、各グループごとに冬の間住む小屋を建てることになります。
Benia は、機転が利く Pavel、力持ちで、ちょっと頭の回転が遅いウズベキスタン人の Kyabine 、慎み深くおとなしいけど、射撃の腕は抜群の Sifraと共に小屋を建て、そこで、彼らと共に冬を過ごします。
4人の兵士は、Pavelの知恵と、サイコロ遊びとたばこで、厳しい冬を乗り切ります。
やがて春が訪れ、4人は、冬の間彼らと同じ様に、森に立てた小屋で暮らしていた他の兵士達と共に 、森を離れ、テントで暮らす様になります。
そして、上官の命令で、戦闘前の短い休息を満喫するBenia達のグループに、ノートと鉛筆をいつも身から離さない、Evdokim という少年兵士が加わることになります。
最初は、Evdokim を警戒していた4人でしたが、やがて、文盲の彼らは、Evdokim に彼らの思い出を記録する事を依頼する様になります。
ちょっと、とぼけた口調で、淡々と、4人の兵士の日常が語られます。
かなり、厳しい、悲劇的な状況なのですが、Beniaの口を通ると、彼らが経験している辛酸は、全く当たり前の事のみたいに、
そして、現在の私達の生活から見たら、語るにも及ばない微々たる事が、とてつもなく貴重な物の様に思えてきます。
彼らが今までどんな悲惨な生活を送っていたのかが、行間からにじみ出てきて、胸を絞られる様な気持ちになりました。
だけど、この本を読んでいる間、
「地味で、取りたてた所のない、この小説がどうして、2003年のMedicisを受賞したの?」
という問いが、何度も、頭に浮かびました。
そう、ラストを読むまでは・・・
Mingarelliの作品は、いつもラストがいい、それが念頭にあったにもかかわらず、不意をつかれ、心が震えて、涙が止まらなかったラスト!
感動という言葉で、表現しきれない、思いを感じる事が出来ました。
文章を綴ることが出来るという事が、こんなに、贅沢な事だったなんて!今まで生きていて気が付かなかった!
今までずっと気づかずに生きて来たけれど、書くという行為は、人生の一番美しい時間を永遠に保存出来るって事だったのね。
文字を書けるという境遇に生まれた幸運を、この作品を読んで改めて、かみ締める事が出来ました。
この小説は、文学へ贈られたの最高のオマージュだと思います。
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Hubert Mingarelli の最新作
2005-10-03
Coup de coeur
「Le voyage d'Eladio」
著者 : Hubert Mingarelli
出版社 : Seuil
ISBNコード : 2020663848
表装 : ソフトカバー(14x2x21)178頁
| 本の内容 | ☆☆ | 14/20 |
| フランス語難易度 | # | 易しい |
| 読みごごち | ♪♪♪ | .すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
「終わりの雪」の邦訳が、日本でかなに好評の様な、Hubert Mingarelli の最新作です。
私は、この作品を初めに、それから、「Quatre soldats」を読んでから「終わりの雪」を読みました。
私は、「終わりの雪」は、あまり好きになれなかったので、この逆の順番で読まなくて本当に良かったと思いました。
もし、一番初めに「終わりの雪」を読んでいたら、きっと他の2冊を手にすることはなかったと思います。
全文で、170ページ程度の小品。
超読みやすいので、ゆっくり読んでもわずか、2時間足らずで読み終えてしまいました。
舞台は中央アメリカ。逃走中のゲリアのグループが主人公のEladioの主人のの家に入り、ブーツを濡盗む所から始まります。
主人のブーツを、取り返すため、Eladioは、ゲリアの後を追い、山へ向かいます。
この話は、最後から終わりまで、Eladio のモノローグのみ。
理不尽な主人公の行動に、不可解な気持ちを抱きながら読み進めていくうちに、Eladio が、普通の人に比べて、いくらか知恵が足りない事、彼がどうして、 主人のAlvaro Cruz に忠実なのかが、明らかになっていきます。
そして、最後に Eladio がたどり着いたのは・・・
平易な言葉で、とても読みやすい文章で Eladio のひたむきなやさしさと 現実の残酷さが、浮き彫りにされた詩的な作品。
指でほんの少し触れたら、壊れてしまうな、ぴぃんと張った澄んだ水面の様に、言葉にしたら、壊れてしまう様な作品です。
易しいフランス語で書かれているので、フランス語初心者の方にもお勧めできるのではないかと、思います。
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