Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

パリの女性ホームレスの手記

Coup de coeur

en bas de chez vous
   「J'habite en bas de chez vous 」
 著者 : Brigitte & Véronique Mougin
出版社 : Pocket
ISBN-10 : 2266174738
ISBN-13 : 978-2266174732
表装 : ペーパーバック(11x1x18)248頁


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ホワイトハウスのデザート事情

「Sucré d'Etat
ー Mémoire dupattissier français de la maison blanche」

sucre d'etat
  著者   : Roland Mesnier
      Christian Malard
出版社 : J'ai lu
ISBN-10 : 2080687891
ISBN-13 : 978-2080687890 : 
表装 :ペーパーバック(11x2x18)440頁

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コートジヴォワールから来た14歳のバカロレア受験生

フランスでは、来週からバカロレア試験が始まります。
そんなわけで、今日は、バカロレアにちなんだ本を紹介します。

「Moi, Momo, 14 ans, Ivoirien... et plus jeune bachelier de France」

momo
 著者       : Mohamed Diaby, Damien Albessard
出版社 : Pocket
ISBN-10 : 2350130266
ISBN-13 : 978-2350130262
表装 : ペーパーバック(11x1x18)210頁


 本の内容☆☆☆16/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ すらすら

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



このノンフィクションの主人公は、1990年5月7日に、コートジボワールのアビジャンで生まれの、モモこと、Mohamed Diaby 。

モモは、貧しくはないけれど、決して裕福ではない父親の1番目の妻の7人目の子供として生まれました。
早熟なモモは、アビジャンの小学校で、3度に渡り飛び級をし、その後、コートジボワールのYopougonの、中学・高校一貫教育の私立校に入学。ここでも、飛び級をします。
モモが高校2年になった時、自分もフランス留学の経験のあるモモの父親は、モモをフランスの高校へ留学させ、そこでバカロレアを受けさせたいと考えます。

モモと父親の意思をかなえるため、フランス人と結婚してフランスに住んでいるモモの姉のAdjaraと義兄のRichardは、モモを受け入れてくれる高校を探し奔走します。

日本の高校と違ってフランスの高校は、入学試験がなく、中学での内申書で、高校への入学が決まります。
ほとんどすべての高校から「定員一杯」「アフリカの高校は、レベルが低いので評価が甘い」等などの理由で拒否されましたが、Adjara達は、やっとのことで、パリの4区の私立高校への入学許可を得ることに成功します。

またまた、苦労の末全部で200ページもあるヴィザ入手に必要な書類を全てコートジボワールに届けたのだけど、ヴィザが下りたのは、新学期が始まって1ヶ月以上経った10月でした。
そして、希望と不安をかかえてパリのロワシー空港に降り立ったモモは、現在パリでスタイリストとしての勉強をする姉の住む、ワンルームマンションに同居して、高校入学への準備を始めます。

天才児というと、こしゃまっくれた可愛げのない子供をついつい想像してしまうのですが、このノンフィクションに登場するモモは、大違い。とっても愛嬌があって可愛い男の子。

この本、多分、モモにインタビューした内容をDamien Albessard氏がまとめたものだと思いますが、このエッセイは語り口がとても素敵。普通のティーンが話す自然な会話態で、ユーモアにたっぷりに、彼のこれまでの人生と経験を読者に向けて話してくれます。

多分、フランスで色々とつらい目にもあっていると思うのですが、そんなことはおくびにも出さず、あくまでもポジティブに物事を捉えているその姿勢には、頭が下がります。

子供っぽさと、アフリカで育った人たちが自然と持つ人懐っこさ、そして、大人も顔負けな鋭い分析が交互に顔を出す作品です。

本の前半は、モモが自分の子供時代を語りながら、コートジボワールの風習や、暮らしぶりに触れているのですが、コートジボワールの一夫多妻制によって苦しめられている母親への思い、普通の人には満足な医療を受けることの出来ない、コートジボワールの状況などは、さらっと語られているけれど、読む者の心を動かします。

