Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

中国から養子に貰われた黒人青年の自分のルーツ探しをテーマにしたフランスのユーモア小説

Coup de coeur

表紙写真 made in china
   「Made in China」
 著者 : J-M Erre
出版社 : Buchet-Castel
ISBN-10: 2283023238
ISBN-13: 978-2283023235
表装 : ソフトカバー(14x2x21)257頁  

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自殺用品販売店を経営する奇妙な家族の描いた小説


表紙写真 magasin
   「Le magasin des suicides」
 著者 : Jean Teulé
出版社 : Julliard
ISBN-10 : 2260017088
ISBN-13 : 978-2260017080
表装 : ソフトカバー(13x1x21)157頁
 

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ドジで不運のサエナイ男を主人公にしたフランスの小説


aristide
   「Les tribulations d'Aristide」
 著者 : Claude Michelet
出版社 : Nil
 ISBN-10 : 2841113434
ISBN-13 : 978-2841113439
表装 : ソフトカバー(13x1x21)135頁
 

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フランス人特有のユーモアとエスプリに溢れていてる新しいタイプの小説

Coup de coeur

chien
   「Prenez soin du chien」
 著者 : J.M. Erre
出版社 : Buchet - Chastel
ISBN-10 : 228302191X
ISBN-13 : 978-2283021910
表装 : ソフトカバー(15x2x21)293頁


 本の内容☆☆☆17/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ すらすら

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



ラジオの連続ドラマのシナリオを書いている放送作家Max Corneloupが、パリのDoulce-Belette通り5番地に引っ越してきた。
住宅難のパリで、ようやくのこと、満足な住居を見つけられたと、思ったのもつかの間、彼は、向かいのアパートに住むEugène Flucheが、彼の一挙一動を監視しているのに気づく。

一方、Max Corneloupの向かいのDoulce-Belette通り6番地に引越し来たばかりの、エッグ・ペインティングを専門とするアーティスト、Eugène Flucheも、自分が向かいのアパートに住んでいるMax Corneloupにより、監視されているのに気がつく。

窓のストールは故障しており、何度も修理を頼んでも、なしのつぶて。
おまけに建物の美観を損なうため、カーテンをかけることは禁止されている。

お互いに監視されていると思い込んでしまった事から、誤解に誤解が重なり、アパートのほかの住人たちを巻き込みながら事態は次第にこじれて、思いがけない方向へと展開して行く。

Maxと同じDoulce-Belette通り5番地にアパートには、住んでいるのは、

テレビ番組を録画して、それを切り貼りして、「映画を製作」する「映画監督」Zamora 、

1年前に死んだ母親に、今でも手紙を書き続けている、管理人のLadoux夫人

幼稚園、小学校、中学校の先生らに、音をあげさせている、人間と呼ぶより野獣と読んだほうがぴったり来るようなワイルドな問題児のBruno

愛犬が唯一の生きがいで、いなくなった愛犬を探し続けているうちに頭がおかしくなったBrichon 夫人


Eugèneと同じDoulce-Belette通り6番地のアパートに住んでいるのは、

度近眼で、良く間違えてEugèneの部屋へ入ってくる、訳のわからない作品ばかり書いてるエロ作家Lazarus

家具でも、電気コードでもなんでもかじってしまうアレチネズミを愛玩動物として飼っている、Raphaël Dumoget

いつも部屋で、裸体モデルを前にスケッチしている、女流画家のNoémie


等などの、ちょっと変わった人たち。


一見すると、ごく普通の常識を持っているように見える人たちなのだけど、誤解に誤解が重なり、人間関係がこじれていくにつれて、彼らは、

「ここは、精神病院?」

といいたくなるような、おかしな言動を見せ始めます。

そんな、パリのアパートを舞台に展開される、アイロニーとカリカチュアーたっぷりの小説です。

ひょんな出来事が元で、勘違いが重なり、人間関係がどんどんおかしな方向へと流されてゆく様子が、フランス人特有のユーモアたっぷりに語られます。

はじめの数十ページは、今ひとつ話の行き先がわからないので、ちょっと不安な気持ちでページをめくりました。

だけど、アパートの住人が一通り登場した後からは、どんどん話に引き込まれてしまい、ゲラゲラ笑いながら、一気に読み終えてしまいました。

私は、ブラックユーモアは決して嫌いではないけれど、最近、フランスで流行のブラックがかかりすぎたユーモアは、あまり好きになれません。

この小説は、あと一歩進んだら崖から落ちて、ブラックユーモアが嫌味になってしまうというスレスレのがけっぷちを、ものすごい速さで走っているような感じのする作品でした。
なかなか、常人には出来ない技だと感心しました。

ただ可笑しいだけではなくて、凝った立体パズルのように、緻密に構成された作品なので、一度最後まで読んでから、もう一度読み直して、どこに伏線が張ってあるのか、確認したくなります。