又、フランスについたばかりのモモが、コートジボワールのように、地下鉄で彼の隣の席に座る人に「ボンジュール」と挨拶していたら、お姉さんが、恥ずかしがって「止めなさいよ」と注意する下りが出てきます。

どうして、挨拶しちゃいけないの?僕が挨拶すると、みんな挨拶を返してくれるよ。そりゃ、他の人たちが、僕みたいに、みんなが挨拶しないのは、気づいていたけれど、・・・・(中略)
僕らの国の風習を恥ずかしいものだと思わなきゃならないの?」

とモモは反芻します。

このエピソードは、「他人は潜在的な脅威でなく、友達となる可能性を持っている者」(これは、モモの義兄のRichardが書いた本の冒頭に記載されている「はじめに」の中にある言葉です)という考えが幅を効かす、コートジボワール人と大都会に住む人々の違いを象徴しているように思います。

私は、モモの言っていることは、正論。大都市の住む人々が、皆モモのような考え方をしていたら、きっともっと住みやすい町になるのに・・・
これなど、先進国がアフリカから学ばなければならないことじゃないかと思いました。

ユーモア溢れるフランスでの友達とのエピソードの合間、この様な、フランス社会に対する鋭い指摘が所々見られます。

閉鎖的だとすら言われるフランス人、ましてや、ある程度グループが出来上がってしまっている3年生の中に、ポンと放り込まれてしまった場合、なかなかグループに入り込んで、友達を作るのは難しいのに、社交的なモモは自然と友達を作ってしまいます。

モモと仲のいい友達になる、Pierreと Afchineとの初めて言葉を交わしたエピソードも爆笑もの。
英語の時間、先生に指されて、何か質問されたんだけど、全然言ってる事がわからないモモ。隣に座っている Mathias の助けを借りて、何とか答えたのはいいものの、あまりに、なまりがひどいモモの発音に、クラス中が大爆笑。英語の授業が終わった後、二人のクラスメートがモモのところにやってきて話かけます。

- Tu as un accent pas possible, mec, me fait l'un deux.
Mathias l'entend, se lève et commence à l'engueler.
- Mais attends, c'est normal qu'il ait un accent, non? Et puis, c'est pas sympas de te moquer de lui comme ça alors qu'il vient d'arriver.
L'autre, penaud, s'excuse :
- Ce n'est pas ce que je voulais dire, Mathias, moi, Je trouve ça mortel, c'est pour ça.
- Ouais, c'est vraiment mortel. Répète son pote à côté.
- Man, je ne voudrais pas que tu te vénères à cause de ça.

「おい、お前の英語信じられないほどなまってんじゃん。」二人のうちの一人が僕に言った。
それを聞いたマチアスは、立ち上がり、声を荒立てる
「ちょっと待てよ、なまりがあるのは当たり前だろ?おまけに転校してきたばかりなのに、バカにするなんてあんまりじゃないの」
もう一人の、のんびり構えていたクラスメートが、弁解する。
「そういうつもりじゃなかったんだよ、マチアス。俺、めちゃくちゃスゲーって思ったからさ。」
「そう、メチャスゴイよ!」隣の友達も繰り返す。
「俺は、おまえに、そんなこと、気にすんなって言いたかったんだよ。」
(『Tu te vénères』 は、Verlain。Tu t' énervesの事)

真面目で、とても気持ちの優しいMathias、親戚の殆どが死んでしまったハイチ系のAfchine、いつも冗談ばっかり言ってる陽気なPierre。.
4歳も年下で、外国から途中入学したクラスメートを、ごく普通の友達のように受け入れてしまうフランスの高校生って、なんて、心が広いの!と、自分のことのようにうれしくなりました。
私には、友達とのエピソードの下りがちょっと短すぎたのが少々、残念に思えました。

こどもっぽさが抜けない可愛らしさと、大人のインテリジェンスを持つモモの素敵なフランス・バカロレア受験記。
この本を読んだら、きっとあなたもモモのファンになること間違いなし!

いつまでも、このまま天真爛漫なモモでいて欲しいと願って止みません。

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