これをユーモア小説、又は、謎解き物と読んだしまうのに、躊躇いを感じる程、型破りな作品。

フランス人特有のユーモアとエスプリに溢れていて、とても面白かったので、新しいタイプの小説を読んでみたいとお思いの方に、是非お勧めしたい作品です。

J.M. Erreの他の著作に関する記事

本作より楽しめた「ダヴィンチ・コード」のパスティッシュ小説


gay vinci
   「Gay Vinci Code」
 著者 : Pascal Fioretto
出版社 : Chiflet & Cie
ISBN-10 : 2351640098
ISBN-13 : 978-2351640098
表装 : ソフトカバー(14x2x22)210頁



 本の内容☆☆☆16/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



ホモセクシュエル伝統・美術博物館の学芸員、Gédéon de Vaugoubert は、死ぬ前に、自分の息子のように可愛がっている、レズビアンの友人達の息子、Cédricの携帯電話へ、

L v'1 2 ce Kc l'orEr IzTrik. L'tps Prec. D9075. Milbiz. GV. PS : Apl JCG.

と、不可解なメッセージを送る。(このメッセージの解読は追記します。興味のある方は、『続きを読む』をクリック)

メッセージを読んだCédricは、現在講演のため、パリに来ている、アメリカの大学で教鞭を取る著名なイコン研究学者のCharlus Glandonへ、援助を求める。
Cédricの携帯電話に残された、メッセージを解読した彼らは、Gédéon de Vaugoubert が、ホモセクシュエル伝統・美術博物館の売店で、奇妙な格好で、死んでいるのを発見する。

タイトルが示すように、この本は、あの「ダヴィンチ・コード」をパリのゲイの世界に置き換えたパスティッシュ作品。

レズビアンの母親達に育てられ、18歳の誕生パーティーで自分がストレートであると、カミングアウトしてから、両親と仲たがいしているCédric、

著名な学者で、ホモセクシュアルであるのを世間に隠しているCharlus Glandon、

そして、「師」の命を受け、ヴァチカンが躍起になって隠そうとしている、秘密「le secret du Grand Piquet」を探ろうとあちこち駆け回る、元ディスコのこわもてガードマンから、drag-queen (美しく着飾った女装のゲイ)に転身した身長2メートル50の、Guazzinella、

等などの、「ダヴィンチ・コード」を連想させる、一癖も二癖もある人々が、パリのゲイ・スポットを舞台に繰り広げる、ユーモアサスペンス小説。

キリストに子孫がいたと書いた「ダヴィンチ・コード」にヴァチカンが憤慨してみせるのは、本当の秘密「le secret du Grand Piquet」を知られないためのカモフラージュだった!!

その「le secret du Grand Piquet」の秘密とは???


この作品は、サスペンスとか、謎解きと、ストーリー、プロットなどよりも、第1に、「ダヴィンチ・コード」をおちょくりながら笑いを取ることを第一に考えて書かれているような印象を受けました。
ですから、純粋なサスペンスファン、「ダヴィンチ・コード」の熱烈なファンには、あまりお勧めできる作品ではありません。

だけど、この小説にでてくる謎解きは、ダヴィンチ・コードも真っ青な、こじつけにつぐ、こじつけなので、「ダヴィンチ・コード」を読んで、

良く出来ているけれど、歴史的事実を切り貼りして、適当にこじつけただけ、小説としてはおもしろいけれど、これは鵜呑みにするのはちょっと・・・

と思った人は、多分、ひざを叩いて笑えるのではないかと思います。

「ダヴィンチ・コード」を読んだ人、フランスのマスカルチャーに通じている人なら、ゲラゲラ笑えるギャグが満載。

ちょっと笑いのパンチが足りないような気がしましたが、私にとっては、「ダヴィンチ・コード」より、楽しめた作品でした。
興味のある方は、著者のブログ : http://gay-vinci-code.blogspot.com/
もご参考下さい。

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『ADMINISTRATION FRANCAISE』 という名の不思議の国に迷い込んでしまった、可哀相な男のお話


comment
   「Comment calmer M. Bracke」
 著者 : Gérard Mordillat
出版社 : Le livre de poche (Lgf )
ISBN-10 : 2253109371
ISBN-13 : 978-2253109372
表装 : ペーパーバック(11x18) 189頁



 本の内容☆☆16/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ .すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)



フランスの、ある企業の 資料室に勤める Bracke 氏は、ある日、突然、課長昇進の辞令を受け、その後すぐに解雇を言い渡されます。
そして、この出来事を発端として、Bracke 氏は、相次ぐ、理不尽な不幸の波に、見舞われてゆきます。

カフカも真っ青な不条理の世界。

規則やマニュアルが、大いに巾を利かせているフランスの組織。
規則やマニュアルに通りなら、道理にかなっていなくても、常識からはずれてしまっても、、何でもかんでも全て許されると、信じている企業幹部、警察官、等などに、Bracke 氏は、連続して遭遇し、不条理とすら形容できる様な、理不尽な扱いを受けます。
規則やマニュアルに適う様、何でもかんでも、自分たちの都合のいい様に、捻じ曲げて解釈してしまう、そんな人間達が支配する『Administration française』 という名の不思議の国に迷い込んでしまった、可哀相な主人公のお話です。

彼が体験する、悪夢の様な出来事を、作者は、『報告書』をほのかに感じさせる、おちょくった文体に、言葉あそびをたっぷりと詰め込み、リズミカルかつ、ユーモラスに描いていきます。

この作品を読んでいて、こんな馬鹿な、と叫びたくなる様な、場面に幾度もぶつかりましたが、よく考えてみると、これは、皆、現在のフランスの官僚主義への強烈な風刺。
現在の一部のフランス人のずさんな仕事ぶりを考えると、恐ろしい事に、勿論、『程度の違い』、はあるけれど、どれも、これも、実際にあってもおかしくない様なエピソードです。

不可解な社会の歯車によって、一個人が、徐々に、すり減らされ、消耗され、ぼろくずの様になってゆく有り様が、おもしろおかしく、語られます。
最後の最後まで、フランス社会と企業をバカにし続ける著者の姿勢は、ホントあっぱれ!

現在のフランス企業、及び国家機関に対する、強烈な風刺小説であり、ブラックユーモアの新境地を開拓した、新しいタイプの小説です。

Gérard Mordillatの他著作に関する記事

フロイド派の精神分析を武器に、中国を駆け巡る、中国版ドン・キホーテーの冒険


complexe
   「Le complexe de Di」
著者 : Sijie Dai
出版社 : Folio (Gallimard)
ISBNコード : 2070309215
表装 : ペーパーバック(11x18)398頁
 




 本の内容☆☆13/20
 フランス語難易度##普通
 読みごごち♪♪♪ .すらすら読めました

(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)


フランスに留学して、フロイト派の精神分析学を勉強した、ちびで、ド近眼のさえない中国人の男、Muoが主人公。
このヒーロー、ドジで、夜汽車の中で、回想にふけっている間に、座っていた席は取られるは、荷物どころか、靴まで盗まれてしまいます。

帰国して、精神分析師として、開業しようとしますが、精神分析の事など、誰も聞いたことのない、中国の田舎では、これが、なかなか思った様には行きません。
それでも、Muoは、母親の箪笥から失敬した布と、父親の釣竿で、看板代わりの旗を作り、それを、自転車に、くくりつけて、村々を回り、精神分析医として夢判断の診察を始めます。


だけど、Muoの苦労は、それだけじゃなかったのです。
帰国したMuoを待ち受けていたのは、

「大学時代に思いを寄せた、Volcan de la Vieille Lune、という女性が、中国人警官が容疑者を拷問している写真を撮って外国の新聞社に売ったため、警察に捕まり、現在、起訴中」 

という知らせ。

Muo は、Volcan de la Vieille Luneを刑務所から救い出そうと、奔走します。四苦八苦の末、つてを辿り、Volcan de la Vieille Luneの事件を担当している判事に会ってみると、袖の下が良く効くと評判の、この判事、

「お金は、有り余ってるので、代わりに、処女がいい」

なんて事、言い出したので、大変。

Volcan de la Vieille Luneを助けるためならと、Muoは、精神分析医として夢判断をしながら、処女を探そうと、若い女の子がたくさん集まる、求職市場で開業しようとします。
市場を管理している、マーガレット・サッチャ女史を思わせる女性警官に、取り入って、開業の許可を得て、精神分析医として診察を始めたのは、いいのですが、・・・



著者は、小説家、兼、映画監督の中国出身のフランス人。
そのせいか、作品は、とても映像的、読んでいて、Muoが、中国を駆け回る光景が目に浮かんできます。そんな映像的な文章で、ドジでさえないMuoが中国社会で、獅子奮迅する様子がコミカルに描かれます。
Muoが遭遇する事件や人物を通して、中国社会への強烈な風刺が

「母国をこんなに、けなしてしまって、本当にいいの?」

と、心配したくなる程、後から、後へと登場してきます。

ドジで、さえない、Muoですが、あばたの女性警官、葬儀屋で死体処理を担当している未亡人、田舎から出稼ぎに来た少女等など、次から次へと女性と係わり合いが出来、まったく、このヒーローついているんだか、ついていないのか、よく判らなくなってきます。

「いくら、Volcan de la Vieille Lune を救い出すためとはいえ、おいおい、Muo、結婚の約束なんかしちゃっていいの?」

そんな読者の疑問も耳に入らないほど、一心不乱に処女を探して歩く、中国版ドン・キホーテーの物語です。


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